源氏物語「浮舟」⑦ 浮舟、母と尼の話から、入水を思う。 | 気ままな日常を綴っています。

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いつか静かに消える時まで。。
一人静かに思いのままに生きたい。。

浮舟が気分悪そうにうち伏しているのを見て、母君は「どうしてこんなに青くなってやせ細っていらっしゃるのだろうか❓」と驚くのよ。

乳母が「この頃は、何時も御具合がお悪く、ほんのわずかなものも召し上がらず、気だるそうにばかりしていらっしゃいます」と申すのよ。

母君は「もしかしたら、身籠もられたかもと思うけれども、あの石山詣でも月の障りで中止となった事だし。。」とおっしゃるので、浮舟は恥ずかしくて目を伏せているのよ。

 

日が暮れて、月の大そう明るい夜になったわ。

母君は、昔話をする為に、弁の尼君を呼び寄せるわ。

母君は「この娘は、大君や中の君と同じ八の宮のお胤なのだもの。。薫の君とのご宿縁が続いてくれるなら、中の君の御幸運にだって劣りはしないものを」と話すわ。

弁の尼君は「私は、尼の身で縁起でも無いと思い、姫君に親しくお会いしてお話などするのもどうして出来ようか、と遠慮しておりました。姫君の将来の事を考えましたら、京に行くのは嬉しい事でございます。慎重そうな薫の君が、姫君をこうして訪ねて御通いになりますのも、並々の御寵愛では無いと思います」と言うのよ。

 

母君は「こうして薫の君がお見捨てにならないような愛情深いお言葉を掛けて下さいますのも、みんな尼君の御取り持ちのおかげと感謝申し上げております。中の君がもったいなくも、優しくお情けを掛けて下さいましたのに、匂宮のために御遠慮しなければならない不都合がございまして、あそこに居られず肩身の狭いお身の上になられたと、私は心から心配して悲しんでいたのです」と言うのよ。

尼君は笑って「匂宮は、全く穏やかで無いほど好色なお方でいらっしゃいますので、気の利いた分別のある若い女房は、(もし、そのような事が有った場合、中の君が女房のくせに無礼な。。とご機嫌を損ねてしまうので)御奉公がしにくいのです」と言うのね。

それを聞いた浮舟は「なるほど。。女房でさえそうなのだから、妹の私などは。。」とうち伏してしまうのよ。

 

母君は「薫の君が帝の内親王を北の方にいただいていらっしゃいますが、その女二宮と姫君は元々血の繋がりもありませんので、お世話をいただくようになっても仕方の無い成り行きかと畏れ多いことながら、そのように考えるのでございます。しかし、姫君が匂宮との間に間違いでも引き起こしましたら、私としましては、どんなに悲しくても辛くても、もう姫君には二度とお逢いするつもりはございません」などと話し合っているのよ。。

 

浮舟は、それを聞いて、心が震え上がり肝も潰れる思いなのよ。

「やはり、私は死んでしまおう。。こんな風に生き永らえていては、いつかはきっと世間に顔向け出来ない事が身の上に起こるに違いない」と考え続けていると、宇治川の荒々しい水音が凄まじい勢いで恐ろしそうに響いてくるのよ。。

女房達は、昔からこの宇治川の流れが速くて恐ろしかった事を話して「先頃も、渡し守の孫の子供が、棹をさし損ねて流れに落ちてしまいました。だいたい溺れて命を無駄にしてしまう人が多い川なのです」と口々に話しているのよ。

浮舟はそれを聞いて「もし自分がこの川に身を投げて行方がわからなくなってしまったら、母君、薫の君、匂宮も悲しんで下さるだろう。。でも、私が生き恥を晒して生き続けた場合の悲しみよりもずっとマシなのだ。。」と、」生か❓死か❓と考えるのよ。。

 

結局、今、自分が死ぬ事は、誰にも迷惑を掛けず、気持ちもさっぱりするように思うのだけれど、また、やはり悲しくなるのだったのよ。。

母君が、しきりにあれこれと姫君の将来を心配している様子を、寝たふりをして聞きながら、胸の中でつくづく思い悩むのよ。

母君は、きちんとした女房を探すように。。等ぬかりなく注意しておいて「あちらで、お産を控えて患っている娘も心配ですから。。」と言って、帰ろうとするのよ。

浮舟は、もう二度と母君に会えないまま自分は死んでしまうのではないか、と母君の後を追うのだったのよ。。

 

薫の君からのお手紙は、今日もあったのよ。

病気だと訴えたのを、容態はどうかとお見舞い下さったのね。

匂宮は、昨日のお手紙にお返事をしなかった事を「今更何を思い迷っているのですか。貴女が思わぬ方向になびいて行くのではないかと思って、気が気でありません」などと、こちらは綿々と書き連ねているのよ。

 

いつか雨降りの日に、両方のお使いが鉢合わせした事が有ったのよ。

薫の君の御随身は、相手があの内記の家で時々見かける男なので不審に思って、その男に色々訊ねるのよ。

薫の君の随身は、この男の言っている事に食い違いが有るので、どうも怪しい。。と思うけれども、ここで問い詰めるのはおかしいので、その場はそれ以上言わず、めいめい京に帰るのよ。

でも、随身は才気のある男で、供に連れていた童を呼んでその男の跡をつけさせるのよ。

 

童は帰って来て「その男は、匂宮のお邸に参りまして、式部の少輔にお手紙を渡しました」と言うのよ。

それほどまでに随身に探られていようとは、下級のお使いの者は気が付かず、また本当の事情も知らないので、随身に行き先を見破られてしまったのね。

 

薫の君は、その頃、明石の中宮が六条の院に御退出していらっしゃるので、そちらへ御機嫌伺いにお出掛けなさろうとしていた所だったのよ。

随身は、お手紙を取り次ぐ女房に「おかしな事がございましたので、今まで手間取っていました」と言うので、薫の君は、チラとお耳にされて「それはどういう事だろう❓」とお尋ねになるのよ。。

 

今日はここまでです。

いつも長々とした悪文ですみません💦

次回も「浮舟」⑧です。

 

今日も良い一日をお過ごしくださいね❣️

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(追記①)

母君は、薫が4月10日頃、浮舟を京へ移す、とお決めになった話を聞いて宇治にやって来ます。

本来なら浮舟は嬉しいはずなのに、元気がありません。

母君は「身籠もられているのかも❓」と思いますが、どうも腑に落ちません。

 

母君は、弁の尼を呼び寄せて話をします。

母君も弁の尼も、今回の、薫が浮舟を京に迎えて下さるという話を身に余る光栄と思います。

母君は、浮舟の幸運は、弁の尼と中の君のお情けのお陰だと言います。

しかし母君は、匂宮の浮舟に対する邪恋故に、中の君に遠慮して二条の院に浮舟を置けなかった。。と言います。

匂宮の好色故に、女房に手を付けてしまった場合、中の君のご機嫌から御奉公し難い事がある事など、弁の尼は母君に言うのでした。

母君も、浮舟が匂宮とそういう関係になった場合は縁を切ると言います。

 

その話を聞いていた浮舟は、ここに来てようやく「匂宮とそういう事」になってしまった事の重大さを悟るのでした。。

浮舟は、もはや急流激しい宇治川に身を投げるしか無い。。と思い詰めます。

ちょうどその時、女房達が、先頃もこの宇治川に落ちて溺れて命を落とした子供の話をしています。

 

母君は、浮舟に付けるきちんとした女房を探す手配をして、お産を控えている娘が心配で帰って行きます。

浮舟は、もう二度と母君に会えないまま死んでしまうかも。。と母君の後を追うのでした。

 

薫の君からは、浮舟の容態を心配するお手紙が届きます。

匂宮からも、昨日のお手紙にお返事をしなかった事を「薫の方に行くのか❓」と綿々と書き連ねたお手紙が届きます。

 

そしてついに、薫の使者と匂宮の使者が鉢合わせをしてしまいます。

薫の使者の機転により、どうやら匂宮は浮舟に恋文を送っているようだ。。と言う事実を突き止めてしまいます。

 

(追記②)

薫からも匂宮からも京へ出てくるよう、打診を受けますが、浮舟はどちらの誘いにも乗ることが出来ず、自分の気持ちの整理にも困り悶々とした日々を送ります。

どちらの殿方にもお返事ができません。

悩むあまり、食事さえ喉を通らなくなるのですね。

 

そこへ母君が、薫が、浮舟を京へ誘うらしいと言う話を聞きつけて宇治にやってくるのですね。

母君は、薫の人柄の間違いの無さ、正妻の女二宮とは全くな他人だし、薫の世話になっても特に問題は無いだろう。。と言うのですね。

でも、もし、浮舟が匂宮と間違いを起こしてしまったら、姉妹である中の君が匂宮の正妻であるが為に、それは許しがたい事である、と言うのですね。

それを弁の尼君との会話から聞いた浮舟は、もう、自分は母君が許さない事になてってしまったのだ。。と悟るのですね。

どうしようもない自分の状況に、浮舟はもう宇治川に身を投げて死ぬしかない。。と考えるのです。

 

男君達は、浮舟が具合が悪い、となかなか返事をくれないので、宇治にお手紙を出して状況を問うのですね。

その時、薫の使者と匂宮の使者が鉢合わせをしてしまいます。

薫の使者の機転により、どうやら匂宮は浮舟に恋文を送っているようだ。。と言う事実を突き止めてしまうのですね。。