源氏物語「夢浮橋」②(最終回) 浮舟、小君との面会を拒み、僧都・薫への返事も書かない。 | 気ままな日常を綴っています。

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いつか静かに消える時まで。。
一人静かに思いのままに生きたい。。

薫の大将は、少年を帰り道の途中からそのまま小野にやるのは人目も多いので、翌日改めて小野に差し向けるのよ。

そして弟の小君に「そなたの亡くなった姉君は、もうこの世に居ない人と諦めていたのに、実は確かに生きているという話なのだよ。他人には聞かせたくないから、そなたが行って何か手がかりを求めて来ておくれ。。母君に知らせると、却ってびっくりして騒ぎ立てるうちに知ってはならない人(※匂宮とかですね。)にも知られてしまうだろうからね」と、今から固く口止めなさるのよ。

 

小野には、朝早くから僧都の手紙が届くのよ。

「昨夜、薫の大将殿のお使いとして小君がそちらに参られましたか❓薫の大将から事情を承った所、御出家を押させした事に気が咎めております。拙僧自身からお話申し上げなければならぬ事がございますので、一両日過ぎてからお伺いします」と書かれているのよ。

 

浮舟はその手紙を御覧になり、自分の事が世間の噂になっているのだろうか、と辛くなるのよ。

今までよく隠し事をして来たものだと尼君にも恨まれるだろう。。と返事のしようもなく困るのね。

「やはり隠さず何もかもお打ち明け下さい」とひどく恨んで事情がわからないまま慌てふためいている所に、小君が僧都の手紙を持ってやって来たのよ。

 

尼君が出て対応なさるのよ。

僧都の手紙には、浮舟宛になっているけれど、浮舟が受け取ろうとしないので、尼君が僧都のお手紙を見るのよ。

僧都の手紙には「今朝こちらに薫の大将がいらして貴女の御様子をお尋ねになりましたので、初めからの事の次第をお話し申し上げました。御愛情の深かったお二人の御縁に背いて御出家なさいました事は、却って仏のお叱りを受ける事の様で拙僧は驚愕しております。昔のお二人の御縁を間違いのない様に取り戻して、大将殿の愛執の罪を晴らして差し上げて下さい。1日でも出家すれば、その功徳は計りしれないものがありますから、そうなってもやはり仏を信じお頼りなさるのが良いと存じます」と書いてあったのよ。

 

「このお方はどういうお方なのでしょうか。今になってもまだ隠し立てをなさろうとは」と尼君に責められて、浮舟は少し外を見ると、この子は、これが最期と入水を決心した夕暮れにも恋しく思った弟だったのよ。

何よりも先に、他からも様子をうかがい知る事が出来ない母君の様子が聴きたくなるのよ。

しかし浮舟は。もはや尼姿に面変わりしていて今更不用意に会う事が出来ないのよ。

 

浮舟は「私は、宇治でどんなにか浅ましい惨めな姿をしていただろう。。と思われる過去をどうしても思い出せないのです(※というか「思い出したくない」)。今更もう、私がこの世に生きているとは知られずに終わりたいと思います。もし母君がこの世にいらっしゃるなら、母君一人だけはお会いしたく思います。僧都殿には決して知っていただきたくないと思います。何とか具合よくごまかして、是非とも人違いであったと、曲げてお返事をなさって私をかくまって下さいまし」とおっしゃるのよ。

尼君は「そんな事は出来ません」と困り果てるのよ。

小君は、もう一通のお手紙を持参していると言うのよ。

尼君は、几帳の側に浮舟を押し出すのよ。

その様子が、とても姉君以外の人とも思えないので、小君は側に近づいて大将のお手紙を差し上げるのね、

そのお手紙は、昔のままの薫の君の御筆跡で、紙に薫きしめた香の匂いなど前とそっくりに、この世のものでないほど強く染み付いているのよ。

 

その手紙には「何と申し上げて良いか術もないほど、いろいろと罪深い事をなさった貴女のお心を、僧都に免じてお許しして、今はせめてあの信じられない様だった当時の、夢の様なお話でも一緒にしたいと急かされる思いです。こんな私を、他人の目にはどう見える事でしょう。。貴女を忘れられず、この小君を貴女の形見として側に置いているのです」と愛情深く書いてあるのね。

 

浮舟は、この手紙のお書きぶりは人違いと言い様も無いけれども、昔の自分とはすっかり変わってしまった尼姿を心ならずも見つけられでもしたら、その時の身の置き所の無い恥ずかしさはどれほどだろうか。。と思い乱れて、今までよりも一層暗い気持ちになるのよ。

流石に浮舟は泣き出してひれ伏してしまうのね。

 

尼君は「どの様にお返事なさいますか」などと責めるけれど、浮舟は返事をする事が出来ないのよ。

尼君は仕方が無いので、この小君に少しお話しして「物の怪のせいで正気ともお見えになる時が無く、お姿も普通では無い尼姿になられたものですから、もしお捜しなさる方でもあれば、実に困った事になるだろう。。とお案じ申しておりましたら、案の定このようなおいたわしい御事情がございましたとは、今になって畏れ多いことと存じます。今度の事で、お心が乱れるのか、いつもよりさらに正体の無い御様子です」と申し上げるのよ。

「ただこう言う風に姫君は、はっきりしない御容態だとお伝え下さい。改めてまたお立ち寄り下さい」と尼君が言うので、小君は用も無いのに日の暮れるまで坐っているのもおかしいので買えるのね。。

 

薫の大将は、まだかまだか。。と小君の帰りをお待ちだったのに、要領を得ないまま帰って来たので、なまじ手紙など持たせるのでは無かった。。などと気を廻すのよ。

女君を、誰か男が隠し住まわせているのか。。など想像を巡らせたり、御自分がかつて宇治に浮舟を囲い、心にもかけない状態で見捨てて置かれた経験から、そうお考えになったとか。。そう本には書いてある様だとか。。。

源氏物語「完」)

 

これで全帖終了です。

長い間有難うございました♪♪

 

今日も良い一日をお過ごしくださいね❣️

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(追記①)

薫は、人目を避ける為、翌日小君(浮舟の弟)を小野に差し向けます。

そして小君に、決して姉の浮舟が生きている事を母君に言ってはならないと固く口止めするのでした。

なぜなら、京に居る母君がこの事を知ったら、騒ぎになりきっと匂宮の耳に入る恐れがあったからです。

 

小野には、僧都から、薫のお使いの小君がそちらに行っているのか❓ 申し上げたいことがあるので、一両日すぎてからお伺いします。」とのお手紙が届きます。

浮舟は、やはり自分の事が世間の噂になっているのだ。。と辛くなります。

 

僧都の手紙は、浮舟が受け取ろうとしないので、尼君が読みます。

その手紙には、薫が浮舟の様子を尋ねて来た事、出家をさせてしまったのは仏の意思に反する事だった事、薫との縁を取り戻して欲しい事などが書かれていました。。

浮舟が少し外を見ると、そこには入水を決意した時に恋しく思った弟の姿が有ります。

母君の様子も気になりますが、尼姿に面変わりしている以上会うことは出来ません。

 

浮舟は、宇治での浅ましい出来事を思い出したく有りませんでした。

母君には一度お会いしたいとは思いますが、自分の過去には触れないで「人違いでした」とだけ返事して欲しい。。と尼君にお願いするのでした。

 

小君は、薫からのもう一通のお手紙を、几帳の向こうの姉に直接渡します。

小君は、そこに居る女が、自分の姉以外とは思えないのでした。

その手紙には「昔の罪深い出来事を僧都に免じてお許しし、またお話ししたい。貴女の事が忘れられず、小君を側に置いています。。」と、愛情深く書いてあるのでした。

しかし、浮舟は、もう尼姿になった自分を薫に見られたくない。。と思うのでした。

尼君は仕方が無いので「浮舟は、はっきりしない御容態と伝えてください。また改めてお立ち寄り下さい」とだけ小君に言います。

 

薫は、小君の帰りを待ちかねていましたが。何の成果も無かったので、なまじ手紙を持たせるのでは無かったな。。などと思うのでした。

そして心の何処かで「男が面倒を見ているのかもしれないな。。」と思うのでした。。

 

(追記②)

結局、薫と浮舟は会わずじまいでこのお話は終了します。

続きは読者の想像に任せられます。

しかし、確かなのは、浮舟は「後戻りは出来ないのだ」と思っている事だと思います。

ここに今の時点で薫との心情のギャップが見られます。

というか。。浮舟は、もう今となっては世間に自分の身をさらす事より、尼として祈り続けるのが一番だろう。。と思っているようです。

この後、僧都や尼君がなくなって、落ちぶれてさすらう事も本望と思っていると思います。(その時こそ、宇治川に身投げするかも❓)

結局、宇治川に身を投げようとした時に、浮舟はこの世に決別したのだと思っております、私見ですが。

 

  ー完ー