【キリクと魔女】  美のカルチャーショック 1 | エンタメ&アート系 神映画ランキング

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【評価】 ★★★★★








「どわーっ!何これ!」

見たことのない妖しい画風。





エンタメ至上主義の映画レビュー




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目に突き刺さるエキゾチックな色彩。

ジャングル全体がまるで、

精緻に造り込まれた装飾工芸。っていうか、細密画か。

これはもはや「美のカルチャーショック」。





ピクサーとかのCGアニメのリアルさとは

全然方向性の違う美しさ。

ジブリやジャパニメともまったく違う。

まさに異文化に遭遇した時の衝撃。













    *    *    *    *





で、ストーリーの方は。

舞台はアフリカ。

キリクという赤ちゃんが活躍する物語。

しかも生まれたばかりの赤ちゃんだ。

おそらく生後数週間しか経ってない。





↓小さいキリク



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そんなスーパーベイビーが

村人たちが怖れる恐怖の魔法使いに戦いを挑むという、

ちょっとメチャクチャな設定だ。









↓恐ろしい魔女



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傑作なのは村人たち。

拍手をしたくなるような見事な愚民ぶりを見せてくれる。





魔女が村の子供たちをさらおうとして、

魔法がかかった舟を村に送り込む。

子供たちは喜んで舟に乗って遊ぼうとする。

聡明なキリクはそれが魔女の罠であることに気づき、

「その舟に乗っちゃだめ。それは魔女の舟だよ」

と子供たちは止めようとするが、

キリクを馬鹿にして全然注意を聞かない。







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舟は猛スピードで魔女の住む場所に向って動き始める。

子供たちはギャーギャー悲鳴をあげる。

キリクは身を張ってなんとか子供たちを救い出す。





その時だ!!





ドンドコ、ドコドコ、ドンドコ、ドコドコ

♪キリクは小さい~ でも勇敢だあ~♪









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子供たちは「喜びのアフリカダンス」を踊りながら、

キリコを賞賛する歌を歌う。

大人は

「キリクは賢いから、これからはキリクの言うことを聞きなさい」

と、子供たちに言う。

子供たちは素直に答える。

「うん、わかった!」




今度は子供たちは面白い形をした木を見つけて、

木に登ろうとする。

キリクは止める。

「その木は魔女の罠だ。登っちゃだめ!」

ところが子供たちはキリクの注意を無視して木に登る。

「へへーん!キリクは赤ちゃんだから登れないんだろ!」

と、またもやキリクを馬鹿にしながら。

やっぱり木は魔女の罠で子供たちを捕らえて

魔女の場所に向って猛スピードで動き始める。






キリクはまたもや、なんとか子供たちを救い出す。

ドンドコ、ドコドコ、ドンドコ、ドコドコ・・

え?もしかして??

♪キリクは小さい~ でも勇敢だあ~♪





またか!!

また「喜びのアフリカダンス」を踊りながら

キリコを賞賛する歌を歌う。

こいつら、アホの子かああああ!!!

学習能力がないのかああっ!




実は大人たちも同じなのだ。

キリクを馬鹿にしてキリクに助けられ、

「喜びのアフリカダンス」を踊るというパターンが繰り返される。

面白い、面白すぎるぞ、アフリカの原住民。





   *    *    *    *





それにしても感心するのはキリクの純粋で前向きな姿勢だ。

どんなに困難にあっても、全く諦めることなく、

どんな意地悪をされても、誰も責めることもなく、

常にポジティブに一直線に行動し続ける。

まだ生まれて間もない赤ちゃんなのに。




いや、まてよ。

赤ちゃんだからなのか??




そういえば赤ん坊はみんな一途だ。

歩けるようになるまで何度こけても、

またスクッと立ち上がって歩こうとする。

「もうダメだ」なんて、ふて腐れたりしない。

「床が悪いからだ」なんて、文句も言わない。

他人のせいにして責めたりすることもない。

ただ真っ直ぐに前を見つめて何度でもチャレンジする。




なぜだろうか?

人は大人になっていくにつれ、

諦め、怒り、嫉妬、愚痴なんかの

後ろ向きで非生産的な感情を覚えていく。




ただ無心に前に向って歩き続ける。

人は誰でも生まれた時はスーパーベイビーなのかも知れない。






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