宅建tシリーズ 26年度の基本テキストについては、こちらのページで説明

(1)東京で地震の心配は?

(1-1)前回の続きから…地盤:小金井市は「関東ローム層」

P: 前回記事(宅建t:住み替えに役立つ宅建03 賃貸を探すときの「徒歩10分」とは? そして坂道の注意点)では、「部屋探し」の3大要件といわれる、家賃・立地・広さ(間取り)の中でも、「立地」についての注意点を話題にしました。

今回は、親御さんが心配するかもしれない、学生向け賃貸物件の「耐震性」や「耐火性」は大丈夫か? というテーマです。


ちなみに前回、農工大・工学部キャンパスの南側の傾斜地(はけ:国分寺崖線)を、坂道の例として紹介したんですが、農工大キャンパスを含む小金井市の大部分は、武蔵野台地の武蔵野ローム層(関東ローム層)しっかりした地盤の上に位置しています。※1

※1

東京農工大学自体が、地震災害の時の広域避難所になっていますし、東日本大震災(2011/3/11)よりさらに揺れのつよい、

多摩直下地震(M7.3)が起きたときの想定で、揺れによる建物被害での死者が小金井市内28人とのことなので、あまり危険はないのですが、もし地震についても、前回紹介した「水害ハザードマップ」のような情報を確認したいときは、東京都が「東京被害想定デジタルマップ」

 

を公開していますので、予想震度などを地図で確認できます(例:上記サイトより:多摩東部直下型地震の想定)

S: 「土地・建物」については、宅建基本テキストにも、簡単な情報が載っています(第4編:その他の分野 508~509ページ)

逆に言えば、「最低でもこれくらいの知識は要るよね」という常識だということです。

宅地に向いている土地としては、

・砂礫質の土地

・扇状地

・自然堤防

・台地・丘陵地(例外:縁辺部=はじっこ、広い谷)

が挙がってまして、農工大工学部付近は台地なんですが、近くにちょうど”例外”にあたる、武蔵野台地の「ふち」のはけ(国分寺崖線)があるわけです。

P: 宅地に向いていない土地としては、埋め立て地や干拓地などがありますね。

国立大だとあまり心配ないと思いますが、逆にキャンパスが山の上で通うのが大変な大学はけっこうありまして、筆者は昔金沢へ旅行に行ったときに、金沢大学(角間キャンパス)にも立ち寄りたかったんですが、金沢駅からバス40分と聞いて見送った覚えがあります。

(1-2)建物の耐震性

S: そして、建物については、基本テキストでは木造/鉄筋とも一戸建てが前提の説明でしたが、賃貸について結論を先にいえば、

賃貸木造アパートによくある

・在来工法(木造軸組工法)

・2×4(ツーバイフォー)工法(枠組壁工法)

や、

・RC構造(鉄筋コンクリート構造)
・鉄骨

とも、耐震性については、工法の違い ※2 よりは、「耐震基準」を確認した方がよいです。

P:「耐震基準」とは、生成AIの説明では

『耐震基準とは、建築物が地震に耐えられるように建築基準法で定められた、構造上の最低限の基準のことです。

主な目的は、大地震が起きた際に建物内の人命を守ることにあります。 
日本の耐震基準は大規模な震災が発生するたびに見直され
①旧耐震基準(1981年5月31日以前に建築確認)
 震度5強程度の揺れで「建物が倒壊しない」こと
②新耐震基準(1981年6月1日以降に建築確認)
 震度6強〜7程度の地震でも「建物が倒壊・崩壊しない」こと
③2000年基準(2000年6月以降)
 新耐震基準をさらに強化したもので、木造住宅を中心に地盤調査の義務化や接合金具の規定等の追加。 』※3

つまり、②の1981年6月以降の新耐震基準に沿った物件なら、震度6強〜7程度の地震でも建物がこわれる心配はないということですよね?

S: 1981年の建物は、およそ築45年。

賃貸アパートでいくら家賃が安くても、この「新耐震基準」をクリアしない古い物件は、私なら避けます。

また、これからS家が新居(中古物件)の購入を検討するときは、「2000年基準」を目安にするつもりです。

(2)物の耐火性能

P:「建築基準法」では、「建物の防火性能」についても、規定していましたよね?

「基本テキスト」431ページの「防火地域/準防火地域」の説明の中で、

『これらの地域内の一定規模の建物は、耐火建築物等/準耐火建築物等にしなければならない…』

と。

S:「防火地域/準防火地域」の区分自体は、「都市計画法」という別の法律で定められています ※4が、そもそも

 駅前の繁華街など建物の密集した地域では、燃えにくい建物(耐火建築物/準耐火建築物)を建てましょう

という趣旨で、閑静な住宅地にある学生アパートなどは、こういう「地域」の対象外になります。※5

ただし、「建築基準法」には「共同住宅」=アパートや寄宿舎についての、別の規定がありまして、広さ(延べ床面積)や階数により違いはありますが、普通の2階だて学生アパートでも、2015年以降の建物だと、下記のように一定の耐火要件があります。

 

P: 上のサイトは、木造建築での説明ですが、木造でも一定の耐火能力はあると。

S: 木造アパートは、骨組みや壁ワクが木でも、壁や天井に断熱材や石膏ボードなど燃えにくい材料を入れたり貼ったりして、耐火性能をアップさせています。

最近は、木造高層建築も作られるようになりました ↓。

学校の校舎などでも木造が再評価される動きもあります。※6

 

P: 比較的新しい建物は良いとして、古い物件の耐火性能はどうなんでしょうね?

S: 私なら築○十年の物件だと家賃が安い分、そもそも高いスペックは期待しないですが、壁材が薄い=音漏れしやすいですから、仲介してくれる不動産屋さんに、対象物件で過去に音漏れトラブルがなかったか? は確認しますね。

P: 音漏れしやすい≒壁材が薄い≒耐火性能が比較的低いと?

S:  音漏れ自体は、木造でなくRC造でも建物の造りの問題で音漏れしやすい場合もあったり、何より騒音は「人」の問題なので、いちがいには言えませんが…。

P: 大学生協と提携する不動産屋さんなら、確かめやすいとおもいますので、「騒音」に限らず、気になることはなるべく事前に聞いてみましょう。

S: 逆に大学新入生のみなさんは、自分や友人が「騒音」の発生源にならないように注意してください。

 

P:次回からは、当ブログレギュラーのZくん(4月で社会人5年目)も引っ越しを考え始め、家賃などの「費用」や「アパートとマンションの違い」ほかの質問があるそうなので、「賃貸物件:社会人編」をお送りする予定です。

 

※1 関東ローム層は、小中学校の「地理」授業のどこかで習ったはずです。

図は、下記の東京学芸大学発行の文書「はけ(国分寺崖線)の謎と魅力を探る」(PDF)から引用

https://www2.u-gakugei.ac.jp/~globe/observ/PDF/L05.pdf

ちなみに、東京学芸大学も小金井市内(国分寺市寄り)にキャンパスがあります。

※2 アパートの工法・構造について詳しくは ↓

※3 2025年4月にも建築基準法が改正されています。

本記事には直接の関係はありませんが、改正の背景には、

 建物の省エネ化→断熱材、高性能サッシ、屋根に太陽光パネルなどで建物の重量アップ→耐震性に影響…

という流れがあるようです。

※4 参考ページ 「防火地域と用途地域とは?新築時に確認しておきたい規制の内容を解説」↓

https://cleverlyhome.tokyo/column/20250131/

あくまでも”新築時”の注意事項です。

ちなみに「都市計画法」の「用途地域」というのは、自宅を買うときにはとても大事な知識ですので、S家の引っ越し先を検討する際に、詳しい記事にする予定とのことです。

※5 参考ページ 「(防火地域の)耐火構造」と「防火構造」の違いは ↓

※6 東京農工大が鹿島建設などと共同開発した「FRウッド」は、1時間の耐火性能を持つ国産スギ純木質耐火集成材で、

木造の耐火建物づくりに貢献しているようです。

 

【写真】

すべて筆者撮影:中間画像はトップの写真を、生成AIでジャン=ミシェル・バスキア風に加工(部分)。

文末写真は26/2/8撮影 東京・多摩地域でも大雪警報。衆院選や私立大学入試の関係者は大変だったと思います。

 

【BGM】

S選曲:INABA(稲葉浩志)/SALAS「EVERYWHERE」

P選曲:MOON CHILD  「Hallelujah in the snow」