論文紹介: ウルセラ ナラティブレビュー3 | 美容皮膚科医の日常ーペルラクリニック神宮前院長 本田淳

美容皮膚科医の日常ーペルラクリニック神宮前院長 本田淳

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以下本文となります。

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2025年の論文

 

Microfocused Ultrasound With Visualization in Skin Quality: A Narrative Review

 

 

前回の続きです(全文からの抜粋です)

緑字は私の低レベルなコメントですので、お読みになる必要はございません。

 

  •  Skin Tone Evenness(皮膚のトーンの均一性)

    トーンの均一性は、主に色素沈着、色調、紅斑の3つの特性によって定義される [](以前、ブログでご紹介しています。国際的なエキスパートパネルが修正Delphi法を用いて、肌質に関するコンセンサスを策定。システマティックレビューではなく、参加者の臨床経験と一部文献に基づくコンセンサス報告)
    加齢関連の色素異常は老化線維芽細胞の蓄積も関与し、間質細胞由来因子1(SDF-1)を抑制し、メラニン産生の増加に寄与する []。(老化線維芽細胞が治療標的となり得るかを検証。日光性色素斑の領域ではp16INK4A陽性線維芽細胞が著増し、SDF1発現が低下(免疫染色・RNAレベルとも有意差あり)。SDF1欠損線維芽細胞はメラノサイトのメラニン合成(MITF/チロシナーゼ)を亢進、rhSDF1やSDF1過剰発現で抑制。生検は17例施行。SDF1低下を主因と主張しているが、HGF, KGF, SCFなど既知のプロメラノジェニック因子は検出感度や条件依存で変動しており、因果関係は不明瞭)。
    MFU-Vはメラニンを直接標的としないが、組織をリモデリングし、血管の外観や真皮の支持構造を改善することでトーンの改善に寄与し、全ての皮膚タイプにおいて高い安全性プロファイルを有する。

    Vachiramonらは、UVBで誘発した腕の色素沈着を対象に、前向き評価者盲検試験を行った。Fitzpatrick IVではMFU-V処置部位の明度指数が有意に改善(1.67 vs 0.83)、一方でFitzpatrick IIIでは、4週後フォローアップ時に、対照部位の方が高明度を示した(統計的有意差はなし)。組織学的解析(4週後フォローアップ時)では、Fitzpatrick IVの被験者およびFitzpatrick IIIの一部で、処置部位におけるメラニン量は対照よりも減少していた[]。(前向き、ランダム化、評価者盲検、対照内比較パイロットスタディ。n=20(FPT III:14名、FPT IV:6名)。アブストラクトのみ読めますが、組織学的解析の結果は記述されていませんでした

    Limらのパイロット研究では、混合型肝斑を有するアジア人20名に対し、10 MHz・1.5 mmトランスデューサーを用いた治療を1か月間隔で2回施行した。結果、平均MASIスコアは13.2から2.4へ有意に低下し、72.5%の頬部で明らかな色調改善が得られた。この効果は少なくとも5か月間持続し、患者満足度も全フォロー期間で高値を示した []。(単群、前後比較、パイロットスタディ。対照群なし。n=20  中国人。Fitzpatrick III–IV。主要評価項目:mMASI(modified Melasma Area and Severity Index)。副次評価:6段階スコアによる光学的評価(3人の治療に関与していない評価者)、肝斑面積の変化、sGAIS、満足度スコア、疼痛VAS。筆者考察:MFU-Vは機械的メラノソーム破砕と真皮リモデリングによる色素沈着軽減の可能性を示唆。基底膜修復や線維芽細胞リジュビネーション仮説を提示。画像解析による客観的メラニン定量はない。明度の改善について、改善率(%lightening)の層別も「1–25%」など比較的粗いカテゴリで定量精度に欠ける

    Chanらは、色素量の多い皮膚においても、MFU-Vは安全に使用可能であることを示した。治療を受けた中国人患者49名のうち、PIHは2例(前額部)に発生したのみで、9か月以内に寛解した。前額部治療に使用するトランスデューサーを4.5 mmから3.0 mmに変更した後は、PIHの発生は認められなかった[]。(アブストラクトのみ prospective  、オープンラベル、多施設研究。全顔に照射(7.0 MHz/3.0 mm、7.0 MHz/4.5 mm、4.0 MHz/4.5 mmの3種類トランスデューサー使用)。複数回治療を受けた者が含まれるため、総セッション数68回。治療プロトコルの詳細は不明。そもそも、額に4.5mm 以下略

    Schlessingerらは紅斑毛細血管拡張型酒さ(ETR)の成人91名対し、低〜高密度のMFU-Vを1〜2回施行した。90日までに75〜91.3%でCEA(Clinician Erythema Assessment)スコアが1ポイント以上改善し、この効果は12か月後まで維持された。炎症性疾患を有する患者群であるにもかかわらず、副作用としての紅斑は35%にとどまった []。(prospective  ランダム化 パイロットスタディ。 被験者:91名(CEA ≥3、PSA ≥2)PSA:Patient Self-Assessment of erythema。 治療成功率:75〜91.3%(群間差あり、最も高いのは高密度1回群)。紅斑改善プロセスにおける真皮リモデリングや血管収縮などのメカニズムは仮説段階であり、組織学的・分子生物学的証拠は提示されていない

    MFU-Vの副作用としては、一過性紅斑がしばしば報告されるが、通常は軽度で自然消退する。Kerscherらは、下顔面および顎下に対して4.5 mmと3.0 mmトランスデューサーを用いた単回治療(800〜900ライン)を施行し、生じた紅斑をMexameterで定量評価した。結果、治療後12週にわたり平均値が313.7→290.3 MUへ漸減することを示し、治療介入せずに消退することを示した []。(n=22。単施設、prospective  オープンラベル 対照群なし。目的:MFU-V治療が皮膚の生理学的パラメータ(表皮バリア機能、弾性、厚み等)に及ぼす短期・長期影響を定量的に評価する。何度かご紹介している論文です

    MFU-Vは、前臨床・臨床研究の両方で安全性と有効性が示されており、肝斑や炎症後色素沈着といった色素異常や紅斑を改善することで、皮膚のリジュビネーションに寄与する。表皮を温存しながら深部ターゲットに熱刺激を加えることが可能なため、皮膚の色調を問わず適用可能である。

     
  •  Skin Glow(ツヤ)


    これは、皮膚の輝度・光沢といった視覚的パラメータを総称し、皮膚の健康状態の総合的指標として用いられるが、明確な生物学的マーカーではない。表皮の透明度、真皮の健全性、表面の平滑性、均一な光の反射といった要素を総合的に反映している。これらの要素はメラニン分布の均一性、角質水分量、コラーゲン構造、微小血管の影響を受ける。皮膚のくすみ(dullness)は、トーンの不均一、粗造化、毛孔開大、弾性低下を原因とした光の不規則性な散乱で説明可能である。
     

    MFU-Vは、前節で示したように、色素沈着および紅斑の改善、コラーゲンリモデリング、皮膚表面の平滑化を促し、結果、皮膚の光学的特性(正反射率等)を改善する。

    現時点でMFU-VがGlowに及ぼす影響を直接評価した研究は存在しないが、関連性のある報告は見受けられる。
    Limらは、肝斑患者に対する前向き研究で、色素密度と病変面積が有意に減少し、GAISスコアおよび患者満足度が5か月間にわたり持続的に改善したと報告した [](n=20。uncontrolled case series。両頬に対しMFU-Vを2回(1か月間隔)施行。プロトコルは、 10 MHz, 1.5 mmトランスデューサーを用い、1部位あたり90–210ライン、格子状に照射。mMASI:13.2 → 2.4(4か月)、2.8(5か月), p<0.0001。多重比較補正なし。4か月時点で72.5%の治療部位が明度改善、70%で面積縮小。GAIS:5か月時点で85%が「改善〜非常に改善」。LOE IV)。
    Kerscherらは治療後12週・24週で皮膚弾性の有意な増加と表皮バリア機能の維持を確認しており、紅斑や水分量には変化がなかった[]。(これも当ブログで紹介したことがあります。n=22。 prospective  オープンラベル。TEWL:直後軽度上昇、4週でむしろ低下。統計学的有意差なし。角層水分量:12週時点で有意低下(p=0.0001)も生理的範囲内。紅斑指数(Mexameter):短期・長期とも有意差なし…等。多重比較補正なし


    MFU-Vは、CaHAやスレッドリフトとの併用治療も有効であることが示されている(以下、前述されているものもありますが)。
    Smithらは、大腿部のたるみを有する女性にMFU-VとCaHAを併用療法施行後、外見上の心理社会的苦痛が36%減少したと報告しており、皮膚に対する自信と肌質の向上が示唆された []。(既出 36%減少したという件は、アブストラクトには記述なし
    Casabonaは、MFU-Vとスレッドリフトの併用療法が患者満足度を有意に高めることを示した。具体的には、90日で3.21から4.46に上昇し、1年時点でも4.29を維持したと報告した []。(n=48。MFU-V治療によりPLLAスレッドの構造・強度が変化しないかを検証。臨床的安全性と満足度をretrospectiveに評価。Aging Face Scale(AFS))による評価で、90日で有意に低下(改善, P<0.001)。満足度スコアは90日・1年で有意に上昇(双方P<0.001)。スレッド単独群なし。非ランダム化
    一方で、併用治療においては安全性と有効性を担保するため、その順序の重要性も指摘されている。
    Harnchoowongらは、皮内ボツリヌストキシンの注射後14日以内にMFU-Vを施行すると、発汗抑制効果を有意に減弱することを確認し、少なくとも2週間の間隔を推奨している[]。(n=15。prospective split-site RCT 。前額に対してMFU-Vは10 MHz、1.5 mmトランスデューサ(0.18 J/line)で2パス照射。対照(A):1.10 ± 0.33 cm² 注入直後MFU-V(B):0.73 ± 0.35 cm²(p<0.001 vs A) 7日後MFU-V(C):0.89 ± 0.32 cm²(p=0.005 vs A) 14日後MFU-V(D):0.93 ± 0.30 cm²(p=0.021 vs A)。有意水準の記載はない。 14日より長い間隔での比較データがなく、最適間隔は確定できていない
    Vachiramonらは、HAフィラー注入後14日以内にMFU-Vを施行するとフィラーの持続性が低下するが、28日以上の間隔をあけることによりフィラーの構造が保持されることを報告した []。(n=13。 prospective pilot study。 腹部に4か所(2×2 cm)にHAを0.25 mLずつ皮内注入。割付 Site A:対照(MFUなし) Site B:注射60分後MFU Site C:注射14日後MFU Site D:注射28日後MFU。同日と14日後MFU群では有意に減少。28日後MFU(D):減少傾向あるも有意差なし(3.7→3.3, p=0.073)。皮内注射モデルであり、実臨床(顔面・皮下〜骨膜上注入)への外挿に注意が必要。多重比較補正の記載はない

     
  • 結論
    本レビューでは、MFU-Vに関する70件の研究を選定した。臨床評価、組織学的解析、前臨床データ、患者報告アウトカムを網羅している。
    皮膚のskin firmnessに関しては、下顔面、顎下、頸部、大腿、上腕といった多部位について、総計52件の研究で改善が報告され、エビデンスは強固であった(強固かどうかは、緑字を参考にして以下略)。改善の評価は医師スコア、盲検化評価者スコア、組織学的解析、画像解析ツールによる定量評価を用いて裏付けられている。フォローアップ期間は多様で、90日および180日で評価した研究が多数を占め、7件の研究では12か月以上に及んでおり、短期的なリフティング効果と長期的なリモデリング効果の双方が示めされた []。(既出

    Surface evennessは35件の研究で評価され、顔面および眼周囲領域において、テクスチャ、シワ、毛孔径といったパラメーターにおいて有意な改善が示された。一方、Tone evennessおよびglowはそれぞれ4件にとどまり、測定ツールは研究間で統一されていない。glowに関しては、直接的な定量化は限定的であり、トーン、テクスチャ―、平滑性の改善から間接的に推測されるにとどまる。近年、Erythema Index(EI)、Melanin Index(MI)、gloss metricsなどの検証済み画像解析手法が広く導入されつつあり、これらのアウトカム評価における客観性が向上しつつある[]。(女性300名を対象に、顔面(前額・頬)と顔面以外(頸部・デコルテ・手背)の皮膚弾力指標を計測し、年齢との相関を解析。Rパラメータ(Cutometer)および角層水分量(Corneometer)の基準範囲を確立。R2, R5, R7が全部位で年齢と中〜強 負の相関。R1, R4, R6は年齢と正の相関を示し、加齢で皮膚の回復遅延と粘弾性比率が増加。角層水分量はほとんど相関を示さず、加齢指標としては不適切以下略

    本レビューではMFU-V単回プロトコルが大部分を占めているが、瘢痕や肝斑等の病態においては複数回の治療を検討した研究が少数存在する [](既出)。複数のセッションは皮膚弾性の改善に寄与し、施術を分割することで患者の快適性や費用負担を調整できる利点があると報告されている[](既出。少しレビュー内容がずれています)。また、PIH発生については複数回施行と明確な関連を認めず、むしろ深層に対する(4.5㎜)治療が関与するとされる[](前額部に4.5㎜トランスデューサーを使用したらPIH を引き起こしたとする、なぜそんなことをやったのか?という意味がわ以下略)。肌質に関する主観的および客観的改善は、一般的に時間経過とともに増強・維持される傾向にあったが []、単回治療と複数回治療の直接的な比較は依然として限られている。

    MFU-Vは、良好な安全性および忍容性プロファイルを有しており、報告されている有害事象の多くが一過性(紅斑・浮腫・治療時不快感)にとどまる []。
    MFU-Vは、顔面、頸部、顎下、さらには適応外の体幹・四肢部位において施行され、同時に幅広いFitzpatrick スキンタイプの患者に使用されており、美容医療における汎用性を物語っている。さらに、フィラーやボツリヌストキシンとの併用が19報告に及び、安全かつ有効なマルチモーダル戦略の一環として組み込める点も示唆されている []。

    肌質に対しては、MFU-Vの正式な適応ではないものの、肌質の各評価領域において、定量的評価および視覚的印象の両面で臨床的に意味のある改善をもたらすことが示唆されている。今後は、生物物理学的指標、知覚評価、患者報告アウトカムを統合し、EPC(Emergent Perceptual Categories)モデルのような標準化された枠組みを適用することが、研究のさらなる発展と個別化医療の指針策定に極めて重要となる。さらに、治療間隔、照射深度、併用治療戦略の最適化により、治療成績と患者満足度の双方が改善されると考える。


    以上となります。
 

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