特撮テレビ番組に使われたクラシック:『ウルトラセブン』 | 懐かしエッセイ 輝ける時代たち(シーズンズ)

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懐かしい’60s’70s’80s
ひときわ輝いていたあの時代の思い出のエッセイ集です。
毎週土曜日更新予定です。

 今日は。

夏休みも終盤ですね。

僕が小学生の時も、子供達が小学生の時も、この頃は宿題に忙しい時でした。今の小学生はどうなのでしょうか?

 

 僕の駅にある唯一の貸しビデオ店TUTAYA○○店が先日30年の歴史を閉じました。やはり、ネットや宅配で借りたり、ネットそのもので視聴する方が多くなったのでしょうか?

 

この店は併設する本屋さんが経営していたと思われます。リアルの貸しビデオ店の閉店は時代なのでしょうか?

リアルの本屋さんの方が残るような気もします。

 

<特撮テレビ番組に使われた      
   クラシック:『ウルトラセブン』>
 しばらく前に、「映画で使われるクラシック」と題して、2001年宇宙の旅『ツァラトゥストラはかく語りき』(リヒャルト・シュトラウス)やスティングの『ジ・エンターティナー』(スコット ジョブリン)を紹介しました。
今回は、少し対象を変えて、映画ではなくテレビの特撮番組で使われたクラッシックを紹介します。
取り上げるのは『ウルトラセブン』の最終回「史上最大の侵略」です。
実は、ウルトラセブンについて特撮担当のKaitoもあまり書いていないのです。
 
<ウルトラシリーズ>
 『ウルトラセブン』は1967年10月1日から68年9月8日までTBSで放送されました。
「武田アワー」という日曜日7時から7時半の間帯です。
オープニングに武田薬品の大阪工場の空撮映像と、東京混声合唱団による「♪タケダ、タケダ、タケダ…」の合唱フレーズが流れましたね。
「武田アワー」とそれに続く「不二家の時間」については、いつか書きたいですね。

 特撮物としては、1966年1月に『ウルトラQ』が開始し、少年の僕たちはその斬新さに驚きました。そして少し恐怖を覚えました。
66年の7月に、『ウルトラQが終了し、それに続き、ウルトラマンが開始されました。
地球に3分間しかいられない巨大ヒーローに僕たちは、ハラハラしながらも、夢中でした。
『ウルトラマン』は67年4月に終了し、続いてシリーズ第三弾として、円谷プロではありませんが、キャプテンウルトラ(リンク)が放送されました。
『キャプテンウルトラ』に続いたのが『ウルトラセブン』です。
 僕は、『ウルトラセブン』がウルトラシリーズの中でも特に好きでした。
時々再放送や、何かの特番で少し見直したことはありますが、シリーズ全部をビデオで見返したことはありません。
ですので、ウルトラセブンも三分間しか地球に居られなかったのではなどの、間違った記憶も多々あります。
正直、『ウルトラセブン』は少年の思い出として大事にしまっておいた気もします。
 
<シューマン 『ピアノ協奏曲イ短調』>
 さて本題です。
相棒のKaitoにセブンで何か印象的なところはと聞いたら、「記憶があいまいで・・」と特撮担当の彼にしてはつれない返事が帰ってきました。
そこでテーマを少し絞って「最終回の音楽はどうだった?」と尋ねたら、即座に「クラシック」と帰ってきました。

 僕も最終回で、よく覚えているのは、ダンがアンヌ隊員に自分がウルトラセブンだと告白するシーンです。
アンヌ隊員が傷ついたダンを少年のもとに、迎えに行くシーンで、ダンがアンヌ隊員に告白するシーンです。
この時二人のバックが光の束になり、突然ピアノの音が流れます。
ピアノの流れるというより二人に襲いかかるという感じでしょうか。
 
「僕はね、僕はね、人間じゃないんだよ、M78星雲から来たウルトラセブンなんだよ。」
 そして、その流れの中で、
「行かないでダン!」「アマギ隊員がピンチなんだよ!」
 
そのシーンをYouTubeで探して見ました。
〇ウルトラセブンとシューマンのピアノ協奏曲イ短調

 

 


そのバックに 流れているピアノ曲がシューマン『ピアノ協奏曲イ短調』の第一楽章冒頭です。
もちろん、子供の頃にその曲がロマン派を代表する作曲家シューマンの曲なんて知る由もありません。
あまりにこのシーンに合うので『ウルトラセブン』のために書かれた曲だったと考えていました。
そして、このダンの自分がウルトラセブンであることの告白するシーンのみに、シューマンの『ピアノ協奏曲イ短調』が使われていたと記憶していました。
今回画像を見直すと、この最終回では、告白の後の怪獣との戦いの中等でも、この曲が使われているんですね。
ダン、いやウルトラセブンが自分の命を懸けて戦っているシーンに。
同じように考えた小学生も多かったのではないでしょうか?

最近こんなYouTubeを発見しました。
〇N響ほっとコンサート2016 ウルトラセブン

 

 

これはN響のコンサートマスターがやはり、『ウルトラセブン』が好きで、僕と同じようにこの曲が『ウルトラセブン』のために書かれた曲だと誤解していました。
 
 
ピアノ協奏曲第一番を全曲聞きたい方はこちらへ。
テレビのバック流れたバージョンと同じカラヤンが指揮するべルリンフィル版です。ただしテレビのバージョンとは、ピアニストが違います。
 
〇シューマン - ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54 ツィマーマン(ピアノ)カラヤン ベルリンフィル

 

 

 
<エピローグ>
 今回書いていてきて気づいたのは、毎週30分の特撮番組を撮るのは、費用的にも、日程的にも大変じゃなかったのかなということです。
まるで、63年に開始され、毎週放送された鉄腕アトムのようだったのではと、今更ながら考えてしまいました。
 
SFX等がふんだんに使える現在と違い、当時全て特撮せざるを得なかった時代の、難しさを感じます。
同じ頃放映されていたスタートレックは作品的にはもちろんその素晴らしさは誰もが認めていますが、特撮的には、『ウルトラセブン』は『スタートレック』以上の出来ではないでしょうか?
数ヶ月前に、何十年かぶりに初期の『スタートレック』を数回分だけですが、見る機会があり、「こんな映像だったけ?」と感じました。(スタートレックはデジタルリマスター版の登場で特撮部分が美しくリニューアルされていたことをKaitoから聞きました。それでも、僕の記憶の中では遥かに素晴らしい特撮的映像でした。)

ただ、地球を舞台にしている『ウルトラセブン』と壮大な宇宙を飛び回る『スタートレック』ではその世界観の違いはありますが。
そして特撮はKaitoの領域なので、ここら辺は彼に任せましょう!