映画「阿修羅のごとく」について少し |      生きる稽古 死ぬ稽古

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ー毎日が おけいこ日和ー
        

たまたま選んだ作品の

どちらにも小林薫が出ているという不思議びっくり

 

↓こちらはそのひとつね。

そして

(まぁおもしろいに決まってるだろうなぁ)

と思って借りてきたのが

「阿修羅のごとく」

です。

 

これは1979年と1980年にNHK総合テレビで放映された

向田邦子原作のホームドラマ。

 

向田邦子は脚本家として名を馳せ

(「寺内貫太郎一家」は有名ですよね)

エッセイストや小説家としても

素晴らしい作品を残しています。

 

日本において<エッセイスト>という言葉は

彼女に対して付けられた言葉じゃないかって

私は思っているんですけどね。

 

でも、もともとホームドラマって

あんまり観てこなかった私は

このNHKのこのドラマを知りません。

 

なので、2003年に制作された

この映画を見てみようと思ったわけです。

 

監督は森田芳光

いい監督だと思っていたのよ。

「模倣犯」を観るまではねチーン

 

↓Wikiを読んだら、

 

2002年に、宮部みゆきの大ベストセラー小説を原作とした、中居正広主演のミステリー『模倣犯』を撮った。興行的にはヒットしたが、全編にわたって独自のメディア論を展開したため、純粋なサスペンスを期待した原作者および原作ファンの怒りを買った。

 

なんて書かれている

そりゃぁ、そうだろう。

あの映画はヒドかったものチーンチーン

 

(↑私もあんまり大したことは言ってないゲッソリゲッソリ

 

その翌年にこの「阿修羅のごとく」が撮られたわけなんですけど、

これはいいです!

向田邦子の世界観を崩していません。

 

 

ただ、私はNHKのドラマを観てないので

そう言えるんですけど、

ドラマを観ている方々からは

<ドラマには遠く及ばない>

という声が多いみたいです。

 

原作 向田邦子

演出 和田勉

 

ですからね。

そりゃぁ、すごいでしょう。

 

で、ドラマの方の配役は

父    佐分利信

母    大路三千緒

長女   加藤治子

次女   八千草薫

次女の夫 緒形拳

三女   いしだあゆみ

四女   風吹ジュン

 

 

いっぽう、映画の方は

父    仲代達矢

母    八千草薫

長女   大竹しのぶ

次女   黒木瞳

次女の夫 小林薫

三女   深津絵里

四女   深田恭子

 

豪華な役者の名前が挙がっています。

 

ドラマの方が…という評価が高いようですが、

でも、この映画の方でも

昭和という時代の雰囲気は

よく伝わってきます。

 

お正月に家族が集まった時の雰囲気とか

結婚式には親だけでなく

姉たちも留袖を着るんだね、ということとか

お葬式の時の台所のガザワチャした感じとか

なんということもない日に年寄りがウトウトするとか…。

 

向田邦子というヒトは

日常の、何気ない一コマを切り取ることが

とても上手なヒトだったんです。

 

映画の中で

次女が母と話していたのは

「子どもの頃に体が弱かったから

よく足の裏を陽に当てられた」

というエピソードですし、

三女が四女に向けて

「お父さんはあなたの背中を丁寧に洗ってくれたけど

私に方には見向きもしなかった」

というエピソードなんかも出てきます。

 

たとえ、同じ経験がなくても

(あぁ、その感じ、ワカル〜〜〜)

ってなっちゃうんです、昭和生まれはね。

 

ドラマにはあって、映画にはないもの。

それは<情念>だと語る人もいるようで、

う〜〜ん<情念>ってナンダ?

と考えてしまうのですが…。

 

 

 

映画の中で

本妻(桃井かおり)と不倫相手(大竹しのぶ)

が火花を散らす場面があります。

 

こんなシーン、なかなか観られるものではなく

二人の大女優の迫力あるシーンです。

 

が、ドラマを観た人からは

情念が足りないという声もあるようで、

やっぱり昭和と情念(特に女の)とは

欠かせない繋がりがあるようです。

 

 

↑こちらはドラマの画像です。

観てないからなんとも言えないですけどね〜。

 

でも、タイトルにある

「阿修羅」な感じは

残念ながら映画では感じ取れなかったなぁ。

それが<情念>なのかなぁ。