気ままな日常を綴っています。 -34ページ目

気ままな日常を綴っています。

いつか静かに消える時まで。。
一人静かに思いのままに生きたい。。

(物語)

翌日、皇帝が到着しました。

ロストフ家の召使い達も何人か皇帝を見に行く事が許されました。

その頃ペーチャは、長い時間を掛けて服装を整え、髪も綺麗にとかして、襟の形も大人のように作っていました。

やがて誰にも言わずに帽子を被ると、見つからないように気を付けながら、そっと裏玄関から出ました。

ペーチャは、真っ直ぐに皇帝の居る所へ行き、侍従の1人を捕まえて、自分はロストフ伯爵である事、年齢は若いが、祖国に尽くしたいと望んでいる事、若い事は忠誠を尽くす妨げになり得ないし、自分は進んで。。と言うような事を言上しようと決意していました。

 

ペーチャが、皇帝に拝謁が叶うだろう。。と考えていたのは、自分が子供だからだ、という理由からでしたが、しかしそれと同時に彼は努めて自分を大人に見せようとしました。

しかし、次第にクレムリンが近くなり、後から後から押し寄せる人波に目を奪われ、彼はもう突き飛ばされないようにと、そればかりに気を取られていました。

ところが、トロツキイ門の所で、彼の精一杯の頑張りにも拘らず、人々が、どうやら彼がどのような愛国的目的を持ってクレムリンに赴こうとしているのか知らないらしく、激しく彼を壁に押し付けたので、彼はやむなくその人波の力に屈服し、立ち止まって何台かの馬車が通り過ぎるのを待たなければなりませんでした。

 

ペーチャは、顔に吹き出した汗を手で拭い取り、家でせっかく大人のような形に作ってきた襟が汗に濡れて崩れたのを直しました。

ペーチャは、自分の格好があまり立派と言えないのを感じて、こんな姿で侍従達の前に出たら、皇帝の側へ通してもらえないのではないか。。と心配になりました。

馬車で通りかかった将軍の1人が、ロストフ家の知り合いでした。

ペーチャはその将軍に助けを求めようとしましたが、すぐにそれは男らしさに背く事だと思いました。

 

馬車が全部通り過ぎると、群衆はどっと流れ出し、ペーチャも広場に押し出されました。

広場へ出た途端に、クレムリン中を満たした鐘の響きと嬉しそうな群衆のざわめきが、強くペーチャの耳を打ちました。

しばらくの間、広場の中は少しゆったりとなりましたが、ふいに群衆が一斉に帽子を脱ぐと、どっと前方へ雪崩を打って進みだしました。

群衆は口々に叫び立てました、「ウラー❗️ウラー❗️」、ペーチャは背伸びをして前の者に掴まったり、押したりしてみましたが、周りの群衆の他は何も見えませんでした。

 

どの顔にも一様に感動と歓喜の表情がありました。

ペーチャの側に立っていた商家のおかみが、おいおいと声を上げて泣き出しました。

「ウラー❗️」という叫び声がまわり中から上がりました。

ペーチャは、もう無我夢中で歯を食いしばり、獣のように目をギラギラさせながら、今なら、自分をも誰をも殺しかねないような勢いで、両肘で突きまくり、「ウラー❗️」と声を限りに叫びながら押しまくりました。

『そうか。。皇帝とはこういうものなのだな❗️』と、ペーチャは思いました。

『ダメだ、自分で陛下にお願いするなんて、とても出来ない。あんまり向こう見ずすぎる❗️』そうは思いながら、彼はやはり必死に突き進んでいました。

 

ところが、その時群衆が後ろへ揺れだしました(前方で警官達が寄せ過ぎた群衆を押し返したのでした。皇帝は宮殿からウスペンスキイ寺院へ行くところでした。)、そしてペーチャはふいに横から肋骨に猛烈な打撃を受け、気を失ってしまいました。

気が付くと、後頭部に一房の白髪を残した、擦り切れた青い法衣をまとった輔祭(※主教・司祭の許(もと)で、主教・司祭を奉神礼において補佐する)らしい老僧が、左手で彼を抱きとめ、右手で押してくる人波から庇っていました。

「子供が圧しつぶされたぞ❗️なんという事だ❗️押しちゃいかん。。圧しつぶされたのですぞ❗️」と、輔祭は言いました。

 

皇帝はウスペンスキイ寺院に入りました。

群衆は押し合いを止めて、広がりだしたので、輔祭は蒼白な顔をした、虫の息のペーチャを『大砲の王様』(※クレムリンにある1586年鋳造の有名な大砲)の方へ連れて行きました。

何人かの人々がペーチャに同情を示しました、すると人々が集まって来て、たちまち周りに人垣が出来ました。

側に居た者達が世話を焼いて、フロックコートの胸をはだけてやったり、大砲の台座に座らせたりして、彼を圧し潰した人々を非難しました。

 

ペーチャは間も無く意識が回復し、赤みが顔に戻り、痛さが去りました、そしてこの一時の不快な出来事のおかげで、彼は大砲の上の場所にありつきました。

彼は、ここからなら皇帝が戻る所を見られるはずだ、と思いました。

ペーチャはもう、請願しようなどとは思いませんでした、皇帝の姿を見られさえしたらーーそれだけでもう「自分はどれほど幸福だろう。。と彼は思いました。

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(解説)

はい。

この部分は、ちょっとトルストイの「強い主張」を感じましたね。

ロストフ家の末息子の15歳のペーチャなのですが、この少年はボロジノの戦いに、親の猛反対を振り切って出征するんですね。まだそこまでは読んでいませんけれど、今、彼が「お国の為に戦争に行かせて欲しい。」と、両親に必死に説得している所ですね。。

この子の出征については、愛国心の塊のような両親も流石に許すことが出来ないようですね。

 

この子は、ボロジノの戦いで、犬死してしまうんですよね。

この戦いでは、ペーチャのような多くの少年達が志願して戦争に参加し、何の名誉も与えられる事なく亡くなったと思います。

戦争に参加したい愛国心の厚いペーチャは、モスクワに来た皇帝を一目見よう、そして自分を軍隊に入れてくれるように皇帝に直訴しよう、となるべく大人びた格好をして一人で一生懸命歩いてクレムリンまで出掛けるのですけれど、そこには同じく愛国心旺盛なモスクワ市民が大勢駆けつけていて、ペーチャのような小さな少年はもみくちゃにされてついには気絶するんです。

そこへ擦り切れた法衣をまとった老僧がが、彼を抱きかかえ「子供が圧し潰されたぞ❗️何とした事だ❗️押しちゃいかん。。圧し潰されたのですぞ❗️」と叫ぶのですね。(➡︎おそらく、トルストイは、この老僧を『神の化身』もしくは『トルストイ自身』として描いたと思います。もちろん『圧し潰された』は、ペーチャの運命=戦死を意味します。)

それを聞いた群衆が心配してペーチャに駆け寄り、彼は『大砲の王様』(有名な大砲)の上に乗せられて特等席で皇帝を拝する事が出来た・・という下りですね。

 

この部分はとてもトルストイの『反戦思想』を感じましたね。

群衆の愛国心は本当は間違ったものでは無いはずです。

しかし、戦争というものにより愛国心が行き過ぎると、こんないたいけな少年の命が犠牲にされるのだ、そして、この少年たちは、何ら名誉を与えられる事なく犬死してしまったのだ、その事実を忘れてはいけない、というトルストイの無念さが感じられます。

そしてペーチャが大砲の上に掲げられた、という事実は、この(ペーチャに代表される)子供達の、命をも捧げると言う純粋な愛国心こそ尊く、誰よりもはっきりと皇帝を拝す事が出来てしかるべきでは無いか。。と言う気持ちが見えますね。

(でも、トルストイはそんな愛国心で命を落とす事は是認はしていないはずです。)

実際、野原の上で死体を晒したまま、何ら華々しい国葬をされた訳では無いんでしょうからね、こう言う少年たちは。

 

また、ペーチャもニコライと全く同じ真っ直ぐな素直な性格ですね。

それに、『皇帝の為に=ロシア帝国の為に』という愛国心がとても強いのも同じですね。

ロストフ家は、経済とか教育に関してはやや❓という部分は有っても、人間としての温かい血が通っている一族なのですね。

人の良い温かくて優しいお金持ちという、当時のロシア貴族の典型的な1つのモデルとして描かれているのがわかります。

トルストイはこの一族にロシアの大地に抱かれた大らかさと真の優しさや強さを表現しているように思いますね。

多少間抜けな点はあるにしてもですね。

お早うございます♪  今朝は、令和7年12月25日の日記です♪

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こんばんはー♪

現在18時20分です。

室温15.8度。湿度30%です。

ちょっと北風の吹く音が聞こえますし、冷えてきていますね。。

明日は、1桁台の気温みたいです。暖かくして過ごしたいものですね。

 

はい。昨夜は結局20時位まで英単語を調べたりしていました、珍しいです。

で、今朝は(⬇︎)の時間です。

外は雨が降っているみたいです。

 

昨夜ね、息子夫妻に送る荷物(ナッツ類、干し芋、生パスタ、りんご)を梱包していたのです。

でっかいリンゴをね、買ってきていたの5個くらい。。とても立派なのをです。

1つだけ、ちょっとキズが有ったので、それは自分用にして、心配だから昨夜半分に切ってみたのです。

 

で、今朝4分の1個だけ剥いてみたのですけれどね、こんなに綺麗な蜜入りだったのです💞

それに美味しい〜〜〜✨

ああ。。美味しいりんごでよかったな。。と思いました(^。^)

このりんごね、デパートだったら1個400円とか500円とかしているみたいですが、マルキョウで200円くらいで買ってきたものです。

でもー。。すっごく大きくて形も整っていたので、「それでいいか〜♪」と送っています。

 

昨日、鶏モモ肉の細切れの小パックがお安くなっていたので、ちょっと鍋を仕込んでおきました。

今日は、10時に郵便局にゆうパックを発送しに行って、其の足でちょっと遠い喫茶店に行く予定なのです。

夕食にお豆腐とお野菜だけでも食べれたらいいかな。。とかで作っていました(結局、食べずにそのまま冷蔵庫に入れて明日にスライドしましたけれどね💦)

 

で、10時過ぎにようやく福岡市は小雨になって来たので、『予定通り』お出掛けをする事にしました。

まず、ゆうパックの発送を済ませ、その足で南薬院から浄水通りに出ました。

ここは浄水通です。

可愛いパンジーさんたち💞が植えられています♪

 

浄水通から平尾山荘の方面に曲がります。

平尾山荘は、現在茅葺き屋根の葺き替え中です。

今、こういうのってなかなか大変だと思います。

昔は、普通に農家さんがやっていたんでしょうね、若い男性衆とか。。

昔の農民って凄い器用ですよね。注連縄も作るし、石積みもするし、水路も作るし。。

 

山荘のお庭を散歩しました。

ジョウビタキさんはまだ姿を見せていません💦

 

平尾から山荘通りという通りに出ました。

ここは、大昔バスで通学していた道路です。

かなり昔の並木道で、向こう側の木の向こうに歩道があります。

要するに、車道と同じくらい歩道が取ってあるのです。

すごく渋滞してましたけれど。。今は、ここのバス路線はあまり通らないみたいですね(1時間に1、2本くらい)

天神行きは、小笹の山越え(私が日曜日にいつも通る道)になりましたから。

でもね、昭和40年代の匂いがするんですよね。。ここら辺。

 

これは。。山荘通りから寺塚に行く方面に登る途中にある大きな門構え。

これは1度ブログにアップしたと思います。

これは、おそらく高校の同級生がかつて住んでいた大邸宅ですね。

お屋敷は今あるのかな。。。❓

時々、バスで一緒になりましたけれど。

奥様は当時高校一の美人さんです(^。^)

福岡市の著名な通りの名前になっている一族の敷地だと思います。

今、公的な使用❓をしている感じですね。。ちょっと荒れた感じもします。(一族は健在。多分ね)

 

これは寺塚にある喫茶店です。

ここでランチをしました。

もちろん、コーヒーも付けてね❣️

その様子は、元旦の夕方にでもアップします✨

 

でもまあ。。。Xmasだから、帰りに石村萬盛堂の喫茶室に寄ってケーキもいただきましたよ〜✨

すんごい食べたのに〜〜〜💦

本当はイチゴのショートケーキをいただきたかったのですが、イチゴが乗っているというだけで価格が倍近くになるんです。

だから、この辺にしました、もう高価なご飯も頂いたし、お高い美味しいコーヒーも堪能したのだしね(^。^)

でもね、このセットで税込750円くらいだったです。まあまあかな✨

 

帰宅後は、お腹がいっぱいすぎるのと、今日から少し冷えているのと、お天気がイマイチなので、ちょっと眠かったです。

英語はようやく1日分だけ解読してノートに書き写しました。

 

16時半になると、ようやく外は日が射して来ました。

ちょっと嬉しいお日様です。

 

さて。。今日はご乱行続きでした。

明日(=今日のこと)は12時に美容院を予約しています。

ご飯の支度は出来ているし、少しお掃除をしようと思います。

今夜は、リンゴを4分の1個食べようか。。悪くなるし。。とは思いましたが、ヤメます💦

どのくらいお腹一杯か。。💦  ミニちゃんぽんくらいにしておけば良かったかも〜とか思っています。

 

さて。。18時52分ですが、あと1時間くらいは何かしないと。。と思っています。

お目目がいつまで持つか疑問ですけれど。

 

それでは、今日も良い一日をお過ごし下さいね💞

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(余談)

After attacks by wild bears in the prefecture, Japan’s Ground Self-Defense Force is going to give Akita Prefecture logistic support. The support includes transporting box traps, but the SDF will not hunt bears directly.

クマの襲撃が県内で相次いだことを受け、陸上自衛隊は秋田県で後方支援を行うことになった。箱わなの輸送などの支援が行なわれるが、自衛隊はクマの駆除は実施しない。

  Japan’s Ground Self-Defense Force:(日本の)陸上自衛隊(SDF:自衛隊)

    logistic:兵站(へいたん)(学)の;後方支援の(形容詞)

  logistic support:後方支援

  box trap:箱わな
  trap:わな、仕掛け、落とし穴(加算)
  hunt :(…を)狩る、(…の)狩猟をする(他動詞)
 

The prefecture has faced many sightings and injuries, including deaths. Local officials say they cannot cope with the situation alone.

秋田県ではたくさんのクマが目撃され、死亡も含む人身被害が発生している。地元当局者はこうした現状に自分たちだけで対処することは困難だとしている。

  sighting:目撃(この場合加算)

  injury(複数形: injuries):(事故などによる)傷害、危害、損害、損傷(この場合加算)

  official:公務員、役人、競技役員(名詞)公式の、後任の(形容詞)

  cope:〔+with+(代)名〕〔困難な事などを〕うまく処理する; 〔…を〕抑え(ようとす)る 《★受身可》(自動詞)

 

This support is expected to become a model for other areas.

この支援が他地域のモデルケースとなることが期待されている。

  be expected to不定詞:〜を期待されている
 

A man in his 70s was stabbed in the southwestern Japan city of Fukuoka on Monday evening, and his 37-year-old unemployed son was later arrested on suspicion of violating the swords and firearms control law.

月曜日の夕方、福岡市で70代の男性が刺される事件が発生した。その男性の37歳の無職の息子が、銃刀法違反の容疑で逮捕された。

  stab:(…を)刺す、(…に)刺す、突き刺す、鋭く傷つける(他動詞)

  unemployed:仕事のない、失職した、無職の(形容詞)

  be arrested on〜:〜の罪で逮捕される

  violate:違反する、犯す、破る、そむく(他動詞)

  the swords and firearms control law:銃砲刀剣類所持等取締法

   firearm:銃器

(物語)

シンシンが老伯爵の愛国心に対して用意していた戯言をまだ言い出さぬうちに、ナターシャがいきなり立ち上がって父の前に駆け寄りました。

「素敵だわ、大好きよ、パパ❗️」と、彼女は老伯爵に接吻しながら言いました、そして、活気と共に彼女に戻ったあの無意味な媚びを込めてピエールをじっと見ました。

「ほう、すごい愛国女性が現れたぞ❗️」と、シンシンが言いました。

「伯父様は何でも茶化すけど、これは全然冗談事ではないわ。」と、ナターシャはムッとして答えました。

「冗談事なものか❗️陛下のお言葉さえあれば、我々は皆立ち上がるのだ。。我々はそこらのドイツ人どもとは訳が違う。。」

「お気付きになりましたか❓策を議し、とありましたね。」と、ピエールは言いました。

「なに、そうなればもう何の為であろうと、、」

 

その時、それまで誰にも無視されていたペーチャが、父の側へ寄ると、顔を真っ赤にして、声変わりで太いのと細いのが混じり合った声で言いました。

「今こそ、パパ、僕はっきり言うけどーーママも何なら聞いて下さいーー僕を軍務に就かせて下さい。だって、僕はじっとしていられません。僕が言いたいのはこれだけです。」

伯爵夫人は恐ろしそうに天を仰ぐと、両手をぱちっと合わせて腹立たしげに夫を見ました。

「そらごらん、藪を突いてしまって❗️」と、彼女は言いました。

だが、伯爵は直ぐに興奮から自分を取り戻しました。

「おやおや、また1人勇士が現れたか❗️馬鹿な事を言うものじゃない。おまえは勉強せにゃいかん。」

 

「これは馬鹿な事じゃありません、パパ。オボレンスキイは、フェージャは僕より年下だけど、やはり行くんです、でもそれより、どうせ勉強なんか出来ません、この。。」ペーチャは詰まって、真っ赤になって汗を吹き出しましたが、それでも思い切って言いました。「祖国が危ない時に。。」

「もうよい、よしなさい、馬鹿な事を。。」

「だってパパは自分で言ったじゃありませんか、全てを捧げるって。」

「ペーチャ❗️わからんのか、お黙り」と、老伯爵は座った目で下の息子を凝視している夫人の蒼白な顔へ目をやりながら、怒鳴りつけました。

「でもパパ、僕言います。ここに居るピョートル・キリールイチも言ってくれるはずです。。」

「はっきり言っておく。たわごとだ。まだ乳臭さも取れんうちに何が軍務だ❗️」そう言い捨てると、伯爵は、休息の前にもう一度書斎で読むつもりらしく、檄文を手にして部屋を出て行きました。

 

「ピョートル・キリールイチ、どうかは、一服やりませんかな。。」

ピエールはうろたえとためらいで気持ちが揺れていました。

優しさを超えた思いを込めて、絶えずじっと注がれている、ナターシャのいつになくきらきら光る燃えるような目が、彼をすっかり惑わせたのでした。

「いえ、僕は、どうも、家に帰る方が。。」

「おや、お帰りに❓だって今夜はここで過ごすとおっしゃったじゃありませんか。。それもたまにしかお見えにならんのに。うちのあれは。。」と、ナターシャを目で指しながら、伯爵は人の良い顔で言いました、「貴方が居て下さりさえすれば、機嫌がいいのですよ。。」

「そう、うっかりしていました。。どうしても家へ戻らんと。。用事が。。」と、ピエールはそそくさと言いました。

「それは残念ですな。じゃ、また、いらして下さいよ。」と、もう部屋を出た所で伯爵は言いました。

 

「どうしてお帰りになりますの❓どうして気分をお壊しになったの❓どうしてですの❓。。」と、ナターシャはピエールの目を見つめながら尋ねました。

『貴女を愛しているからですよ❗️』と彼は言いたかったのですが、流石にそれは言えず、真っ赤になってうつむきました。

「僕はなるべく来ないようにした方が良いからです。。だから。。家、ただ用事があるだけですよ。。」

「何ですって❓いいえ、おっしゃって。」と、ナターシャは思い切って言いかけてハッと口をつぐみました。

2人はギクリとして、どぎまぎしながら顔を見合わせました。

彼は笑おうとしましたが、出来ませんでした、彼の笑いは苦しそうに歪みました。

そして彼は、黙って彼女の手に接吻をして部屋を出ました。

ピエールは、もう、ロストフ家を訪れまい、と固く自分に誓うのでした。。

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(解説)

まず、15歳のペーチャの「軍務に就きたい」との希望を聞いた老伯爵の反応ですが、彼は「陛下のお言葉さえあれば、何でも捧げる」と言う強い愛国心を表したばかりでした。

しかし、まだ幼いもう一人の息子をも戦争に取られる事は、絶えられない事なのですね。。

しかし、老伯爵の言葉は決して偽善ではありません。

掛け替えのない息子を、命の保証も無い戦場に行かせる事を望む親が何処にいるだろうか❓たとえその親が強い愛国者であっても。。と言うトルストイの鋭い疑問の投げかけだと解釈します。

ここは、一つのトルストイの反戦思想が現れた箇所だと思います。

愛国心は大事だが、戦争というものは「愛国心」を盾にして若者の命を犠牲にするもんだよ、という矛盾点を突いていると思います。要するに戦争は絶対にいけない事なのだ、という強い主張の現れですね。

 

それから後段はピエールとナターシャの心情の交流ですね。

ナターシャは、ピエールだけが自分の良き理解者なのだと思ったのですね、今回の事件で。

そして、ピエールが来ると、ついついかつての自分の明るさを出してしまいます。

それがピエールに眩しいのですね、しかも、ナターシャは少なからず自分に好意(愛では無くても)を寄せている事に気がついています。

二人の間には、見えない電流が流れているのですね。。

 

しかし、ピエールはナターシャを幸せにする事は出来ません。

ピエールとエレンは、愛情のない結婚ですが、法律上の絆はとても強いのです。

ピエールは、いつかこの関係が破綻することを予感していますが、それがいつだなんてわかりません。

数ヶ月先かもしれないし10年先かもしれない。。

ピエールは、アンドレイとは全く違う人間です、だから、彼女にいい加減な約束をして心さえも通わす事は出来ないのですね。

それなら、自分の心をそっと閉じ込めてナターシャの幸せを祈ろうじゃないか。。と言った所でしょうか。。

 

しかし、ナターシャは、ピエールにそんな事を求めている訳では無いと思います。

彼女は信仰に目覚め、自分の汚い心をなんとか清らかに保とうと頑張っています。

そしてね、彼女はその自分を高く保つためにやっぱりピエール(の綺麗な心)が必要だったのですね。

だから、彼女はピエールに「こんなに早く帰ってしまう理由」を聞くのですね、自分の事が気に障ったのかな。。って。

そして、ピエールの様子を見た時に、もう大人になった彼女は全てを悟るのですね、きっと。

だから、ピエールを黙って帰してしまうのです。

ピエールは、妻帯者なんだから、自分が引き止めるのは失礼だって。

彼女自身にも、きっとそれが一番なのだってね。

こうして、二人はしばらく会わなくなるようですね。。