健康と安全を考えるペット屋さんブログ -3ページ目

ゴールデンレトリバー・ルナ物語・72

ルナを飼おうと考えている頃、知人から
「犬がいると、旅行へは行けなくなるわよ。」
と言われたこととがあった。犬を預けるホテルのような施設があることを調べ、ゴールデンレトリバーを飼うことになるので、我々が出掛ける時には、預かってもらえるだろうか、と相談した。大丈夫だと思いますけど、実際に預かる前に、一度連れて来ていただいて、うちの施設で観察されてもらう必要があります、という回答をいただいた。
妻も私も専門が同じなので、学会、研究会は一緒に出掛けることが多い。毎年、3-4回程度は出掛ける。出掛ける時には、私の両親に頼んで、我々の自宅に来てもらい、ルナのために留守番してもらうようにしてみた。初めの頃、ルナは我々がいないこと、しかし、時々やってくる両親が一晩中いるので、落ち着かず、興奮した様子を示したり、逆に、ずっと玄関で我々を待ちわびる様子で過ごしたりしていた、というやはり不安定な状態を示した。おかしいなあ、もう帰って来る筈なのに。この人たちといるのも楽しいけど、もう帰るのかなあ、とでも考えを巡らしていたのだろう。
うちは、居間の隣に和室があり、仏壇を置いている。両親はその和室で寝てもらうように用意していた。両親に来てもらう日には、部屋を片付け、布団を乾燥機で乾燥し、妻が用意を整える。いつもは我々の寝室で眠るルナは居間のソファの上か、クレートの中で寝るだろう、と予想していた。ところが、ルナは夜中に、居間と和室の間の木製の引き戸を開け、和室の中に入り込んでしまったという。両親の着布団の上を歩き回り、両親のそばで過ごそうとしたという。居間でひと眠りして目覚めてみると、改めて我々が居ないことに気づき、家の中を探索した結果、和室に入りこんだのだろう。
我々は留守をしているものの、どうにか、大きなトラブルは起こさずに、ルナは両親と過ごすことが出来た。
夜中に和室に入りこんだのは、一度だけだった。その後はそのようなことはせずに、過ごすようになっている。我々が帰宅するのは夕刻であることが多いので、夕刻になると、玄関で待つ様子を示す、と両親から聴いた。
我々は出先でも、ルナは大丈夫かなあ、元気がないのかなあ、と考えることが少なくない。
ルナが来て以来、学会、研究会以外の旅行に出掛けることはなくなってしまった。旅行へ行くなら、ルナを連れ
て行ける行き先にしたい、という思いが強い。



【原澤泰比古プロフィール】


原澤循環器科・内科クリニック 院長
福岡市早良区藤崎1-22-10
電話 092-842-2266

2000年11月6日開業
2007年10月23日、現在地に移転

循環器科とは、心臓血管の病気に対する診療を行う科で、狭心症、不整脈、高血圧などの疾患です。これらの疾患のみならず、広く眩暈、長引く咳の患者さんも多く来院されます。健康、病気についての疑問は私どものクリニックで解決できるものは解決し、解決できないものは、患者さんの相談の上、最も適している医療機関に紹介させていただきます。つまり九州医療センター、九州大学病院などの基幹病院への入り口の役割も果たそうと考えています。


ペタしてね


ゴールデンレトリバー・ルナ物語・71

以前書いたように、ルナは我々のベッドに登るのが好きだ。気温が下がって来るこの時期になると、日中、ベッドは陽だまりになるので、ルナはこの陽だまりの中に身を置くのが好きだ。
やはり、獣がベッドに上がれば、毛も落ちるし、ルナの臭いが布団につくので、妻は好まない。しかし、ルナはそんな理屈はわからないので、至福の場所の一つと思っているようだ。
朝、我々がまだベッドの中にいる間に、ルナはベッドに登って来る。我々2人の間に場所をとろうとする。我々の間でしゃがんで、顔が我々の足の方を向いてしまうと、「あれ、こうじゃない」と思って、身体を回転させて、頭を我々の顔の方に向ける。我々はルナを撫ぜる。一日はこうして始まる。
朝はベッドに登ることを許され、昼は自分の裁量でベッドに登る。当然、夜も登りたい、出来れば、ベッドの中で我々と一緒に眠りたい、と思っているようだ。夜、我々のベッドの周りをうろうろしながら、ベッドに登れる隙はないか、とうかがう。これを許してしまうと、際限がなくなるので、妻は断固登らせない。ルナは諦めで自分の円形ベッドに戻る。
日中、何回もベッドに登ることに成功すると、「きっと、今日は大丈夫だろう」と思うのか、夜のベッドへのアタックに熱意が籠る。しかし、妻に跳ね返される。
考えてみれば、時間帯によってベッドに登ることを許されたり、許されなかったりするので、ルナは混乱するに違いない。実は、我々の恣意がルナを迷わせていることになるだろう。
ルナに対して、出来るだけ終始一貫した態度をとろうとしている我々も、実はこうした曖昧さがある。


【原澤泰比古プロフィール】


原澤循環器科・内科クリニック 院長
福岡市早良区藤崎1-22-10
電話 092-842-2266

2000年11月6日開業
2007年10月23日、現在地に移転

循環器科とは、心臓血管の病気に対する診療を行う科で、狭心症、不整脈、高血圧などの疾患です。これらの疾患のみならず、広く眩暈、長引く咳の患者さんも多く来院されます。健康、病気についての疑問は私どものクリニックで解決できるものは解決し、解決できないものは、患者さんの相談の上、最も適している医療機関に紹介させていただきます。つまり九州医療センター、九州大学病院などの基幹病院への入り口の役割も果たそうと考えています。


ペタしてね


ゴールデンレトリバー・ルナ物語・70

両親が我々の家へやってきて、夕食をともにした時のことだった。父は、少量のビールとともに、夕食を摂った。ルナは、自分は関係ないようだな、別にご相伴にはあずかれないようだな、と思っているようで、ダイニングテーブルから離れて、大人しくしていた。
夕食を終えて、父は、ソファにすわ移動し、母、妻、私とそれぞれに椅子に座りながら、雑談を続けていた。そのうちに、父が眠り始めたように見えた。単に眠り始めたのではなく、身体から力が抜け、ソファに座った姿勢から、腰が前方に向かって、ゆっくりと滑ったように見えた。眠りに入ったというより、ひょっとすると、意識が低下しているのかもしれない、と感じた。
私は父に近づき、声を掛けた。応答がない。やはり、意識障害かもしれない、と感じた。すると、ルナが勢い込んでやってきて、普段はしたことないような動作を始めた。座っている父の膝の上に、片方の前脚をかけ、もう一方の前脚で、父の胸や肩を叩くような動作だ。
それほど時間が経たないうちに、
「おおーっ」
と声をあげて、父は意識を回復した。
実は、私の専門の一つは失神(一過性意識消失)なので、父の状態を観察しながら、これはあまり重症ではない、と踏んでいた。父は、これまでにも数回気を失ったことがあり、今回も飲酒後のことなので、血管が比較的急激に拡張し、血圧が低下。意識を失ったのだろう、と瞬時に考察していた。しかし、ルナにはそんな診断を下せる訳はなく、おっ、あの爺さんがおかしいぞ、声かけなくっちゃ、とばかりに、父に飛びかかっていったと思われる。結果的には、ルナのその行動が父を意識を回復させたので、ある意味ではルナのお手柄だった。
後日、このルナの行動を田中先生に報告した。ルナが父のことを心配して、起こした行動だろう、との我々の解釈を田中先生に告げた。
「いや、そうじゃない、と思うよ。多分、ルナはね。そこにいる人たちの中で、お父さんの調子がおかしくなると、人間関係が変化して、その結果、自分の扱いが変わるかもしれない、なんて察知して、自分を取り巻くこれまでの状況を保つためには、お父さんを起こさなくちゃ、と考えたんだと思う。」
と解説してくれた。犬は何て賢いんだ、いや、計算高いのか。決して、単純に助けに行ったのではないのか、といささか驚いた。




【原澤泰比古プロフィール】


原澤循環器科・内科クリニック 院長
福岡市早良区藤崎1-22-10
電話 092-842-2266

2000年11月6日開業
2007年10月23日、現在地に移転

循環器科とは、心臓血管の病気に対する診療を行う科で、狭心症、不整脈、高血圧などの疾患です。これらの疾患のみならず、広く眩暈、長引く咳の患者さんも多く来院されます。健康、病気についての疑問は私どものクリニックで解決できるものは解決し、解決できないものは、患者さんの相談の上、最も適している医療機関に紹介させていただきます。つまり九州医療センター、九州大学病院などの基幹病院への入り口の役割も果たそうと考えています。


ペタしてね