いつも当院のブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。
美容皮膚科 ペルラクリニック神宮前 院長の本田 淳です。
当院は、院長が診察から治療まで一貫して施行すること(ワンドクター制)を特徴としています。
【 以前の当院アドレス info@perla-j.jp は、現在ご利用になれません。
https://perla-clinic-j.com/inquiryよりご連絡ください。
お手数をおかけして申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。
以下本文となります。
―――――――――――――――――
Microfocused Ultrasound With Visualization in Skin Quality: A Narrative Review
緑字は私の低レベルなコメントですので、お読みになる必要はございません。
-
要旨
イントロ
肌質(skin quality)は多面的な概念であり、新たに抽出された4つの知覚カテゴリー(EPCs)、すなわち硬さ(firmness)、表面の均一性(surface evenness)、色調の均一性(tone evenness)、およびツヤ(glow)から構成される。可視化機能搭載高密度焦点式超音波(MFU-V;Ulthera System ウルセラ)は、皮膚のリフティングおよびタイトニングに関して、顔面および身体の複数の部位においてFDA認可を受けている非侵襲的デバイスである。MFU-Vは、特定の深度に熱凝固点を形成することで、コラーゲン新生とエラスチンリモデリングを誘導し、総合的な肌質改善に寄与する。
目的
MFU-Vが上記4つのEPCに及ぼす影響について、臨床的・前臨床的エビデンスを評価すること。
メソッド
PubMed、Google Scholar、Cochraneを用いた構造化ナラティブレビュー( structured narrative review)を実施した。703件を審査し、67件を採用した。MFU-V単独および併用研究で、アウトカムをEPCに対応付けている(マッピング)ものを対象とした。
結果
firmness(n=52 研究数)では弾力・ハリの一貫した改善が見られ、6か月以上の効果の持続も示唆された。surface evenness(n=35)については、シワ・毛穴・瘢痕で改善が報告された。tone evenness(n=4)については、肝斑・紅斑での効果と、フィッツパトリックスキンタイプIII–VIでの良好な忍容性が示された。glow(n=4)については、テクスチャーおよび構造の改善から間接的に効果が裏付けられた。フィラーやボツリヌストキシン等との併用でも良好な結果が報告され、有害事象は稀かつ一過性であった。
結論
MFU-Vは肌質の複数の側面を改善する安全で汎用性の高いプラットフォームであり、とくにfirmness・textureについては十分な根拠が示されている。tone ・ glowについても新たなエビデンスが得られている。EPCに基づくアウトカムを統合することは、個別化治療計画や将来の研究に資する可能性がある。
全文(抜粋)
イントロ
肌質(Skin Quality)は多面的な概念であり、4つの「新たに抽出された知覚カテゴリー(EPCs)」――すなわち皮膚の硬さ(skin firmness)、表面の均一性(surface evenness)、色調の均一性(tone evenness)、およびツヤ(glow)――を含む。
硬さ(firmness)は、弾力(elasticity)、構造(structure)、および復元力(resilience)に関連する。
表面の均一性(surface evenness)は、平滑性(smoothness)、毛穴の可視性(pore visibility)、ならびにシワ・小ジワの存在を反映する。
色調の均一性(tone evenness)は、色素沈着や血管の外観の均一性を指す。
ツヤ(glow)は皮膚全体の光沢・明るさ(luminosity)と活力(vitality)を表し、多くの場合、他の3つのEPCのバランスによって形成される(glowは主観的要素が強く、客観評価が確立していないと思われます)
一つのカテゴリーの改善は、他のカテゴリーにも影響し、肌質の相互関連性を強く示唆する。
MFU-V(Ulthera System, Merz Aesthetics)は、真皮および皮下組織に対して集束超音波エネルギーを正確に送達する非侵襲的デバイスである。エネルギー照射により微小な熱凝固点(TCPs)が形成され、コラーゲン収縮や再配列を伴う組織リモデリングが誘導される。その結果、皮膚表面を傷つけることなくリフティング・タイトニング効果を発揮する。MFU-Vは、真皮深層およびSMASといったコラーゲンの豊富な層を標的とし、1.5・3.0・4.5 mmの深度でコラーゲン新生に最適な治療温度(60~70℃)を達成する。
MFU-Vの大きな特徴は、リアルタイム超音波イメージングである。これにより治療中に組織の層構造を可視化でき、骨や血管といった重要構造を避けつつ(グレースケール Bモードです・・・)、ターゲット深度に正確なエネルギー送達が可能である。その結果、安全性と有効性の双方が向上し、さらに各患者の解剖学的特徴に応じたオーダーメイド治療が可能となる。この機能は臨床結果の一貫性と再現性を高める。
MFU-Vは2009年に非侵襲的眉リフトでFDA認可を取得し、その後は頸部・顎下のリフト、さらにはデコルテのしわ改善についても承認を拡大してきた(Figure 2)。現在においても、FDA認可を有する唯一のMFUデバイスである。臨床試験や国際的なエキスパートコンセンサスにおいても、その安全性は確立されている。特にFitzpatrickスキンタイプIII〜VIといった色素沈着リスクが高い患者層でも、MFU-Vはメラニンに富む表皮をバイパスすることによりPIHのリスクを最小化できるとされる。副作用として報告される有害事象は、紅斑や圧痛といった軽度・一過性のものに限られている。
本レビューは、MFU-Vが肌質の4つのEPCに与える影響について、既存エビデンスを整理したものである。前臨床データ、臨床試験、患者報告アウトカムの知見を統合し、MFU-Vの皮膚の構造的改善と審美的改善への寄与を明らかにすることを目的としている。
-
メソッド
本ナラティブレビューは、MFU-Vによる肌質に及ぼす影響を評価した臨床および前臨床研究を収集するために、構造化された検索およびスクリーニング手順に従った。目的は、肌質の4つのEPC(firmness, surface evenness, tone evenness, and glow)のいずれか、あるいは複数のカテゴリーに関連するすべてのエビデンスを収集することであった (Table 1) 。
本レビューでは、PubMed(508件)、Google Scholar(268件)、Cochrane Central(44件)を対象に電子検索を行った・・・全文レビュー対象は140件となり、精査ののち最終的に67件が採択された(Table 2)。
検索戦略と使用したブール演算子は補足資料に詳述した。MFU-V単独または他の治療との併用を含み、かつアウトカムがEPCにマッピングされている論文を対象とした。前臨床研究、臨床研究、組織学的検討、患者報告アウトカム(PRO)を含むすべてのデータを採択対象とした。各研究の概要はEPCドメイン別に整理し、 Table 3に示す。
-
Skin Firmness
firmnessは、弾力性・ハリ・水分保持能( elasticity, tautness/tightness, and hydration)といった要素によって定義され、これらは皮膚の粘弾性特性を反映している。多くの研究において、MFU-Vが皮膚の生理的機能とfirmnessを改善することが示唆されている。なお、単回治療、複数回治療の双方で弾力性の改善が報告されている。
Kerscherらは、MFU-V治療後12週および24週において、ベースラインと比較して皮膚の総弾力(net elasticity)が有意に増加することを報告した(p<0.05) [32](n=22 白人女性。対照群なし)。Suhらの研究では、治療2か月後に被験者の91%で鼻唇溝と下顎ラインに外観上の改善が認められた。これらの臨床的所見は、真皮の肥厚、コラーゲン増加、弾性線維の再構築といった組織学的エビデンスによって裏付けらている [5](n=22 韓国人。アブストラクトのみ)。
Sasakiらは、マリオネットラインの治療を対象としたランダム化スプリットフェイス試験を実施した。180日および360日の時点で、2層照射と3層照射を比較したところ、後者の写真解析による組織変位およびCortexによる弾力性評価が有意に改善しており、深度依存的な効果が示唆された[ 14 ](abstractのみ見ることができましたが、2 different treatment densities or number of lines and 2 vs 3 planes of treatment について検証したとメソッドにあり、 結果、the use of higher amounts of joule energy and treatment planes の方が有意に結果が良かった、と書いてあります。これだけでは、正確な比較内容がわかりません)。
CorduffとLoweの研究は、10 MHz/1.5 mmトランスデューサを用いた単回高密度治療セッションの効果を6か月または10か月後まで追跡評価し、標準的なMFU-Vアプローチに対する別の視点を提供した。結果としては、平均1.7 mmの眉リフト、眼瞼下垂の改善、平均78.7 mm?(78.7㎟ の間違いです。側面の画像において、定義された顎下の領域面積の減少量)の顎下リフトが認められ、皮膚の弾力性と引き締まりの改善を示した。また、Global Aesthetics Improvement Score(GAIS)では、87%の患者に臨床的改善が認められた。さらに、Scientific Assessment Scale of Skin Quality(SASSQ)でも、シワの重症度と皮膚のroughnessの減少が確認された (Figure 3) [21](この論文は、以前当ブログでご紹介したことがありますが、そもそも10 MHz/1.5 mmトランスデューサを用いた単回高密度治療セッション ではありません。 Hi5 Protocolと命名されており、あえて複数回に分けて施行するもので、3㎜、4.5㎜のトランスデューサーも使用しています)。
これらの知見から、集中的かつ高密度な治療セッションが、構造的支持と皮膚質感の改善に効率的に寄与する可能性が示唆される。
MFU-Vと他治療との併用療法は、顔面およびボディの皮膚の弾力性改善に有効であることが複数の研究で示されている。Kerscherらは、MFU-V治療から12週後に単独での臨床効果が不十分なケースに、カルシウムハイドロキシアパタイト(CaHA)注入を施行したところ、顎下部のタイトニングと密度改善(引用論文の中には、密度の定義は示されていません)が認められ、さらに下顔面では48週にわたり真皮肥厚が持続したと報告をしている[33](全体で22例、CaHA追加群は9例。MFU-V単独群、CaHA単独群、無治療群は存在しません)。
Ramirezらは、上腕部においてMFU-Vと希釈CaHAの単回併用治療後、定量的サイトメトリーにより、firmness(12週および24週でp<0.05)および弾力性(4、12、24週でp<0.05)の有意な増加を示し、患者の88%で審美的改善が認められた(12週時点 改善のピーク)と報告している[36](n=12 アジア人3例・白人9例。MFU-V単独群、CaHA単独群、無治療群は存在しません)。
MFU-Vによるタイトニング効果は、顔面の他、全身の多くの部位ー腹部、上腕と肘、膝、臀部、デコルテ、下眼瞼、中・下顔面、下顔面と頸部、マリオネットライン、眼周囲やアコーディオンラインがある(原文には、各部位につき文献リンクがあります)で報告されている。
システマテックレビューおよびメタアナリシスによっても、MFU-Vのタイトニング効果が裏付けられている。
Continiらは、MFU-V治療後90日時点で眉リフト効果0.47–1.70 mm、顎下部面積の減少25–45 mm²を報告し、医師の評価によるタイトニング効果は92%の症例で認められた。また、患者満足度は1年間で42%から53%へと上昇した [77](以前、当ブログでご紹介しました。IGAIS(研究者評価):337例プール解析 → 90日で92%改善、SGAIS(患者評価):81例 → 90日42% → 360日53%。効果あり、としつつも限定条件つき(女性・軽度弛緩・BMI < 30) という慎重な結論)。
LingとZhaoによる顔面タイトニングおよびリジュビネーション研究のメタアナリシスでは、治療後90日時点での反応率は77%(95%CI: 58–96%)、180日時点では69%(95%CI: 51–87%)であり、患者満足度は70%以上であった[78](responderについて、GAIS で improved 以上と定義したようです)。
MFU-V単独治療のタイトニング効果に関する豊富なエビデンスを背景に、他の治療法との併用療法の効果を検討する研究も複数報告されている。Bartschらは、臀部と大腿部の皮膚弛緩に対して、MFU-Vに希釈CaHA注入を併用し、その3か月後に組織安定化サブシジョン(tissue‐stabilized‐guided subcision)を施行したところ、9か月後に1段階以上の改善を得るオッズ比が最大となることを示した(OR: 2.23, 95%CI: 0.51–9.82)[41](この併用パターン、治療間隔が、最も効果的だったということです。全文が読めませんので、具体的には不明です)。
また、Casabonaは、CaHA、マイクロニードリング、アスコルビン酸(塗布)による治療の後、MFU-Vを施行したところ、妊娠線部分の皮膚の緊縮性が改善したと報告した。Manchester Scar Scaleは9.35 ± 1.18から6.30 ± 1.26へと有意に低下(p<0.001)し、組織学的にも真皮リモデリングが確認された[ 44 ](患者満足度もスコア 3.75 から、治療後は 4.70 まで統計的有意に上昇した(p<0.001)、と記載されています。 n=20 対照群はありません)。
Smithらは、MFU-Vと希釈CaHAの併用治療を大腿外側に施行し、その結果、体型イメージが54%改善し、余剰皮膚についての不満度が39%減少した(p<0.01)。さらに、firmnessに対する主観的評価においても有意な改善が認められたと報告した[62](MFU-V:大腿外側に150ライン(3.0 mmおよび4.5 mm)、CaHA:MFU-V直後に皮下へ注入。BODY-Q(Body Image, Appraisal of Excess Skin, Satisfaction with Hips and Outer Thighs, Appearance-Related Psychosocial Distress)という患者報告アウトカム(PROMs)を治療前および90日後に実施。BODY-Qは患者満足度をよく反映しますが、当該研究は客観的評価(皮膚弾性測定、3Dイメージング等)はなされていません)。
CasabonaとPereiraは、臀部および大腿の中等度~重度のセルライトに対して同様の効果を確認した。MFU-Vと希釈CaHAの単回併用治療により、セルライト重症度スケールの有意な改善(p<0.001)と同時に、組織のfirmnessや皮膚のタイトニングについても有意な改善が得られた[43](retrospectiveで対照群はありません)。
Casabonaらは、フェイスリフト手術で得られた皮膚サンプル1例において、MFU-V、CaHA、CPM-HA(cohesive polydensified matrix‐hyaluronic acid)、マイクロニードリングを併用したところ、皮膚の厚みが3倍?に増加し、真皮3Dマトリックスの改善が観察された。特にMFU-Vをフィラー注入前に行った場合に効果が顕著であった[28]。
Woodwardらも、MFU-Vとフラクショナル炭酸ガスレーザーの併用により、(組織の)多層的な若返り効果が得られ、構造的および表層レベル双方の改善が強化されたと報告している [37](おそらく、リフティング・タイトニングのみならず、肌質の改善も認められたと言いたいのでしょう。retrospectiveで無作為化対照群がない研究です)。
さらにCasabonaとMarcheseは、スレッドリフト(PLLA)治療1か月後にMFU-Vを行った患者において、老化スコアの改善および新生コラーゲンの維持され、その効果は最長1年間持続したと報告した [29](retrospective 単群解析(n=48)で対照群はありません)。
Chengは、顎下部および下顎ラインにMFU-Vを施行し、さらに広頚筋、オトガイ筋、口角下制筋にincobotulinumtoxinAを注入した。その結果、下顎角の輪郭改善、オトガイ突出の増強、下顔面のハリの改善が得られ、その効果は3か月間持続したと報告した [47](内容的には1例報告。標準プロトコルではありませんが、GADA(Gel-assisted depth adjustment)というテクニックを用いて、ウルセラを施行しています。ごく簡単に言えば、治療部位に塗布するジェルの厚さを調整することで焦点深度を微調整し、皮膚厚に応じた個別化治療を行うというものです。評価法は画像と著者によるスコアリング、簡易的な計測に依存しています)。
Parkらも、MFU-V、HA、ボツリヌストキシンを組み合わせたアプローチにより、治療1週、4週、12週で眉毛リフトと眼周囲のタイトニングを報告している[35](n=20 韓国人。 非対照試験・単群、単独治療群はありません)。
Kwonらは、MFU-Vと高張グルコース注入( transcutaneous pneumatic injections of hypertonic glucose solution (TPIG)。 アブストラクトのみ見られますが、ジェットインジェクターによる注入だと思われます)を用いて中顔面の弛緩を治療し、12週後に91%の改善を報告した。また、組織学的には真皮コラーゲンの増加が確認された[34](単群・前後比較であり、対照群はありません)。
Juhászらは、膝および大腿において、MFU-Vと希釈CaHAを併用し、12週および24週でMerz Skin Laxity Scaleの有意な改善を示し、皮膚のハリ(tautness)の視認できる改善が認められた[31](n=20。スプリットボディデザイン。被験者評価は、満足・紹介意向ともに6点前後/10。OCTや3D解析による定量評価では有意差なし。副作用は68%に認められたが、全て軽度で自然軽快)。
Dohらは、頸部のたるみに対してMFU-V、HA、CaHA、incobotulinumtoxinAを併用し、たるみスコアを1.30から0.725へ有意に減少させた(p=0.008)。この効果は全10例で認められ、組織のタイトニングを高める上でのマルチモーダル戦略の有用性を裏付けた [30](アブストラクトのみ。n=10。対照群や単独治療群はありません。定量的な評価基準は示されていません)。
Kerscherらは、MFU-V治療の皮膚の水分量およびバリア機能への影響に関して検証した。結果、治療後も水分量は安定しており、短期および長期測定において経表皮水分喪失(TEWL)に有意な変化は認められなかった。コルネオメトリーによる測定では12週間にわたり水分量の有意な減少(p=0.0001)が認められたが、その値は生理的範囲内にとどまり、皮膚機能の障害は示されなかった。これらの結果から、MFU-Vは皮膚のfirmnessを高めつつ、表皮の完全性と水分バランスを維持できると考えられる [32](n=22 白人女性。対照群なしの単群観察研究です)。
―――――――――――――――――
―――――――――――――――――
◆ ペルラクリニック神宮前Webサイト(原宿・表参道)
◆ ウルセラ説明
◆ ミラドライ説明
◆ XERF説明
◆ 治療費一覧
◆ お問い合わせ
◆ アクセス ( JR原宿駅 徒歩1分 )
◆ 診療時間 10時~18時 /月・木休診(振替診療の場合もあります)
◆ 美容皮膚科ペルラクリニック神宮前では、初診から治療・治療後フォローまで、院長が一貫して、お一人お一人に最適化した治療を、良心的な価格でご提案、実施いたします。
◆ 東京都内の他、埼玉、千葉、神奈川等近県、日本全国からご相談をいただいております。