海を渡った古伊万里  ⑩の(2−1) ハウステンボスのポルセレイン・ミュージアムの古伊万里。 | 気ままな日常を綴っています。

気ままな日常を綴っています。

いつか静かに消える時まで。。
一人静かに思いのままに生きたい。。

有田磁器(古伊万里)の主たる様式変化は、初期色絵、柿右衛門様式、金襴手様式へと、それぞれ20〜30年程度で大きな変化を遂げています。

 

さて、以前、私は、中国磁器よりも古伊万里の方がデザイン性に優れより薄手で使いやすそうだ、と述べました。

それで、ハウステンボス内のポルセレイン・ミュージアムでその事実を裏付けするような陶磁器の作品の数々を撮影して来ましたので、ここにアップさせていただきたいと思います。

更に、柿右衛門様式、金襴手様式の作品の数々をご紹介したいと思います。

こちらには令和5年11月19日に訪れました。

 

中国磁器の染付  恐らく景徳鎮あたりの作品と思われます。17世紀中頃の作品と推定されます。中国は、すでに10世紀頃には白く美しい磁器を作る技術を持っていました。)

 

(下段・左:1662〜1723年 中国・景徳鎮 青花バッカス神図皿)

(下段・右 1662〜1723年 中国景徳鎮 五彩花鳥文大皿(呉須赤絵))

 

古伊万里の染付:中国の国内動乱により、ヨーロッパから大量注文されるようになった伊万里。釉薬の下に青の絵の具で絵付けをした「染付」が大量に海外に送り出されました。)

(上段・左 伊万里 17世紀後半 染付山水人物文水柱)

(上段・中 伊万里 17世紀後半 染付草花I.V.H.文字入瓶)

(上段・右 伊万里 17世紀後半 染付山水人物文手付水柱)

(下段・左 柿右衛門様式 18世紀 染付湖水図十角皿)

(下段・右 柿右衛門様式 18世紀 染付川山水人物文輪花皿)

 

どうです❣️

素晴らしい古伊万里の作品群でしょう❓

このモダンなセンス、磁器肌の滑らかさ。。ヨーロッパの王侯貴族が高額な金額を支払って買い求めたのが理解出来ると思います。

中国磁器の伝統的な壺のデザインを覆す発想はお見事としか言いようがありません❣️

お皿の方も縁のデザインが工夫してあります。お写真が小さいですが、中国磁器の方はラインが円形ですが、古伊万里の方は花びら型とか10角にカットされています。

絵付けにも「物語性」があるでしょう❓

 

 

柿右衛門様式の作品

柿右衛門様式とは、1660年頃から1700年代頃にかけて生産された伊万里の中の一様式です。濁手と呼ばれる純白の美しい生地に明るい色調の絵具で色絵を施したものが特徴の一つです。

1670年頃には様式が確立され、余白を活かした構図や中国の意匠を基に和風化したデザインは、エキゾチックな雰囲気を湛え、ヨーロッパの上流階級の人々を魅了しました。

江戸時代の柿右衛門様式は、酒井田柿右衛門家の藩だけではなく、赤絵町を始めとする有田一帯の窯で作られた事から、17世紀後半の伊万里を代表する一様式として捉えられています。

(左 柿右衛門様式 17世紀後半 色絵草花文大皿)

(中 柿右衛門様式 17世紀後半ー18世紀初 色絵花き文香炉)

(右 柿右衛門様式 1670ー80年 色絵秋草文木瓜皿)

 

これらの作品の色絵のバランスも素晴らしいですが、磁器のレリーフ(左側の作品)とか透かし(真ん中の作品)は、おそらくこの時代の古伊万里が発端だったように感じております。

(柿右衛門様式 17世紀後半 色絵菊文蓋物)

取手(handle)部分のウサギの形状が当時としては斬新だったと思われます。

 

(柿右衛門様式 17世紀後半 色絵女人形)

これは、マイセンフィギュアに絶対に影響を与えていると思います。

人物の表情のみならず、着物の柄の表情を如実に表した色絵付けです。

また、造形においてもマイセンの天才造形家ケンドラーに大きな影響を与えたでしょう。。

 

(マイセン 18世紀 色絵花鳥文角瓶)

恐らく、古伊万里の写しだと思いわれます。

ただ、典型的な柿右衛門様式というよりかは文様は金襴手様式っぽい感じですね。

磁器肌も柿右衛門の濁手よりも平板な感じがしますね。

アウグスト大王のコレクションに同じものが有ったのか否かは分かりません。

ただ、少しヨーロッパ風にアレンジしてる感じがしないでもありませんね。

柿右衛門の「余白の美」「非対称の美」「濁手の美しさ」には、及ばない感じはしますが、18世紀マイセンの絵付け師のハイレベルなセンスを感じさせる作品だと思います。

おまけ。

(マイセン 19世紀 シャンデリア)

これらのシャンデリアは32個のパーツで作られています。

1個のパーツには更に細かく沢山のパーツが作られ接着した上で焼き上げられています。

 

さて、長くなりました。

ポルセレイン・ミュージアムの古伊万里の作品、後半部分:金襴手様式と明治時代の万博向けの作品は次回でご紹介したいと思います。

 

今日も最後まで読んで頂き、有り難うございました♪