気ままな日常を綴っています。 -20ページ目

気ままな日常を綴っています。

いつか静かに消える時まで。。
一人静かに思いのままに生きたい。。

(物語)

岸も、堤の上も、池の中も、至る所白い健康なたくさんの肉体で埋めつくされていました。

士官のチモーヒンが、赤い鼻をして、堤の上でタオルで身体を拭いていましたが、アンドレイ公爵を見るときまり悪そうな顔をしました、それでも思い切って彼に言葉をかけました。

「良い気持ちですよ、公爵。ひとついかがですか❗️」と。

「汚いじゃ無いか。」と、眉を潜めてアンドレイ公爵は言いました。

「すぐに貴方の場所を開けさせます。」そう言い捨てると、チモーヒンは裸のままで走って行きました。

 

「公爵が水を浴びられるぞ。」

皆が慌てて退き出したので、アンドレイ公爵はかろうじて彼らを静めました。

彼は納屋の中で身体を拭く方が良いと思いました。

『肉、身体、大砲の餌か❗️』と、自分の身体を眺めながら彼は考えました。

そして寒さよりも、汚い池の中で水を浴びていたおびただしい数の肉体を思い出し、自分でも不可解な嫌悪と恐怖の為にゾクゾクするのでした。

 ーーー

8月7日にバグラチオン公爵は、スモーレンスク街道のミハイロフカ村の宿舎で、次のような手紙を書きました。

以下、バグラチオンのアラクチェーエフ に宛てた手紙

 

『アレクセイ・アンドレーエヴィチ伯爵閣下(=アラクチェーエフ )。

スモーレンスクを敵の手に明け渡した事は、大臣(=バルクライ・ド・トリー)から既に報告が有った事と思います。

最も重要な要衝がなすこともなく放棄された事は、心痛み、気の塞ぐ事で、全軍の士気は消沈しております。

私は、自分の立場から膝詰めの談判で理を尽くして請願し、ついには意見書まで奉呈したのですが、何ひとつ大臣の同意を得る事が出来ませんでした。

 

ナポレオンはかつてない苦境に陥っており、兵数の半分を失うともスモーレンスクを落とす事は出来なかったはずであります。

我が軍は、かつて無い程に勇敢に戦い、現に戦っております。

私は1万5千の兵を持って35時間以上持ち堪え、敵を撃破しました。

ところが大臣は、14時間すら踏みとどまろうとしませんでした、これは恥であり、我が軍の汚辱であります。

私をして言わしむれば、彼こそ死を持って申し開きを成さなければなりません。

もし、彼が損失が大であったと報告しているなら、それは嘘であります。

 

恐らく、約4千か、それ以下と思われますが、しかしそれも問題ではありません、たとえ1万でも。。戦争ですから。

あと2日踏み止まる事が、何程の苦で有ったのか❓ 

少なくとも敵は自ら後退したはずです、人馬に飲ませる水が無かったからです。

彼(=バルクライ・ド・トリー)は、後退せぬと私に約束しておきながら、夜半に撤退するという命令を、突然私に送りつけて来たのです。

このような事では戦争は出来ません、そして早晩、恐らく敵をモスクワに入れる事になるでしょう。。

 

貴方が講和を考えておられるという噂が流れています。

講和など、とんでも無い事です。

このような多大な犠牲を払い、狂気の沙汰の退却を重ねた挙句ーー講和など言い出したら、貴方は全ロシアを敵に回し、我々は軍服に恥じる事になるでしょう。

こうなったからには、ロシアがある限り戦わねばなりません。

 

指揮は1人で取るべきであり、2人で取るものではありません。

貴方の大臣は、大臣の仕事をさせたら立派な人物かも知れませんが、将軍としては無能どころか有害です。

しかも、そのような男に我が祖国の運命が委ね垂れたのです。

講和を進言したり、軍の指揮を大臣にゆだねることを助言したりするような者は、陛下を敬愛しておらず、我々全ての破滅を望んでいる事は明らかです。

どうか義勇軍をご用意下さい、なぜなら大臣が巧みな方法で客(=ナポレオン)を首都へ案内しようとしているからです。

 

侍従武官ヴォリツォーゲン氏も、我々よりナポレオンに近いとの噂ですが、そんな男が一切を大臣(=バルクライ・ド・トリー)に進言しているのです。

私の方が年次は上ですが、彼に対して礼を尽くし服従している次第です、しかし、これは皇帝陛下を敬愛していればこそです。

陛下がこのような輩に光栄ある軍をお任せになっている事が、惜しまれてなりません。

 

ご想像ください、この退却行によって我々は疲労と疾病の為に1万5千を超える兵員を失ったのです。

もし攻撃していたら、このような事は無かったはずです。

我々が、このように案じ、このように慈悲深い祖国を暴徒の手に渡し、国民1人1人の胸に憎悪と屈辱を植え付けるような事をしたら、我々の母なるロシアは何と言うでしょう。。

全軍がことごとく悲憤に泣き、大臣に対する怨嗟の声が地に満ちています。。。』

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(解説)

まず、禿山に立ち寄ったアンドレイ公爵が、再び軍と合流した時、部下たちはため池で涼を取っていたのですね。

ちょっと神経質なアンドレイ公爵は、まるで芋の子を洗うようなため池は『不潔だわ〜』と思って、納屋で体を拭くのですが、部下たちの白い肉体は所詮弾丸の餌になるんだ。。と考えると身震いがします。

彼らが命を吹き返したように明るい表情であるのがなお一層の虚しさを感じさせます。。

人間として生まれ、満足に食べて、仕事をして家庭を持って。。そんな人間としての尊厳はここにはありません。

そんな『戦争』を、アンドレイの目を通してトルストイは批判している部分だと思います。

 

それから後半は、当時の軍の最高指導者バルクライ・ド・トリーに対するバグラチオン公爵の、アラクチェーエフ に送った憤怒の手紙ですね。

手紙の内容では、スモーレンスクでロシア軍が戦っていれば十分に勝てたのに、バルクライはロクに軍を忍耐もさせずに後退の命令を出してしまった、と言う訴えですね。

スモーレンスクではもう、敵方のフランス軍も消耗していて、特に水供給が相当悪かった、と言うものですね。

フランス軍にも相当数の犠牲者が既に出ており、ここで十分に叩いておけば、ロシア軍がきつい行軍をしながら後退する必要性は無かったはずだ、と言うものです。

ロシア軍は、スモーレンスクへの一斉攻撃で多くの犠牲者を出したのではなく、むしろ後退の途中の疫病や飢餓で多くの人員が命を落としたのだ、と言う記述ですね。

 

このような男にロシア軍の指揮を委ね、挙げ句の果てはモスクワにナポレオンを誘導させ、ロシアを滅ぼすのはどうなんですか❗️❗️と言う彼らしい怒りの手紙を書いて、皇帝の目にも触れるであろう側近のアラクチェーエフ 宛てに送っているのですね。

(ここに記載されたバグラチオンの手紙の内容は、アンドレイ公爵もそのように考えていたような本文中の記載が見られ、多くの将軍達がスモーレンスクでは戦っておくべきだった、と思っていたようなニュアンスが読み取れます。後に総司令官がバルクライ・ド・トリーから生粋のロシア人のクトゥーゾフに変更された経緯になります。)

 

お早うございます♪  今朝は、令和8年1月12日の日記です♪

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こんばんはー♪  現在17時35分です。

室温は12.8度。湿度36%です。

まだ薄ら明るいですね。。曇りですけれど。ちょっとは日が長くなっているのかな。。と思います(^。^)

 

はい。昨夜は寒いので19時にはお布団に包まって、瀬戸内寂聴さん(この方、苦手ですけれど💦)の、『家族という幻想に囚われると「人生地獄行き」です │ 9割が知らない本当の孤独 │ 人生論』っていうのがたまたま目に付いたので聴きながら寝てました。

これはね。。分かる人には分かるんですけれどね。

自己経験でなくても、両親とか見てたらね。両方ダメだったとかいうのもあるけれどね、誰かさん(=あたいだよ♪)みたいに(^。^)

 

それから昨日のヤフーニュースの見出しの『調剤薬局倒産過去最高』とかいうのも。

確かに。。医療業界厳しくなってきているのは事実で、自分はむしろ良い時代に仕事をしていた口かも知れません。

 

と。。こんな下らん事を考えながら寝てたら、なんか眠りが浅かったです。。💦

 

朝ごはんは、昨日炊いておいたおぜんざいをいただきました(^。^)

今朝は、息子夫妻のお持ちではなくて市販のパック餅を2個もいただきました💦

明日の分も残っています♪

 

朝は、ブログの仕事をしながら、英字新聞をやっつけていました。

小泉防衛大臣が、陸上自衛隊の訓練を視察したみたいな記事でした。

ま。若い大臣が頑張ってくれているのは良い事だと思います。

 

7時45分くらいからコーヒータイム兼英語の通読と読書に出かけました。

今朝も寒い朝です。

福岡市はね、カッと晴れる事は珍しいですね。。

今朝もこんなはっきりしない天気です。

 

昨日、新しいデジカメに13000円も払ったので、ヴェローチェはお高いです。

だから運動も兼ねて新天町まで歩いてマクドに行きました。

本当にマクド様には頭が上がりません💦

180円でこの大量のコーヒーに、「混んでない時間帯は基本文句言いませんわ〜」的な優しさが嬉しいです💞

 

結局10時くらいまでお邪魔していました。

「ベン・ハー」は読み始めましたが、まだユダヤ人のベン・ハーは出てきていません。

映画の出だしは早くから登場していなかったけ。。❓と思います。

でもね、これはキリストの話なので、やっぱり「導入」というか信仰的な経緯みたいなのが必要なんでしょうね。

まだまだ理解不能の状態ですが読みこなせるかな。。と思っています。

 

英文は、今、時事通信社の英字新聞をやっつけているので、そんなに進まないですね、通読も。

まー仕方ないですね。これ使って何やるん❓っていう人だし(^。^)

 

帰宅は11時頃。

ブログのお仕事をして、残っているお野菜を使って適当にお好み焼きを作りました。

キャベツ、ネギ、里芋の小さいの、豚肉、冷凍コーン、卵でね。

ちょっと焦げましたが美味しかったです。

でっかい野菜入り卵焼きにソースとマヨをかけても美味しいかも〜とか思っています。

 

午後は、やっぱり英字新聞をやっつけていました。

だいぶん、読めるようになってきたかな。。だいたい同じような事柄が記事になるんで。

 

そうそう。。帰りにサニー赤坂門店で珍しくカンパチのアラを見つけました✨✨

ラッキー💞です。

(これで3回楽しめます(^。^))

 

夕ご飯は好きなものばかりでした✨

はい。今日も平和に時間が流れていきます*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*

 

今日も、良い一日をお過ごし下さいね💞

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(余談)

The Japan Atomic Energy Agency said Tuesday that about 20 milliliters of water containing radioactive tritium leaked at its Fugen advanced converter reactor in the city of Tsuruga in Fukui Prefecture, central Japan.

日本原子力研究開発機構は火曜日、福井県敦賀市にある新型転換炉「ふげん」で、放射性トリチウムを含む水が約20ミリリットル漏えいしたと発表しました。

  The Japan Atomic Energy Agency:日本原子力研究開発機構

  radioactive:放射性の、放射性を持つ(形容詞)

  tritium:トリチウム(三重水素)

   advanced:先進的な、上級の、進んだ(形容詞)

  converter:転換炉➡︎ある形式のものを別の形式に変換する装置

  reactor:反応器(化学反応を起こさせる容器)、原子炉

  

The leak occurred when a pipe was cut at the nuclear reactor undergoing decommissioning work.

漏えいは廃炉作業中の原子炉で配管が切断された際に発生しました。

  nuclear:原子核の、原子力の(形容詞)

  nuclear reactor:原子炉

  undergoing:動詞「undergo」の現在分詞形。受けている、経験している(ここでは形容詞)

  decommissioning(デコミッショ二ング):船舶や航空機の運用終了、工場設備の操業中止、原子力施設の廃炉、仮想マシンの停止・削除など、設備やシステムの稼働を停止し、サービスから外すこと

 

There were three workers nearby, but they left the site immediately and were not exposed to radiation, the agency said, adding that there was no radiation impact outside the facility.

近くに3人の作業員がいましたが、すぐに現場を離れたため、放射線には被曝しませんでした。

また、施設外への放射線による影響もなかったと、当局は発表しています。

  site:敷地、場所、現場、ウエブサイト

  be exposed to〜:〜にさらされる、〜に触れる

  radiation(ラディエーション):放射線

  radiation impact:放射線の影響

 

 According to the JAEA and the Fukui prefectural government, the water leaked from the piping of equipment for analyzing heavy water in the reactor's auxiliary building.

JAEA(日本原子力研究開発機構)と福井県によると、原子炉補助建屋内の重水分析装置の配管から水が漏れたとのことです。

   piping:配管

  heavy water:重水(重水素原子を多く含む水)

  auxiliary(オーグジリアリー):補助的な、予備の(形容詞)

(物語)

アルバートゥイチは家族を避難させて、1人だけ禿山に留まっていました。

彼はアンドレイ公爵が戻ったのを知ると、慌てて家の中から出て来ました。

そして急いで若公爵の前に駆け寄ると、アンドレイ公爵の膝に接吻しながらわっと泣き出しました。

やがて彼は、自分の女々しさに腹を立てて顔をそらすと、状況をアンドレイ公爵に報告し始めました。

貴重なものや、高価なものはすっかりボグチャーロヴォに疎開させ、麦も100袋くらいまでは運び出した。。と。

アルバートゥイチ の言葉だと、今年は例年に無く豊作の春蒔き麦は青いまま軍に刈り取られて徴発された、百姓達はすっかり貧弱して、ボグチャーロヴォへ去った者もあり、残っているものはごく僅かだ、という事でした。

 

アンドレイ公爵は、終わりまで聞かずに尋ねました。

「父上と妹はいつ発ったのかな❓」彼は、モスクワへ、という意味で言ったのでしたが、アルバートゥイチ はボグチャーロヴォへ発った日を聞かれたものと思って、7日に発ったと答えました、そして、また農事経営の問題に話を戻して、いろいろと指示を仰ぎ始めました。

「能書を取って、軍に燕麦を渡してよろしいでしょうか❓まだ600袋ばかり残っておりますので。」

アンドレイ公爵は、この老人の表情に、今はこんな事を尋ねるべき時では無い事は自分でも承知しているけれども、ただ悲しみを紛らす為に聞いているだけなのだ、という事を読み取りながら考えました。

「そうだな。。渡してやるが良い。」と、彼は言いました。

 

「庭が荒らされているのにお気づきになったと思いますが。。」と、アルバートゥイチ は言いました。

「防ぎようが無かったものですから。3個連隊が通過して野営して行きましたので、特に竜騎兵連隊の行儀の悪さと言ったら。。後で苦情を申し立てる為に隊長の官等と氏名を書き留めておきましたが。」

「して、お前はどうするつもりだ❓敵が来ても留まるつもりか❓」と、アンドレイ公爵は彼に聞きました。

アルバートゥイチ は、厳かな態度で天を指差しました。

「神が私を守って下さいます。神の御意にお任せします❗️」と、彼は言いました。

 

百姓や召使い達の群れが、帽子を脱いで牧場からぞろぞろアンドレイ公爵の方にやって来ました。

「では、達者で暮らせよ❗️」と、アルバートゥイチ に身をかがめながらアンドレイ公爵は言いました。

「お前も避難するのだな、出来るだけ持って行くが良い。皆もリャザンかモスクワ近郊の領地へ去るように言ってやれ。」

アンドレイ公爵はそっとアルバートゥイチ を押しやると、馬腹を蹴って、駆歩で並木道を駆け下りて行きました。

 

植木棚の所へ行くと、少女が2人、温室の木からもいだ杏を服の裾に包んで、アンドレイ公爵の前に飛び出して来ました。

若主人を見ると、年上の方がハッと顔色を変えて、年下の少女の手を掴み、こぼれ落ちた緑色の杏を拾う暇も無く、慌てて白樺の木の影に隠れました。

アンドレイ公爵はびっくりして、2人の少女に見られたと思われない為に急いで目をそらしました。

彼は、この怯えた少女達が可哀想で、そちらに目をやるのを恐れましたが、同時に少女を見たくてたまらない強い誘惑を覚えました。

そしてこの少女達を見て、彼の全く知らぬ、しかも彼の心を占めているものに劣らぬ正当な人間的関心が、他にも存在する事を悟った時、喜ばしい、心が和むような、新しい感情が彼を捉えました。(※1)

 

この少女達が願っていたのは、明らかにただ1つーー捕らえられずに、これらの緑色の杏を持ち帰り、思う様食べたいという事でした。

アンドレイ公爵は、少女達の気持ちになって、この全てがうまく行く事を願いました。

彼は我慢が出来なくなって、もう一度少女達をチラと見やりました。

少女達はもう大丈夫と思って、隠れた場所から飛び出し、細い足で何やらさえずりながら裾を抑えて楽しそうに走って行きました。

 

アンドレイ公爵は、軍が移動して行く大街道の土埃の中から抜け出て、いくらか蘇生の思いがしました。

彼は禿山からあまり遠く無い所で、また大街道に入り、小さな池の堤に小休止している自分の連隊に追い付きました。

午後の2時近くになっていました。

土埃の中に真っ赤な球に見える太陽が、容赦無く炎熱を注ぎ、フロックコートを通して背をじりじりと焼き立てました。

堤に出ると、泥の臭いと水の涼気がアンドレイ公爵の顔を撫でました。

どんなに汚い池でも、彼は水に飛び込みたくなりました。

腕と顔と首筋だけが赤胴色に焼けた兵士達の白い裸体が、池を一杯に埋めてばちゃばちゃやっていました。

これら全ての裸の白い人間の肉が、まるでバケツに一杯に詰め込まれた鮒のように、この汚いため池の中で笑いと歓声を上げながら騒いでいました。

この騒ぎがいかにも楽しそうで、その為にアンドレイ公爵はなお一層悲しく思えるのでした。。(※2)

ーーーーー

(解説)

アンドレイ公爵は、禿山の領地を一周して、そこにまだ留まっていたアルバートゥイチ に出会います。

アンドレイ公爵は、もうここは危険だからリャザンかモスクワ近郊の領地になるべく持てるものを持って避難するように、優しくアルバートゥーイチに言い残して、馬で去ります。

 

その途中の植物棚の所で、アンドレイは、2人のおそらく召使いか農民の子の少女が温室の木からこっそり杏の実を取って帰ろうとしているのに出くわします。

本来なら、少女達は叱られてもおかしく無いのですね。。若主人のアンドレイから。

でも、アンドレイ公爵は、そんな気持ちにはなれません。

彼は、裕福な貴族の長男として生まれ、厳格なしつけとは言え、食べるに事欠いたことなどありません。

しかし、彼は、一連の戦争に参加して、「食べたい」という人間の欲求が、実は崇高なもので、それは人間の生命の根源ともいうべきものだ、と暗に気づいているのですね。。

だから、どうせ木になったまま腐り落ちてしまうか、敵の手に渡るこの恵みの杏を少女らが頬張ってそれで命を繋いでくれるのなら、本望だ、と思ったのだと思います。

ちょうど私達が、巣作りをして子供を育てている小鳥を見るような気持ちですね。。きっと。

(※1)は、解釈が難しい所ですが、私はこのように解釈しております。

 

そして、アンドレイ公爵は、間も無く大街道に戻り、自分の連隊に追い付きます。

そこは灼熱の地獄で、部下達は、ため池で涼を取っている所でした。

いかにも楽しげに裸で池一杯になって遊んでいるたくさんの若い白い裸体を目にするにつけ、アンドレイ公爵は「ああ。。」と思うのですね。。

楽しげに過ごす彼らを眺めてアンドレイ公爵は、余計に悲しい気持ちになるのでした。。(※2)

なぜ、彼がそう思ったのかは次回に書きます。

(※1)と(※2)は、トルストイの反戦思想をアンドレイの気持ちに託している部分と思います。両者は対比すべき光景と考えています。

 

(追記)

ここのアンドレイ公爵の心情を正しく理解するのは困難な部分かもしれません。

アンドレイ公爵は、建前を大事にする人間で、細やかな優しさとか愛情に薄い人間のようこれまでずっと描かれているからです。

しかし、時として人間的な優しさが伺える人で、それは恐らくピエールも感じていたところの『この人の本当の情熱とか優しさ』をちょっと描いている部分じゃないかな。。と思います。

アンドレイ公爵は、後に瀕死の重傷を負って、救護院でアナトーリ と会い(二人の意志の連絡はないものの)アナトーリ を許しています。

恐らく瀕死の重傷を負って初めて、アンドレイ公爵の中にずっと抑えていた『愛する女性を思いっきり抱きしめたかったんだ』という感情を初めて認識して、それはもちろんナターシャも同様で。。。だから。。アナトーリ が女性を愛せなくなった自分を嘆き悶え苦しむ姿を見て『ああ。。自分に足りなかったのはこの情熱だったのだ、いや、自分の中に抑え込んでいるこの情熱を表現してナターシャを安心させることだったのだ』と気が付いた、という風に解釈しています。

ま。ちょっと先の話を記載してすみませんけれど。