「10クローバーフィールド・レーン」 | PEROの映画狂人日記

PEROの映画狂人日記

町山智浩様を神と崇め、ライムスター宇多丸先生を師とするサブカル重症腐女子がヒマつぶしで見ていた映画の数が年に200本を超えて来たので、
これだけ見てるゾという自慢と自己顕示欲を満足させる為だけの映画日記ですがよかったら暇つぶしに。

いつもはここに予告を張っていますが、ネタバレがひどいのでやめます。
日本版のポスターも極悪ネタバレなので、もし映画館にあったら目を伏せて前を通るようにしてください。

一気にワケのわからない状況に入れられ、主人公と同じようにハワードの言っている事、何者からかの攻撃は本当なのか毒ガスは本当なのかと疑いながら見るのが楽しいのに、それをネタバレさせるポスターや予告を作るなんて…おい、責任者出てこいっ!!!!!!


みんな大好き「クローバーフィールド」の続編…?
「クローバーフィールド」を見ている人ならば、この映画は本当に「クローバーフィールド」の続編なのかと疑いながら見させられる。その発想自体がこの映画のキモだと思う。




前作は外へ外へと出ていく作品だったのに対して、この作品は行き詰まる密室劇。

自動車事故にあった後に、シェルターで目覚めたミシェル(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)は、外の世界は何者かに攻撃され毒ガスが充満していて、ここにいるしかないと言う、大男ハワードとそのシェルター作りを手伝ったという腕を怪我したエメット(ジョン・ギャラガー・Jr)との共同生活を始めるが、彼らの話が信じらないミシェルは脱出を試みる…


コーエン兄弟映画の常連、ジョン・グッドマンは「バートン・フィンク」「ビックリボウスキー」の中で小さい事にイライラし激昂する読めない男を演じている。
デブというより巨漢と言った方がピッタリ合う彼の身体は、絶対に勝てない威圧感がありそれだけで人を不安にさせる効果がある。
そして、今回彼が演じるハワードもそんな男。何者からかの攻撃を受ける事を妄信的に信じる彼は自宅の地下に全財産をつぎ込み自作のシェルターを完成させた。
彼の妄想が現実になった時に彼は愛する娘とシェルターに逃げ
込むはずだったのだが娘はなぜかいず、娘の代わりにミシェルを可愛がる。
それを表す言葉遊びのシーンが巧みに組み込まれ彼の本心が垣間見える。
ジョン・グッドマンに当て書きしたのかと思う主演を食った演技。
そしてジョン・グッドマンが良い演技をしている映画は間違いがない!



エメット役のジョン・ギャラガー・Jrは「ショート・ターム」でボンクラなルックスながら、傷ついた主人公を優しく包み込んで、女の子みんなを虜にしたあの人!最高やんけ。

ちなみに「ショート・ターム」は家庭に問題のある子供達を預かる施設の話で、複雑な家庭で傷つき心を閉ざした問題のある子供達を描きつつ、やはりそんな子供だった主人公(アカデミー賞を取る前のブリー・ラーソン)が彼らに寄り添う。しっかりしているように見える主人公だけれど、トラウマから抜けられない彼女の心の揺らぎを優しく描いた良作です。

横道にそれたけれど、クローバーフィールドもそうだったけれど、この「10クローバーフィールド・レーン」も余白の多い物語。
誰が嘘をついているのか、真実は何なのか実は最後までわからない。
だから終わった後に考える、自分のオリジナルの彼らの物語を。


全ての謎解きしなくても物語は強制終了出来るというのは「マグノリア」のカエルで証明済み。そしてそんな映画は何度も見たくなる。


最後に、よくわらない状況で命がけで戦わなければいけなくなったら元カレなんてどうでもよくなるって教訓をもらった。