花吹雪 | ヤンジージャンプ・フェスティバル

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基本はシュミ日記です。
…遊びをせんとや生れけむ 戯れせんとや生れけん…
  

太宰の旧家を離れて、再び三鷹駅方面へ…。

次の目的地は、太宰のお墓のある禅林寺。


ここへは、過去に何度か訪ねてきたことがあり、初めて来た日、東京はひどい夕立で、大雨に打たれて、ずぶ濡れで墓参した…という思い出があります。



何回も来てるから…ってんで、油断して歩いているうちに、どうやら道を間違えたようで、ひどく大回りをした末に到着…。




喫茶『やんじぃ』-禅林寺



これがお寺の門です。

シャチホコが屋根の上にいるのが、いつも気になります。



さて、この禅林寺。

実は作品中に登場しているのです。




「うなだれて、そのすぐ近くの禅林寺に行ってみる。この寺の裏には、森鴎外の墓がある。どういうわけで、鴎外の墓がこんな東京府下の三鷹町にあるのか、私にはわからない。けれども、ここの墓所は清潔で、鴎外の文章の片影がある。私の汚い骨も、こんな小綺麗な墓地の片隅に埋められたら、死後の救いがあるかも知れないと、ひそかに甘い空想をした日も無いではなかったが、今はもう、気持ちが畏縮してしまって、そんな空想など雲散霧消した。私には、そんな資格が無い。」

(『花吹雪』より)



この言葉は作品中の登場人物が発している言葉ですが、恐らく太宰本人の気持ちもかなり含まれているのだろうな…と思います。


そして今では禅林寺の、しかも鴎外の墓の向かい側に太宰の墓があるのです。

ここにお墓を建てる…ってのは、どうやら奥さんの意向だったようですが、素晴らしいです。


そいでもって、墓碑銘には本名の「津島修治」ではなく、筆名の「太宰治」と刻まれている…ってのも、「ああ、ここは津島修治さんではなく、太宰治のお墓なんだな…」と、妙に感慨深いものがあります。



桜の木の下の、お墓の前で、しばらくぼんやりした後、今日最後の目的地へと向かいます。