海を渡った古伊万里 ②(余談)マイセンの染付の名品「ブルーオニオン」 | 気ままな日常を綴っています。

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今回は「下絵付け」の代表「染付」の例を述べさせて頂きます。

 

さて、マイセンの染付の代表的な作品に、「ブルーオニオン」があります。(※染付は陶土を900度くらいで素焼きした上に書いて施釉して本焼成したもの。

ブルーオニオン(英:Blue Onion   独:Zwielmuster)とは、世界的に有名な白磁のデザイン、またはシリーズの事を言います。

1739年に、マイセンのJ.D.クレッチマーが下絵付け用の青色の着色剤を発明し、中国の石榴文様を模倣しデザインした絵付けを発表した事に始まります。

この時代、石榴はスペインを除くヨーロッパでは未だ知名度が低かった為、石榴を知らないドイツの人々により石榴を青い玉葱と間違えたことから、その呼び名が付いたと伝えられています。

 

デザインは、縁起の良い石榴、竹などがモチーフになっています。

マイセンは、1860年に意匠登録しましたが、19世紀末の財政危機の際に、使用権が売却された為、現在世界中に50種類のブルーオニオンが存在すると言われていますが、本家本元はマイセンです。

 元の文様の意味

 ・石榴・・・子孫繁栄

 ・桃・・・長寿の象徴

 ・牡丹・・・富の象徴

 ・竹・・・生長の象徴=順調に育って行く事

 

さて、染付けは、素焼きの磁器に絵付けがなされ、上から釉薬を掛けて1350度以上で焼成します。

染付けの色がブルー系なのは、1350度以上の高温でも発色しやすい金属イオンの中でも、安定性が高いコバルト系の顔料を使うからです。

色絵付け(上絵付け)の場合は、比較的低い温度でなければ発色しない絵の具を使って、その上からさらに絵付けをして釉薬を掛けて適正温度に下げて焼成してゆくのですね。

こうして何色かの発色を試みる場合は、温度が高い順に絵付け⇨焼成を繰り返すのです。

マイセンの緻密なネーム・ド・ビュー(風景画)や絵画シリーズなどは、何回絵付け焼成を繰り返すのか気の遠くなる作業になり、当然それは手間がかかるので個数も少なく、美術的価値が高く評価されますので「飾る陶磁器」になります。

ブルーオニオンの様な染付けの食器の場合は、1回の焼成で釉掛けと絵付けが完成しますので、作成するのに手間がかからず、作成個数も多くコストを抑える事が出来ます。

よって、ブルーオニオンは「使う陶磁器」として人気を博したのです。

 

(現代物のブルーオニオン:マイセン公式ページより。)

(現代版のブルーオニオン。オニオンの部分(元は石榴)、手前に桃果の文様が見えます。:マイセン公式ホームページより。)

(石榴)

 

また、ブルーオニオンの文様は、マイセンの時代によって絶えず様式化が繰り返され、中国のオリジナルから遥かに遠ざかったものとなっています。

オリジナルの中国の食器が見当たらないのが残念です。

 

(1750ー60年に作られたブルーオニオン。この時代にはプレート表面の双剣マークは施されていない。裏面に双剣マークが染付けされているだけ。)

(上記のプレートの裏面。双剣マークはこの時代に使用されたもの。)

(1785年頃のブルーオニオンのプレート。上記のプレートよりも装飾が簡素化か❓出典「恋するマイセン」)

今日は以上です。

読んで頂きまして有難うございます💞