官能美容小説「サロン・ド・F(エフ)」の先日、三段跳びに例えました「ホップ!」部分、再度のご紹介が済みました。
舞台となる美容室での、初めてのパーマ施術場面も、いよいよ始まり!これから次の「ステップ!」部分に入ります。
パーマの詳細な表現、そしてそこに絡む官能の世界が拡がり始め、艶っぽい文章となってきます。

それから、次のパーマ場面も順次始まって行きます。

どうぞ、存分にお楽しみください。


それとこれまで、ここアメブロでのアップは、その文字数制限の為に、第1章 1-1、1-2 等 便宜上 2回に分ける必要がありました。

それが、REQU by Ameba の場合、分ける必要がありませんので、読み応えがあると思います。


「これ、良かったらどうぞ。」

   と、良子は リカに美容誌を差し出し、代わりにパーマロッドのトレイを受け取った。 そして、

「ごめんなさいね。 長い時間、トレイを持たせてしまって。」

   と、リカに詫びた。

「いいえ、 そんな。」

   と、逆に恐縮する リカ。 良子は受け取ったパーマロッドのトレイを、ガシャッと ワゴンの2段目に戻す。 そして、恐る恐るパーマ特集号の、他のページをめくり始めている リカに、

「いっぱい あるでしょう? パーマの種類が。 では、始めますよ。」

   と、声を掛けながら 髪にコームを当て、簡単にブロッキングを始める。 リカは 一瞬、ピクッとすると 目線を上げ、鏡に映った自分の頭を見詰める。これ迄に、何度となく カットの際にされていたブロッキングでさえも、パーマの施術が始まったと思うと、妙に緊張してしまうのだ。

   良子は手早く 赤や黄色のダッカールで、ブロッキングした髪を留める。 そして、1番最初に ネープの髪にロッドを巻く準備を整えながら、ピクッと反応した リカに気を配り、

「ごめんなさい、痛かったんでしょう?」

   と、問い掛ける。

「あいいえ、そうじゃ無く

   と、バツが悪そうに答える リカ。 痛かったのでは無く 緊張の為、と理解した良子は、

「大丈夫ですよ、まずは衿足から巻き始めますからね。」

   と、優しく声を掛ける。 すると そこへ、

「さあ、いよいよね。」

   と、言いながらマリ店長が近付いて来た。 その、優しそうでありながらもドスの効いた 重々しい声に良子も リカも、身体の中に同時に電流のような緊張が走る。

   そして店長はヘルプの為、リカの真後ろに居る良子の右手側に立つ。 そして ワゴン上段からコールドペーパーを1枚取り、リカの髪をロッド1本分、厚めにスライスしている良子にそれを渡す。 それに対し、

「すみません、店長。」

   と、恐縮しながらペーパーを受け取り、スライスした髪を包みながら自分のお腹の方へ引き寄せる 良子。 その毛先を、左手でホールドしてから右手をマリ店長の方に差し出す。 すると 店長は、ワゴンの引き出した2段目から ピンクのニューエバー F型26mm径のロッドを1本取り出し、それを 左手で渡しながら右手で淡いグリーンの輪ゴムを1本摘まみ出す。 そして、そのまま器用に親指・人差し指・中指の3本で拡げて良子の方へ差し出す。

   良子は、受け取ったピンクのロッドを 両手で縦巻きにクルクルと根元を少し残した状態で巻くと、マリ店長と同じ形にした右手の3本指で輪ゴムを受け取る。 それを、そのまま縦に向いているロッドの下端に引っ掛けて、上方向へゴムを引っ張り、上端にパチンと留める。そして、2本目も同様にして シャーベット・オレンジ色の23mm径ロッドが巻かれる。 3本目はピンク、4本目はシャーベット・オレンジと、2種類の径とカラーが異なったロッドが交互に、二人の息の合った作業で次々と縦巻きに巻かれていく。

   巻かれている リカはというと、自分の後頭部にロッドが巻かれているという感覚だけはあるものの、実際には目の前の鏡にはその様子が全く映らないので、それが何とも もどかしく、落ち着かない。

今、私の頭が どんな感じになっているのか? 観てみたい。}

   という気持ちで、仕方無く 手にしているパーマ特集号の、良子が開いてくれていたページに紹介されている写真を見詰める。 今は、その写真の ワインディング後ろ姿に自分の姿をダブらせて想像してみるしか、方法が無いのだ。 巻き始めの時からマリ店長が、

「髪が凄く綺麗だわねぇ〜。」

   とか、

「思えば随分 長い間、同じヘアースタイルを守り通してきたわよねぇ〜。」

   等と、気を使って言葉を掛け続けている。 しかし リカは、それらの全てに生返事状態で、心 ここに在らずという様相なのだ。 ところが マリ店長は、その リカの様子が可愛くて堪らず、きわめて上機嫌である。

   それとは逆に良子は、何とも言えない不安な気持ちに駆られ、気分が沈んできてしまう。 どんよりと、落ち込んでくるのだ。 そこで、そんな気持ちを打ち消すかのように意を決して、

「ところで店長、例の 芙美子先生との出会いのお話を、柴崎様に

   と、告げた。 その言葉に敏感に反応した リカは、

「そうそう、約束でしたよ。」

   と、鏡越しにマリ店長を見上げて おねだりする。 それに対しマリ店長は、

「そうだったわね、じゃあ、お話するわ。」

   と唇の端で笑い、そして答える。 その頃には 既にワインディングは、下から2段目に入っていた。 良子とマリ店長の機械のように正確な、ピッタリと息の合った華麗なる流れ作業により、ピンクの26mm径と 今度はペパーミント・グリーンの29mm径ロッドとが、交互に巻かれ始めていた。

   こうなってくると、両耳のサイドに巻かれたロッドが少しだけ見え始め、リカも それを鏡越しに確認する事が出来てくる。 それで、初めてのワインディング体験を、視覚でも実感し始めていた。 その、変貌していく自分の姿に 少しずつ興奮を高め始めてきた リカは頬を紅潮させ、

「早く、早く!」

   と、ハイテンションで催促をする。 それに対し、マリ店長は落ち着いた口調で、

「本当に、そんな大した事じゃあ無いんだけど

   と、わざと勿体付けて リカを焦らせる。 すると、

「んもう、マリ店長の意地悪!」

   と、益々興奮した様子で リカが、ふくれっ面をしてみせる。 その可愛らしい仕草に、

「まあ、貴女って 本当に可愛いわねぇ〜。」

   と、顔を ほころばせるマリ店長。 そして そのまま続けて、

「それよりも ほら、ロッドが いっぱい巻かれた、その姿を鏡で良〜くご覧なさい。 なかなか、素敵で お似合いよ。 まるで、お

   と言った所で突然、口ごもってしまう。 しかし、その事には気付かず リカは、

「いやん、恥ずかしい。」

   と言いながら、顔を真っ赤に染める。 そんな やり取りが続くうちにワインディングは3段目に入り、今度は32mm径の水色の大きなロッドが巻かれていく。 マリ店長に言われる迄も無く、恥ずかしいながらも、鏡に映る 自分のパーマ姿に視線が釘付け状態のリカ。

   綺麗な光沢のあるグリーンの袖無し塩化ビニール素材のパーマクロスを まとった上に、肩に掛けられたクリーム色のタオル。そして 綺麗な顔の周りを取り囲むように、前髪だけを残した状態で カラフルなロッドで巻き尽くされた、何とも色っぽい リカの姿。 その、鏡に映った自分の変わり果てた、恥ずかしい初めてのワインディング状態の姿を凝視しながら 更に興奮を高めている。 そうやって又、一段とマリ店長との言葉のやり取りに、熱が入ってくる リカ。 グリーンのパーマクロスの両脇から出されたパーマ特集号を持つ、その手が次第にジワジワと汗ばんでくるのを自覚し始めて、これ迄感じた事の無い 奇妙な気分になってきていた。

   そして、防水が効いた パーマクロス内の、その閉ざされた狭い空間では、興奮して上昇してきた リカの体温によって放たれる、かぐわしい女性特有の体臭が。 又、益々 湿気を帯びてきたパンティーの奥底の、柔らかな秘部。 そこから溢れ出る甘い蜜の、匂い立つような 牝の芳香。 それらが相まって、ムンムンに蒸された色っぽい匂いの巣と化していた。 但し、閉ざされているが故にその匂いが、クロスの外に漏れ出すような事は一切無く、それで リカ自身、そして周りの人間の誰しもが、その匂いに気付く という心配は皆無なのだ。 勿論、リカ本人は 自らの下半身に起きている性的興奮による変化は、当然の事ながら知っている。 なので、どれだけそこが セクシャルな匂いで充満しているのかは、容易に想像はついている筈である。 只、何故? 美容室で施術を受けながら こんなにも、とろける感覚を得ているのかが 信じられないでいるのだ。

   一方 良子はといえば、リカとマリ店長の会話をワインディングしながら聞いているうち、次第に自分だけが取り残されたような感覚に陥り、落ち込んでいた。 それで、ついつい押し黙って只、黙々とロッドを巻き続ける、という状態になってしまっている。 そして、

決して、そんな筈は無い!}

   と、心の中で否定し、打ち消そうと努力しても、どうしても不安な気持ちが頭をもたげてしまう。 そう…  疑心暗鬼で 気が重く、滅入ってしまうのだ。

自分の一番大切な お客様である 柴崎様を、マリ店長に盗られてしまう それも、あろう事か? 店長の[同性愛]の餌食として

   という気持ちが、どうしても湧き起こってしまう。 それは、嫉妬心とも言えるのかもしれない。

   そして、機械的な店長との共同作業で 最後に残っていた リカの前髪にピンクの26mm径ロッドが巻かれ、ワインディングが終了した。 すると、今度は 白く長いタイプのスティックピンを各々のロッド間を渡るように 淡いグリーンの輪ゴムに対し、直角に挿し始める良子。 その作業をしながら彼女は、ふと 自分の股間から熱い滴りが溢れ、下着に沁み出しているという感触を再確認するのであった。 そして、

こんな不安な気持ちを感じているのに 私ったら、何故こんなに濡れているの?}

   という思いで、益々自己嫌悪に陥ってしまうのだった。

 《初めてのパーマ 

 

「さあ、どうぞ お席へ。」

   と、良子に声を掛けられ R席]の方へ歩み出す リカ。 クリーム色のタオルターバンと、クリーム色のカットクロス姿に関しては先程と同じだが、その肩に白いタオルが掛かっているのだけが異なっている点だ。

   股間に感じる、熱い ほとばしりによって、歩き方がギクシャクとなりそうになるのを必死に堪えている。 そうやって精一杯、普通に歩きながらその視線の先に、サブ用具室に居るマリ店長の姿を見つけた。 その為、良子と同じ様に やはり急激に ドキドキと胸を高鳴らせて、更に愛液を沁み出させてしまう。

   そして、セット椅子に到着して腰掛けると クリーム色のターバンが外され、良子の手により 渋いグリーンのハンド・ドライヤーで軽く髪の余分な水気が飛ばされ始めた。 それで、あたり一面に 上質な トリートメント剤の良い香りが漂い出す。

   いつ迄も無言でギクシャクと、ぎこちなくしている訳にもいかないので良子は、出来得る限り 自然体の明るい口調で、

「さあ! それじゃあ、パーマに入ります。」

   と、声を掛けながら リカの肩から白いタオルを外し、光沢の有るクリーム色のカットクロスをも脱がせる。 そして、更に首元の白いタオルも外すと、それらの全てをワゴンの横に掛けた。 すると、この[パーマ]という言葉に 敏感に反応をした リカは、とたんに表情を強ばらせる。 その様子を、瞬間的に察知して リカの心を読み取った良子は、

「そんなに緊張しなくて大丈夫ですよ。」

   と、優しく声を掛け 今度はクリーム色のタオルを リカの首に巻く。 そして、ワゴンサイドから綺麗なパール状に光沢の有る、グリーンの袖無し塩化ビニール素材のパーマクロスを取って、まとわせる。 更に 肩にもう1枚、クリーム色のタオルを首の後ろの方から掛けて、胸元でブルーのダッカールで留めた。 これ迄 美容室でカットだけしか経験した事が無い リカ。 その為、ポリエステル素材のカットクロス、もしくは ナイロン製カット・パーマ兼用のクロスという、いずれも軽いタイプしか まとわされた事が無かった。それが今回、初めてその身に掛けられた防水性の高い、塩化ビニール製のパーマクロス独特の重量感に少し戸惑っている。 それに、鼻腔をくすぐるようなクロスに沁み込んだパーマ液 独特の匂いで、否応無しに緊張の度合いが増すのだ。 そんな状態の所を 良子に、

「これ迄に、他のお客様がパーマをかけていらっしゃる所を ご覧になった事が おありでしょうから、大体 どんな風にするのかはご存知ですよね?」

   と、優しく丁寧に問い掛けられ、

「えええ、 まあ

   と、緊張の面持ちで答える。 すると良子は、にっこりと微笑みながら パーマ用ワゴン 2段目の、パーマロッドが太さごとに綺麗に並べられたトレイに手を掛ける。 そして、それをガシャガシャッと引き出して、リカの目の前に差し出した。 すると、プラスティック製のロッド同士が擦れ合う ジャラジャラッという音を間近に聞いて、リカの緊張が更に増す。

「先程も言いました通り、くせ毛風に緩く 大きなウエーブを創ります。 ですので、使うロッドは ご覧のように、これらの中太サイズです。」

   という、良子の言葉を聞きながら 自分の目の前に差し出されたトレイの中にある カラフルなパーマロッド群を見て リカは、

ああ…  これが今から、私の頭に次々に巻かれていくんだ

   と、思うと 余計に緊張で顔をこわ張らせてしまう。 良子は、確かに大きなウエーブをと言っているのだが、どうしても自分の髪がチリチリの爆発頭になってしまうんでは? という疑心暗鬼が、湧き起こってしまうのだ。

   目の前にある 使い込んだロッドやペーパー、スティックピン等が乗った このトレイ。 そこからは、クロスに沁み込んでいる柔らかな匂いよりも更に、パーマ液の残り香が強烈に漂ってくる。 しかし、それらの香りを嗅ぎ続けているうちに リカは、

この、パーマの匂いって…  決して嫌いじゃ無い。 むしろ、何だか とっても良い感じ

   という思いをいつの間にか抱き始め、胸がドキドキするような軽い興奮を覚え始めていた。 その、何かを期待するような 心の微妙な変化は、緊張の為に堅くなっていた表情を和らげるのには充分であった。リカの顔に、微笑みが戻り始めたのである。 そんな 微妙な変化を 元々、心理学専攻である良子が見逃す筈は無く、素早く次の行動に移った。

「そうだ!  すみません 柴崎様、一寸これ 持っていて下さいませんか?」

   と言うと、リカの目の前に ロッド類の乗ったトレイを差し出す。 すると、リカは 光沢有る綺麗なグリーンの袖無しパーマクロスにスッポリと覆われて 隠れていた両手を、反射的に クロスの両脇から出した。 良子は、その手に トレイを預けて、

「今、私のイメージしている髪型のワインディング状態の写真と、完成写真とを お見せしますので。」

   と、弾んだ口調で言いながら 鏡の右下の方、リカの足元部分にある書棚の前に 彼女に背を向ける形で屈み込んだ。 そして、そこに数冊置いてある 美容業界誌の中から、パーマ特集号を取り出し、そのページをめくり始めた。

??」

   と、突然の事に 鳩が豆鉄砲を食ったような思いで戸惑っていた リカ。 それで今、自分が持たされているパーマロッドのトレイを 改めて目の当たりにして、そのたち込めるパーマの香りに、更に興奮が高まる感覚を覚え始めていた。 無意識に、ゴクリと生唾を飲む。 そしてついつい、トレイの中から そっと、そこに在る中では一番細い、白っぽく淡いクリーム色のニューエバー2号ロッドを1本取り出した。 それを鼻に近づけて、沁み付いたパーマ液の匂いを思いっ切り吸い込んでみる。 パーマ特集号のページを一生懸命めくっている、後ろ姿の良子に悟られないよう、音が発たないように細心の注意をはらいながら。

   すると、先程迄のトレイ全体から立ち昇っていた、ほのかなパーマの香りとは比べ物にならない程の良い匂いに身が震える。 そして何より、良子に隠れて密かに匂いを嗅いでいるという、今の自分の行為自体に まるで全身が痺れるようなある種、興奮の高まりを感じ始めていた。 只、この時点では まだ リカ自身、ハッキリとは自覚してはいなかった。 先程のマリ店長から受けた、執拗な迄の 言葉と手のひらによる愛撫攻めにより、性的な興奮神経が研ぎ澄まされている という事を。

 

というよりも、これ迄 仕事一筋で男性経験が極端に乏しかった リカ。 その為に、秘部から愛液が次々に溢れ出しパンティーを濡らす という感覚に、決して 慣れてはいないのだ。 そんな彼女にとって、とても異質な 不思議な感覚なのだろう。 それに、まさか美容室でトリートメント中に、そして今[パーマ]という言葉に、又 パーマ用具の匂いに興奮しているという事自体が信じられない事象なのである。

   普段、その美し過ぎる容姿の為 世の男性達から逆に敬遠されている リカ。 その為、女企業戦士として仕事上で その男性達の優位に立つ事によってしか、気持ち上の復讐を果たす方法を無くしているのだ。 それでいつの間にか、男性との縁を自ら断ち切ってしまっていた現実。 しかし その実、本当は寂しい という その矛盾した心の本音・隙間を、マリ店長は鋭く察知した。 元々 リカが持っている髪フェチとしての感性・資質を見事に見抜いたのだ。 そこでまず、優しくそして激しく言葉をかけて、又 そうしながら同時に ソフトなボディータッチを施す。 同性であるが故の安心感から逆に、次第に 官能的な同性愛の世界へと、誘ない始めたのだ。 髪フェチという感覚を絡めながら、巧みに。

   こういった才能に関しては、心理学者である良子の学問的観念よりも、マリ店長の方がより数倍も優れていると言えるのかもしれない。 正に、動物的とも言える感覚で嗅ぎ分けるという点では

 

   そうやって、興奮によるトランス状態の為に パーマロッドの匂いを貪るように嗅いでいた リカ。 彼女は 堪え切れずに、良子に聞こえないように気を付けながら、

「はぁ〜

   と、押し殺すような 長いため息を漏らしてしまう。 そしてそんな自分が恥ずかしいやら、可笑しいやらで 一人で顔を赤らめてしまっていた。 その一部始終を サブ用具室からジッとうかがっていたマリ店長が、

してやったり

   という顔で、ニンマリと微笑んだ事等、知る由も無く。

 「見つけましたよ! こんな感じです。」

   と、満面の笑顔で立ち上がりながら良子が振り返った。 そしてその手に持った美容誌の、お目当てのページを開いて 嬉しそうに リカに見せる。 すると、まだ クリーム色のロッドを手に持ったままだった リカは、ドキッとしながらそれを慌ててガシャッとトレイに戻した。 そこで、ほんの少しの間だけ 沈黙の時間が過ぎる。

私、パーマ道具の匂いなんて嗅いじゃって。 しかも、それを持っている所見られてしまって。 良子さんに 変に思われたかな?}

   と、心臓をバクバクさせながら良子の反応を待つ リカ。 すると良子は、初めてのパーマなので、単に ロッドに興味があって見ていたのだろうとでも思ったのか、そんな事等 意に介せずに 優しく、

「そんなに沢山のロッドが、これから自分の頭に巻かれていくって思うとドキドキするでしょ? でも そこにあるロッド全部を巻く訳じゃありませんし、この写真みたいに一本一本が太めですので、そんなに思った程 ビッシリって感じでは無いでしょう?」

   と、 美容誌の ワインディング状態の写真を指差しながら説明する。 良子の、その淡々と話す様子に リカは、

良かった…  気付かれていない。}

   と、安堵の ため息を漏らしながら、

「そそうですね。」

   と、何とか 搾り出すように 返事をする。

 そう…  リカがロッドの匂いを嗅いでいる時はまだ良子は背を向けていたので、全く気付かれずに済んでいたのだ。

 良子は、笑いを取って リカの緊張を更にほぐしてあげようと、他のページをパラパラとめくりながら、

「このページの方なんて、凄くロッドも細いですし、ビッシリと いっぱい巻いてあるでしょ?」

   と、指差す写真は 確かに年配のモデルさんに、極細ロッドが 細かく 綺麗にビッシリと100本以上も 平巻きに巻かれている状態であった。 いわゆる[オールパーパス]という、パーマの最も基本的な巻き方だ。 当然 仕上がり状態の写真も、年配女性特有の 大仏パーマになっている。

「くくく。」

   リカは苦笑する。 良子は ウケた事に安心して ページを元に戻すと、

「それに比べて、こちらは仕上がりも くせ毛風で自然な感じですし、同じ パーマと呼んでいても、全く違う物でしょう?」

   と、明るく 問い掛ける。

「そうですね、凄く自然で良い感じですね。」

   と、まだ心臓はドキドキしながらも、少し安心した様子で答える リカ。

「そうでしょう? 一言で パーマと言っても、色んな 様々なスタイルがあるんですよね。 今回の パーマは決して、いかにも パーマをかけましたって感じではありませんから、どうぞ ご心配無く。」

   と、良子が言う頃には もう、すっかり安心出来たようだ。

 それに対し、良子は 優しい眼差しで微笑みを返しながら、
「ありがとうございます、柴崎様。 その信頼を裏切らないように 精一杯、美しく変身させていただきます。」
   と、力強い返答をした。 その言葉に 安堵の溜め息を洩らした リカが、それから 少しの間をおいて、
「でも、何だか緊張しちゃうなぁ〜。」
   と、独り言のようにポツリとつぶやいた。 すると、それに対して優しく答えようとした良子より先に、素早く反応したのは マリ店長だった。 ミストブロー中の リカの背後に歩み寄り、その両肩を ポンと軽く叩きながら、
「大丈夫よ、そんなに緊張しなくっても。 良子さんの事、信頼しているんでしょ?」
   と、悪戯っぽい目をしながら 励ますように語り掛けた。 そして、そのまま リカの肩に乗せた両手で クリーム色のクロスに包まれた肩を、優しく… 優しく擦るようにしながら、
「誰だって、初めてパーマをかける時って 緊張するものよ。 私だって、今からもう ウン十年も前になるけど、あの時は緊張で 内心 ドキドキだったわよ。 それこそ、手の付けられない程のワルだったから 喧嘩やトラブルなんて、日常茶飯事で全く平気だったのに。 まるで、可笑しな話よね?
   そう… そんな ツッパリ高校時代に ハクを付けたくって、チリッチリのハード・カーリーヘアーになるようにと、初めてのパーマを頼んだの。 表面上、イキがって平然としているように装っては いたけど、実は 心臓バックバクだったのよ、あの日は。 …でね、因みに その時の担当美容師さんが、あの人。」
   と、顎で 店内の二つ向こうの席を、指し示した。
「えっ! それって、もしかして 芙美子先生なんですか?」
   と、リカが 大きな目を更に丸くして驚くと、
「ええ、その通りよ。 …まだ新米美容師だった頃のね。 それが、先生と私の最初の出会い。 そう、運命の出会いね。」
   と、リカの肩に乗せられた白いタオルとの間に両手を挿し入れるようにして、カットクロス表面を撫でまわす マリ店長。 そのツルツルとした感触を 楽しむかのように、優しく… 優しくまるで愛撫のように 肩を擦り続けながら、勿体つけたような口調で答える。
「へえ〜、そうなんだ〜。」
   と、驚くような話の進展に 大きく頷きながら納得する リカ。 すると良子が、
「その話、私も何度か聞いた事がありますけど、それが マリ店長が美容の世界に入ったキッカケでも あったんですよね。」
   と、遠慮気味に ごく控えめに口を挟む。
「へえ〜、凄〜い! その話、聞きた〜い! もっと!」
   と、リカが ねだるような声を出す。 マリ店長はそれに対し、
「うふふ… そんな大した話じゃないんだけどね。 でも良いわ、後で良子さんのワインディングを ヘルプしに来るから、その時に ゆっくりとね。」
   と 余裕たっぷりで、更に勿体ぶった感じの言い方で 予告をしてから、
「でも本当に貴女、このクリームのミストキャップ 良く似合ってるわね。」
   と、リカの肩から手を離し その頭に被せられている、ミストキャップに移す。 今まさに、パンパンに大きく膨らんで シューッと、3本の白く熱いミストの筋を吹き出しているキャップだ。 その表面を、いっぱいに広げた両手の指で 艶めかしく 撫でまわすようにしながら、手のひらで その熱を感じ取りつつ更に、
「それにしても ホント、我ながら グッド・セレクトだったわ。」
   と、鏡の中の色っぽい リカの姿を見詰め、独り言のような言葉を続けた。
{ ああ…、とっても気持ちが良いから、もっと続けて肩を擦り続けて欲しいのに… }
   と、マリ店長の 優しい手のひらに、後ろ髪を引かれる思いの リカ。 その、ねっとりした感触が 自分の肩から離れてしまった為に 切ない気持ちを抱きながら、
「もう〜、言わないで下さい!恥ずかしい… 」
   と、羞恥心の為に 又、更に頬を染める。
「いいえ、止めないわ。 だって このクリーム色のミストキャップとカットクロスの組み合わせが、貴女の その綺麗な顔立ちを とっても優雅に、そしてセクシーに際立たせているんですもの。」
   と、マリ店長に 又、更に しつこい位に褒められて、
「……。」
   と、もう 顔を真っ赤にして 無言で うつむくしか無い リカ。
{ セクシーだなんて、とっても恥ずかしい…。 でも何だか嬉しいような… }
   という、奇妙な感覚を味わっているかのようだ。すると マリ店長は、次に リカが まとっているクリーム色のカットクロスの袖部分、つまり リカの二の腕 辺りを撫で回し始めた。 両手を、艶めかしく滑らせるように動かして愛撫をする。 
   そうしながら、更に言葉で 容赦無く褒めちぎる。 リカは、頭部へのミストの温かさで ボーッとして来た所に、マリ店長の言葉と手による愛撫攻めで、何とも言えない快感を覚えて 瞳を潤ませ始めていた。
   又、その 妖しげで、エロチックな一部始終をジッと見詰めている良子も 何だか妙な気分になってきた。 口の中が とても渇いてきて、ゴクリと生唾を飲み込む。
   マリ店長の手のひらが スベスベしたカットクロスの上を、腕から肩、肩から背中、そして 又、腕の方へと艶めかしく、まるで生き物のように滑り始めた。 そして、その間も ずっと耳元で(正確には、リカの耳はミストキャップとターバンで塞がれているので 頬と頬を寄せ合うように…)熱い吐息まじりに、賞賛の言葉を囁き続けている。
   そうこうしているうちに、ピピピッと ミストタイムの終了を知らせる電子音が鳴り出して、高温ミストの供給が止まった。 その為 それ迄、パンパンに膨らんでいたミストキャップが、ほんの少しずつだが 萎み始める。
   すると、マリ店長は リカの身体から手を離しながら、舌なめずりをして 耳元に、
「又、この続きは後でね… 」
   と、鏡越しに ジッと リカの潤んだ瞳を見据えるようにして囁くと、良子に向かって、
「じゃあ、良子さん。 後は お願いね。」
   と、声を掛けて リカの姿を見詰めながら後ろへ下がった。 妙な気持ちで下半身に何か熱いモノを感じ始めていた良子は、
「あ、は… はい。」
   と、我に返って リカの後ろに立ち、萎みかけのクリーム色のミストキャップに つながった吹き出しホースを抜き取った。 そして少し うろたえたような様子で、
「さあ、それでは トリートメント剤を流しますので、シャンプー台の方へどうぞ。」
   と、カラカラに渇いた喉で やっと搾り出すように リカに声を掛けた。 その声に対して、マリ店長の執拗な愛撫と言葉攻めによって、うっとりとした快感に身を任せるように酔いしれていた リカは、少し慌てて、
「あ、は… はい。」
   と、良子と まるで同じ様なリアクションをした。 そして 半分程、萎んでしまったクリーム色のミストキャップを被ったままの格好でカット椅子から立ち上がる。 それから、クリーム色のカットクロスの裾を揺らしながらシャンプー台の方へ歩き出すのだが、その足取りが 何とも ぎこちない。
{何だか、身体中の力が抜けたみたいで不思議な感じ… }
   と、思いながら やっとの事で、シャンプー台の椅子に辿り着き、ドスンと腰を下ろした。 その様子を見て良子は、
「だ、大丈夫ですか?」
   と 言葉を掛けたが、その声が明らかに上ずっている。 そして、リカの肩に 今度は 綺麗な光沢のパールオレンジのシャンプークロスを掛けた。 白い肩掛けタオルが掛かった状態のクリーム色のクロスに重ねる形にだ。 
 首元でクロスを留められている リカは、
「え… ええ、大丈夫です。 それより、良子さんの方こそ 何だか変。」
   と、興奮した状態を悟られまいと、努めて平静を装いながら答える。 それに対し、
「い… いいえ、そんな事 無いですよ。」
   と、今度は良子が 精一杯、普通っぽく振舞おうとしながら リカの頭から、殆んど萎みきったクリーム色のミストキャップを脱がせる。そして、平然とした様子でランドリーボックスに それを入れる。 すると、まだミストの熱が残った リカの黒光りする濡れた髪から、この店オリジナルの 栄養価の高いトリートメント剤の、豊かな香り混じりの湯気が立ち昇る。
   お互いにバツの悪い思いをしながら良子と リカは ほぼ同時に、
{ んもう! マリ店長のおかげで 私、きっと 変な風に思われているわ。}
   と、心の中で悲痛な叫び声をあげていた。 そして良子は、リカに対して 努めて冷静を装い 気丈に、
「はい、それでは トリートメントを流します。」
   と、声を掛けながら椅子を ほんの少しだけ倒した。 そして、シャンプーボウルの窪みに艶やかなパールオレンジのシャンプークロス本体と同じ色・素材の防水ベロの部分と、リカの頭を誘なう。 それから、シャワーの お湯を出し 手首で適温になったかを確認して、髪を流し始めた。 シャーッ… シャカシャカ… と、手早く丁寧にトリートメント剤を流しながら、
{ さっきの柴崎様に対する、マリ店長の… 何よ? あれ。 これ迄も、店長の言動を ずっと見ていて 何となく気付いてはいたけど… やっぱり、店長って… 間違いないわ!}
  と、頭の中で グルグルと色んな思いを巡らせている為、ついつい押し黙るように無言になってしまう。
   一方、リカの方も まだ 自分の肩や腕に残るマリ店長の優しい愛撫の感触を、そしてその余韻を思い出して、やはり無言になってしまっていた。 それで、静かな時間の中にシャワーの音だけが響いている。
  リズミカルに手を動かしながら、良子が目線を移すその先には、サブ用具室で澄まして道具の整理をしている マリ店長の姿が見える。 その端正な整った美しさの横顔を見ていると、先程の妖艶なシーンが思い出され、心臓がドキドキと高鳴ってしまう。 そして股間に、熱い滴りが沁み出して 下着を濡らしている感覚を もう、どうしても否定する事は出来なくなっていた。
   又、それは今 髪を流して貰いながら目を閉じて、うっとりと快感の余韻に浸っている リカの下半身とて全く同じ状態であった。 しっとりとした湿り気を帯びて、その花弁を開き始めているのだ。
   やがて良子は、リカの髪を流し終わり 水気を落とすと、先程と同じ クリーム色のタオルで髪全体を包み込んだ。 そして、椅子を起こしながら パールオレンジのシャンプークロスのマジックテープを バリッと剥がして脱がせると、それをランドリーボックスに放り込む。 
   努めて… 努めて、健気に平静を装いながら…。