ビートルズの曲とプロデュース ~アップル・レコード~ | 懐かしエッセイ 輝ける時代たち(シーズンズ)

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懐かしい’60s’70s’80s
ひときわ輝いていたあの時代の思い出のエッセイ集です。
毎週土曜日更新予定です。

今日は。
 無人探査機「SLIM」が、1月20日未明に「月着陸に成功した」とJAXA=宇宙航空研究開発機構が発表しました。
目的としていた精度の高い着陸が達成できたかどうかについてはまだ不明ですが、月面着陸の成功は世界で旧ソビエト、アメリカ、中国、インドに続いて5か国目となりました。
凄いですね。

 さて、今回はビートルズの興したレコード会社「アップル・レコード」Part1の2回目(中)です。


<ビートルズプロデュース
 ~アップル・レコード Part1:ベスト・オブ・アップル・レコード 中~>


 まずは、この曲「トライ・サム・バイ・サム」からお聞きください。
ジョージ・ハリソンロニー・スペクターが別々に録音した曲が、一緒に聞ける動画です。
これについは、本文途中で種明かしします。

 〇GEORGE HARRISON & RONNIE SPECTOR 「TRY SOME BUY SOME」

 

 


  https://www.youtube.com/watch?v=RyXswe94dYw

 前回の「ベスト・オブ・アップル・レコード 上」(リンク)で宿題になっていた「イギリスの音楽業界を牛耳ってきた旧来のレコード会社のしばり」から始めたいと思います。
2010年にリマスター版に追加されている「ビートルズ・クラブ」のライナーノーツがこのことに関することについて触れています。

●ザ・ビートルズクラブ
 1968年に立ち上げられたアップル・レコードは、まだ「インディーズ」という言葉すらない時代に、ビートルズ自らが立ち上げた革新的なレーベルだった。
 ビートルズは音楽制作そのもの(ビジネスを含め)を、アーティストの手に取り戻そうとした。
「問題は音楽を作る側(ミュージシャン)と売る側(レコード会社)」にギャップがありすぎるということだ」とポール・マッカートニーは自らの経験から生じるジレンマを語っている。
ビートルズの言うところの「スーツを着たお偉いさん」に頭を下げなくともレコードを作れるようにするというのが目的だった。

 ポールはアップル設立の記者会見でこう語っている。
「僕らにはこれ以上のお金は必要ないと思う。
 だからこれは経営者が利益を求めない初めての会社だ
 ぼくらは既にすべての夢をやり遂げた。
 これからは可能性を他の人たちと分かち合いたい。」

 この崇高な精神は、のちのアップルの崩壊につながるのだが、ポールの言葉に嘘はなった。(ポールは現在もリヴァプールに設立した芸術総合学校LIPAでこれを実践している)

 リンゴ・スターはこう語っている。
「アップルは、いわば、レコード会社出版会社を併せ持っていた。
 誰かが僕たらに会いに来て、アイデアや計画を話す。
 それに対し、僕らのひとりでもいいと思ったら資金を出す。
 頭を下げる必要はないんだ。
 僕らは駆け出しの頃、頭を下げなければいけない時もあった。
 だから、他の人たちに頭を下げさせるのは嫌だったんだ。」

アップルはすぐに経営難に陥ったとはいえ、著作権は全てアーティストに帰属し、アルバムの製作費なども払うなど、良心的だった。
アップルの良さを感じたのは移籍してきたバッド・フィンガーだろう。

 (Writers 4 補足)
 アップルが「経営者が利益を求めない初めての会社だ。」そして「著作権は全てアーティストに帰属し、アルバムの製作費なども払う」とあります。
 ただ、会社が継続されるために必要な利益を取らないと、健全な会社経営は難しいと思います。


 更には、必要なアーティストには、ビートルズの曲を提供し、プロデューサーも担当しています。
 これは最初の金銭上の援助以上にアーティストにとっては幸運なことだったと思います。



 それでは、前回に続き、残りのアーティストについて触れていきます。
後半は、ビリー・プレストン以外は僕は知らないアーティストばかりでした。
それでも、興味あるラインアップで、さすがビートルズの起こしたアップルのアーティストと感じました。


(今回も僕たち独自のコメントではなく、CDのライナー・ノーツを使っての説明になります。)

7.ビリー・プレストン

 
CDの8曲目「 神の掟」 1969年
 作詞・作曲:ビリー・プレストン
 produced ジョージ・ハリソン
 ギター:ジョージ・ハリソン、エリック・クラプトン

 ベース:キース・リチャーズ ドラム: ジンジャー・ベイカー 


 全英:11位 全米:62位
 〇That's The Way God Planned It 

 


  https://www.youtube.com/watch?v=Zvt5qkPoxYg

CDの14曲目 「マイ・スウィート・ロード 」
 作詞作曲:ジョージ・ハリソン
  Produced ジョージ・ハリソン、ビリー・プレストン


 ビリーがアップルに残した2枚目のアルバム「エンカレッジング ワーズ」に収められ、フランス・オランダ・アメリカでシングル・カットされた。
 B面は「リトル・ガール」全米90位

 〇My Sweet Lord (2010 Remaster)

  

 


  https://www.youtube.com/watch?v=gdg-FTZekP0 

8.トラッシュ  

 
CDの10曲目 「ゴールデン・スランバー|キャリー・ザット・ウェイト」 1969年 
 作詞・作曲 :レノン=マッカートニー
 Produced:トニー・ミーハン

ビートルズの「アビーロード」リリースから1週間後に発売。
 全英チャート35位

 シャドウズの創立メンバーのトニー・ミーハンを介してアップルにやって来た。
 男性5人組のバンドは、ライブで鍛えたグラスゴー人の集合体。
 バンド内にソングライターがいなかったので、リリース前の「アビーロード」アルバムから、選ぶように促された。
 トラッシュは、ザ・バスファインズという、1969年としてはあまりに「ビート・グループ」くさい名前でアップルと契約。
 
〇Golden Slumbers / Carry That Weight (2010 Remaster)

 

 


  https://www.youtube.com/watch?v=hYado0xE5uE

9.ドリス・トロイ


CDの13曲目  「エイント・ザット・キュート」  1970年

作詞・作曲:ジョージ・ハリソン、ドリス・トロイ
Produced ジョージ・ハリソン
彼女はソウル・ミュージックの聖地ハーレムのアポロ・シアタージェイムズ・ブラウンに才能を見出される。
 ドリスをアップルと契約させたのはビリー・プレストンのアルバム「神の掟」セッションで、バッキング・ボーカルを歌う彼女に目をつけたジョージ。
 「エイント・ザット・キュート」はドリスが日々口にしていたフレーズ。
 彼女とジョージはこの曲をスタジオでゼロから書き上げた。
 これは二人が共作した4曲の内の1曲。
 ゴスペルとソウル R&Bを縦横に行き来するアルバム「ドリス・トロイ」に収録。


 〇Ain't That Cute (2010 Remaster)
  https://www.youtube.com/watch?v=1pLXlM5X_Bs

 

  https://www.youtube.com/watch?v=vy5bAzxwEsM


10. ロニー・スペクター

CDの15曲目 「トライ・サム・バイ・サム」  全米77位
 作詞・作曲:ジョージ・ハリソン
 Produced ジョージ・ハリソン、フィル・スペクター
 アレンジ:ジョン・バーラム

 1973年のジョージのアルバム「リビング・イン・ザ・マテリアル・ワーズ」はこの曲のバッキング・トラックと同一。

 (Writes4
   同じトラックを使っているので、最初の動画にあるように、左にロニー?、右にジョージを置くことが、可能になっています。)


 ロニー・スペクターはヴェロカニ・ベネットの名で、1960年代初期に大人気グループ「ロネッツ」の一員だった。
 ロネッツは1964年ローリングストーンズと英国をツアーし、そこでビートルズに出会った。
 彼らは66年に再会する。
 ビートルズ最後の米国ツアーに前座として参加する。

 〇Try Some, Buy Some (Remastered)

  

 


  https://www.youtube.com/watch?v=ZeWnxY5Uyn4

11. ビル・エリオット&ジ・エラスティック・オズ・バンド

CD19曲目 「ゴッド・セイヴ・アス 」   
 
 作詞作曲:ジョンレノン、ヨーコ・オノ
 Produced:ジョンレノン、ヨーコ・オノ、マル・エバンス、フィル・スペクター
 リズムセクションクラウス・フォアマンとリンゴスター

 アップルが「ゴッド・セイヴ・アス 」に打った広告は”どんな大国にも、横パラに刺さったネジ釘的な存在がいる。イギリスの場合は「オズ」だ”とあった。
 「オズ」とは”イギリスを代表する新聞だ。「オズ」は今、命がけの裁判に臨んでいる。”
 それが、1971年に行われた「オズ」の猥褻裁判。

 弁護側の資金集めのためジョンレノンとヨーコ・オノは「ゴッド・セイヴ・アス」を書き、ジ・エラスティック・オズ・バンドと1度きりのバンド名義でリリースされた。
 契約上の理由から、ジョンは後にジョージ・ハリソンのダークホースレーベルと契約するデュオ「スプリンター」の片割れのビル・エリオットにボーカルを譲る。

 〇God Save Us (2010 Remaster)

 

 


  https://www.youtube.com/watch?v=4TrFDWa3yts
 

12.ロン&デレク・ヴァン・イートン 

CDの20曲目 「スウィート・ミュージック 」
 作詞・作曲:ロン&デレク・ヴァン・イートン
 produced ジョージ・ハリソン
 ドラム:リンゴ
 
 ロン&デレク・ヴァン・イートンは再末期にアップルと契約したアーティスト。
 この兄弟は以前ジェコブズ・グリークというバンドに在籍し、1969年コロンビア・レコードから同名のアルバムをリリースしている。


 〇Sweet Music (2010 Remaster)

 


  https://www.youtube.com/watch?v=JPK8yCxrTe4
 
 ジョージらしいなこの曲の雰囲気。

 〇Sweet Music 二人の説明付き Ver

   

 


  https://www.youtube.com/watch?v=lI9kAQC7ffU 


6.ジャッキー・ロマックス(追加)

すみません、前回ジャッキー・ロマックスのもう1曲の紹介が漏れていました。


CDの9曲目 「ニュー・デイ」  1969年5月
 
作詞・作曲:ジャッキー・ロマックス
 produced&arannded ジャッキー・ロマックス、マル・エバンス

 イギリスきってのブルー・アイド・ソウル・シンガーのジャッキー・ロマックスは、その前にまずソングライターだった。
 ジャッキーはアップル・レコードが発足する前から アップル・パブリッシシングと契約していた。
 曲の力でレコーディング契約を勝ち取った。
 
 〇New Day (Mono Single Mix / Remastered 2010 / Bonus Track)

  

 

 

  https://www.youtube.com/watch?v=N6v5IziJPVk

 

この続きは、「ベスト・オブ・アップル・レコード でビートルズが発掘したアーティストを中心に残りの4組をご紹介します。