源氏物語「紅梅」① 按察使の大納言家の家族。 | 気ままな日常を綴っています。

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源氏物語』五十四帖の巻名のひとつ。第43帖で匂宮三帖の第2帖。頭中将の子孫とその縁者の後日談を書く『源氏物語』に登場する架空の人物の通称。「紅梅大納言(こうばいだいなごん)」とも。頭中将の次男で柏木の同母弟。・・以上ウイキペディアより。

 

薫 24歳 匂宮 25歳

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その頃、按察使の大納言と言われたお方は、前・太政大臣の御次男だったのよ。

つまり、若くして亡くなった柏木の衛門の督のすぐ下の弟君だったのね。

帝の信頼も厚い権勢も人望も身についた方だったのよ。

 

北の方は二人おいでになっていたけれども、前からのお方は既にお亡くなりになっていたのよ。

今の北の方は、髭黒の太政大臣の長女のあの真木柱の君だったのよ。

真木柱の君は、祖父の式部卿の宮の許で、蛍兵部卿の宮と結婚したけれどあまりしっくり行く夫婦仲ではなかったのね。

で、その蛍兵部卿の宮はお亡くなりになったのよ。

 

その後に、この按察使の大納言が人目を忍んでお通いになってたのよ。

そのうち年月も経ち、そういつまでも世間に気兼ねばかりもしていられないので、真木柱の君は北の方になったのね。

 

大納言のお子は、亡き北の方との間に姫君が二人居たのね。

そして、今の北の方との間に男君が一人お生まれになったのよ。

また、今の北の方には、先夫の蛍兵部卿の宮との間に姫君が一人お有りだったのね。

大納言は、その姫君を自分の子と同じように可愛がっていたのよ。

 

北の方(真木柱)は、たいそう朗らかな当世風のお方で、人聞きの悪い内輪の揉め事も起こさず、家族は平穏に過ごしていたのよ。

姫君たちは、同じような年頃で次々に成人なさるので裳着の儀式などをお挙げになるわ。

普通に考えると、宮の姫君(真木柱の連れ子)は父宮が亡くなっているので、お気の毒なのだけれど、父宮からの遺産の宝物がたくさん有ったので、内々のお暮らしの格式は奥ゆかしく上品になさっていらっしゃるのよ。

 

さらに、大納言の姫君の噂を聞きつけて、大勢の求婚者が現れるわ。。

帝や東宮からの入内のお話もあるのよ。

でも、大納言は「帝には既に明石の中宮が、東宮には夕霧の長女の女御が居られ、それぞれ肩を比べられない程の御寵愛を受けられて居られる。。でも。。人並み以上に暮させたいと思うなら、宮仕えを諦めてしまっては何の育て甲斐があろうか。。」と思うのね。

そして、一の姫君(お年は17、8歳位)を東宮に差し上げる事にしたのよ。

 

中の姫君も、気品があり優雅で清楚な美しさで、もの静かな御様子なので、大納言は臣下に縁付けるのは勿体無いと思い「匂兵部卿の宮が、もし、お望みなら。。」と考えているのよ。

ところで、匂宮は、この大納言の若君(真木柱の君との間の男君)を可愛がっていたのね。

そして「弟と会っているだけでは済まされない、と大納言に伝えてくれ」などとおっしゃるものだから、大納言は(匂宮が二の姫と結婚を申し入れるのではないか。。)と、つい、期待してしまうのね。

まず、大納言は、一の姫君を東宮の後宮にお入れになる支度を急ぐのよ。

その昔、前・太政大臣の御長女である弘徽殿の女御が、秋好む中宮に圧されてとうとう立后出来なかった無念さを、我が(藤原一族である)娘が晴らしてくれるかも。。と祈りながら。。

一の姫君は、お局を麗景殿に賜り、東宮の御寵愛が深い御様子を人々が大納言に報告するわ。

 

姫君には、宮中のお付き合いには慣れていらっしゃらなかったので、真木柱の北の方が付き合って一緒に参内し、この上なく気配りをしてお世話をしているのね。

大納言や妹君は、北の方や一の姉君がお留守なので、淋しくてぼんやりしているのね。。

宮の姫君は、このお二人の姫君とは仲良く、ちょっとしたお稽古事でもこのお二人は、宮の姫君を師匠のように思っていたのね。。

 

この宮の姫君は、人並み外れて人見知りをなさる方で、母君とさえ滅多にお顔を合わせる事も無く、控え目だったのよ。

でも、決して陰気な御性質ではなく、愛嬌もおありで、魅力的な方だったのね。

大納言は、この姫君を実の娘のように可愛がっていたので、常日頃母君に、この娘の結婚の事を心配しているように言っていたのね。

ところが母君は「あの娘は、世間並みな結婚など考えても居ない様子なので、無理に縁組させても可哀想ですよ。持って生まれた運に任せて、私が死んだ後は、出家して尼になるなりして、人から物笑いの種にならないように過ごされれば。。と思います」と泣きながらこの姫君の性質などが申し分無い事を大納言にお話になるのよ。

 

そう聞くと、大納言は、この姫君の御器量を見たいものだと思うのね。

というのは、自分の姫君たちは、誰にも負けない程優れているとは思うものの、この宮の姫君にはとても敵わないのではないか。。と気が揉めるからよ。

で、大納言は「母上がお留守の間は、私がお伺いいたします」と出向いても、ほんの少しのお返事をなさる程度で、お願いした琴の演奏も聴かせてもらえない有り様なのよ。。

 

たまたま、そこへ若君(長男)が、宮中に参内するから。。とやって来たわ。

大納言は、寝殿の東の端に紅梅がたいそう美しく匂い咲いているのに目を止めて、その枝を切らせて匂兵部卿の宮へのお土産として若君に持たせるのよ。

「貴方だけにお見せしたい我が庭の紅梅の匂い、でも、鶯のように貴方がまず良いお返事をして下さらなければ。。」という和歌を添えてね。

そして若君は、子供心にも匂宮に可愛がっていただきたいという気持ちから急いで参内するわ。

 

今日はここまでです。

いつも読んでいただき有難うございます♪

次回も「紅梅」②(最終回)です。

 

今日も良い一日になりますように。。。。では。。また💕

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(追記)

ここで、意外にもあの「真木柱」が再登場ですね。

髭黒の長女で、女の子ゆえに精神病の母親と共に母親の実家に引き取られた彼女です。

祖母の性格も、「相当理不尽」だったのですね。。。

そこで、祖父の要望により親王の蛍兵部卿の宮と結婚するのですが、蛍兵部卿の宮は「亡くなった北の方の方が良かった。真木柱はあの方とは違う。。」とあまり通わなかったのですよね。

 

その辺りの事情を色々想像して記載しましたが、「このまま彼女の人生は終わるのか。。」と少し心配して居ました。

けれど、おそらく祖父母も母親も亡くなって一人で娘を育てている所を、按察使の大納言が通い始めたのですね。。

彼女は、家庭環境が悪かったにもかかわらず、性格は明るく愛嬌もあって当世風な方だった、と記載があります。

彼女が、その良い性格を発揮して大納言家の柱になって居る姿は、ちょっと良かったな。。と思いました。

 

真木柱の再婚先の按察使の大納言には3人の姫君(一の姫君、中の姫君、宮の姫君=真木柱の連れ子)が居ました。

娘達は次々と成人します。

 

長女は東宮に入内します。

東宮には既に夕霧の長女が入内しており寵愛を受けていましたので、寵愛を争うのは面倒なのですが、宮仕えに出してこそ張り合いのある人生と大納言は思ったのです。

 

次女の中の君も気品があり、清楚な美しさです。

大納言は、こちらは匂宮に縁づけたいと思っています。

臣下に縁づけるのは勿体無いと思っているのですね。

 

ところで匂宮は、大納言の若君(姫君達の弟)を可愛がっています。

好色な匂宮は、「弟君と会っているだけでは済まされないからね」と大納言に伝えるように若君に伝言を託けます。

それを聞いた大納言は、てっきり匂宮は中の君に気があるのだ、と早とちりして、若君をお使いとして紅梅を送るのですね。

 

一方、宮の姫君(蛍兵部状の宮と真木柱の子)は人見知りが激しく義父・大納言にもなかなか打ち解けません。

大納言は、密かにこの宮の姫君の器量は自分の娘達よりも素晴らしいのではないか、と気を揉んでいるのです。

大納言は、この宮の姫君の結婚の事を真木柱に打診しますが、真木柱はこの高貴な血筋の姫君に世間並みの結婚をさせて、人の物笑いの種になるような人生を歩んで欲しくないと思っていると大納言に伝えます。

そして自分が死んだ後は、尼になって欲しいとも思っているのです。

ここでも、高貴な血を引く姫君の「女性の幸せ」は強く否定されています。

この例は源氏物語に非常に頻繁に登場していると思います(個人的にそう思っています。)