論文紹介ーマイクロニードルRF治療の組織学的および臨床的用量反応分析 | 美容皮膚科医の日常ーペルラクリニック神宮前院長 本田淳

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以下本文となります。

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マイクロニードルRFに関する論文をご紹介します。

 

 

 

2025年の論文です。

 

 

要約です

 

  • イントロ
    高周波マイクロニードリング(RFMN)は皮膚のたるみやをシワに対する一般的な治療となっている。
    先行研究では組織学的または臨床上の効果が調査されてきたが、ニードルあたりのエネルギー(EPN: energy per needle)と総エネルギー量が治療効果に及ぼす影響については明らかにされていない。
     

  • 目的
    RFMN 治療における、印可(照射)エネルギーと組織学的変化・治療効果との相関を解析すること。
     

  • メソッド(組織学的評価)
    絶縁針を用いたRFMNシステムを使用し、ブタ皮膚(ex vivo)に20–100 mJ範囲のEPNで照射
    H&E染色を行い、凝固体積(coagulation volume)をImageJで解析。
     

  • メソッド(臨床評価)
    30名(平均年齢55.9±8.7歳)の被験者に、下顔面と顎下部にRFMNを1~3回(平均1.7±0.8回)、総エネルギー1518.2±784.1Jの照射
    3Dカメラ(Vectra H2)により体積変化を評価し、総エネルギーと体積変化の相関を解析
     

  • 結果
    組織学的評価:EPNと凝固体積の間に強い正の相関(r = 0.976; p < 0.005)を確認
    臨床評価:全セッションの総エネルギーと体積変化の間に強い相関(r = 0.676; p < 0.001)
    セッション数と体積変化の間にも正の相関を確認
     

  • 結論
    RFMN治療において、照射エネルギーと組織学的ならびに治療効果との間に強い相関があることを確認した。
    同時に、凝固体積をRFMN治療におけるマトリックス(定量的指標?)として導入することで、個々の患者に応じた治療計画の最適化が可能となると考えられる。

 
 
 
以下、本文から抜粋した追記事項(一部)です。
ご興味のある方のみどうぞ。
緑文字は私が書き足したものですので、ご参考まで(読み飛ばし推奨)
 
イントロ
  • フラクショナルレーザーをはじめとするEBDは、皮膚のたるみやシワに対する治療として確立されており、近年は特にRFMN が注目を集めた。
  • RFMN治療における重要なパラメータとしては、絶縁針または非絶縁針の使用、刺入深度、一針あたりのエネルギー(EPN)および総エネルギーが挙げられる。
  • 先行研究により、RFMN治療の熱影響による組織学的変化に関する報告が複数あるが、照射されたRFエネルギーと、凝固体積および臨床的アウトカムとの相関関係を包括的に理解するには至っていない引用文献は興味深く、有限要素解析〈FEA〉による予測モデルを開発して、熱プロファイルの解析、dose-response curveの作成、導電率の差異による影響等が  以下略)
     
メソッド
  • 成豚の腹部皮膚に対し、Genius®(Lutronic Medical Systems)RFMNシステムを用いて照射実験が実施された。7 × 7本の針配列を有するハンドピースを用いて、約4 cm × 4 cmの面積に、EPN 20~100 mJの範囲で照射を施行した。組織サンプルはH&E染色により観察し、coagulation volumeはImageJで測定した。
     
  • 臨床研究については、 University Medical Center Hamburg-Eppendorfにて実施された。詳細な結果はすでに(同チームが別文献で)発表済み
    (被験者30人 平均年齢 55.5 歳 Fitzpatrick skin type I-IV、4~12 週間の間隔で 1~3 回のセッション。治療はベクトルを変えて3パス。フォローアップは治療後 90 日目と 180 日目。3D解析の結果、顎下脂肪容積の平均変化量 -4.72 cm3 ±10.07 cm3; range -26.65 cm3 to +16.01 cm3。ちなみに、解析装置はVectra H2, Canfield Scientific Inc.。VAMソフトウェアの自動解析アルゴリズムを用いて、治療180日目とベースラインとの絶対体積の差〈absolute volume differences〉を算出)
 
結果
      組織学的評価
  • 10個体より、それぞれ5か所(EPNを20 mJ、40 mJ、60 mJ、80 mJ、100 mJに設定。計50個)の組織サンプルを解析。
  • EPNが20 mJ、40 mJ、60 mJ、80 mJ、100 mJの条件下で、凝固体積はそれぞれ 0.033 ± 0.012 mm³、0.076 ± 0.032 mm³、0.173 ± 0.063 mm³、0.288 ± 0.320 mm³、および 0.353 ± 0.173 mm³へと増加した。
  • 凝固ゾーンは楕円体形状で、EPNとの間に正の相関関係が確認されたが、凝固体積の測定値には顕著な偏差があった。ピアソン相関係数rは0.976(95% CI: 0.659–0.998、p  < 0.05)であった。
  • これらのex vivo観察結果に基づき、EPNと凝固体積変化との間にほぼ線形の相関があると仮定し、総照射エネルギーに対する絶対体積変化( absolute volume change )を予測するモデルを策定した (Fig. 4  ).


    臨床的評価
  • 顔面下部および顎下領域の体積変化と総照射エネルギーとの間にロジスティック相関が認められた(logistic correlation という用語は聞きなれないというか、違和感を抱きます。私だけでしょうか笑? 非線形あるいはシグモイド、かつ飽和傾向があるという・・・logistic curveで近似される非線形回帰   以下略
  • セッション数と体積変化の増加との間には正の相関が見られ、スピアマン順位相関係数r  = 0.676(95% CI: 0.363–0.852)、p値< 0.001が算出された。
 
議論
  • ex vivo 組織学的解析および臨床的な3D画像解析を通じて、凝固体積・臨床効果・照射エネルギーの間に正の相関があることを初めて実証した。
  • 本研究で使用されたデバイスは、絶縁針を使用し、過度の熱損傷等の望ましくない組織反応のリスクを最小限に抑えるためにリアルタイムフィードバック機構を備えており、さらに、EPNが高くなるにつれてパルス持続時間を自動的に延長する設定がなされていた(照射エネルギーの時間的分散により安全性を担保しているということでしょう。powerが一定とか単純な話では 以下略 )
     
  • 先行研究にのおいて、過度にアグレッシブな治療設定では、臨床効果がむしろ低下することが報告されており、また、約67°Cの温度、針の間隔3~4 mm、刺入深度が真皮網状層に達する設定が臨床効果の最適化に寄与すると結論付ける報告もある(文献等 全文は見られませんでした・・・)。
     
  • 本研究では、総照射エネルギーは、凝固体積および臨床的アウトカムに正の相関があると仮定した。
    組織学的検証によって、EPNと凝固体積の間に強い正の相関を確認し、このデータに基づき、臨床的な体積変化と総エネルギー量の相関モデルを構築した。

    臨床的検証の結果、総照射エネルギーと体積変化の間に非線形、飽和傾向(本文はロジスティク相関と書かれています)示された。このことは、neocollagenesisにおける生理的限界と整合している。
     
  • 年齢と臨床的反応との間に正の相関も認められた(高齢ほど効果が高い?)。ただし、サンプル数が少ないため、年齢・肌質・遺伝的要因などの内因的因子や、紫外線曝露・喫煙・栄養・ストレスなどの外因的因子に関する有効なサブ解析を実施できていない。
     
  • 本研究では、臨床的な体積の変化(減少または増加)はneocollagenesisの原理に基づくという仮定に依拠し計算モデルが構築されている(唐突に体積の増加の話が出てきていますが、評価部位〈submental & lower face〉は体積減少が主体であり、体積増加のデータは本研究内では提示されていません。著者らの過去の研究等からの知見に依拠していると見られますが、そのことが本文中で明示されておらず、・・・想像ですが、臨床的な体積の変化に関して、絶対体積〈absolute volume〉変化と記載されており、Fig.4の縦軸も正の値ー変化量ーとして表記されています。よくわかりませんが、筆者たちの中では論理の整合性がとれ、一般化可能と考えているものと思われます。私の頭が悪いだけでしょう、きっと笑。しかし、変化量をneocollagenesisのみで説明できる? そもそも 絶対量でモデルを構築しているが、上で述べたように平均変化量 -4.72 cm3 ±10.07 cm3 ・・・以下略)。

    以下、原文に忠実に書きますと
  • RFMN治療における臨床的知見により、jawline領域では体積減少が、またmidface領域では皮膚の肥厚に伴う体積増加が観察されている。したがって、collagen remodelingの臨床的役割は単なる皮膚の引き締めにとどまらず、計算に複雑さをもたらす。それにもかかわらず、我々のデータは、効果の評価や治療計画の立案に対して有用な知見を提供する。RFMN治療において凝固体積を一つのmatrix(指標)として考慮することは、臨床的アウトカムの予測、安全性の確保、治療のカスタマイズにとって重要である(とのことです。「我々は複雑さを理解しているが、そのすべてをモデルに包含することは今回の研究スコープを超えるし、参考になる指標は提供できている」・・・というニュアンスでしょうか?)
     
  • 今回の組織学的解析では、凝固体積の測定値に高い標準偏差が認められたが、これは主に、標本作成時の技術的な問題が原因であることが考えられる。同様に、臨床評価においても画像撮影の標準化の限界に加えて、被験者の内因性および外因性要因も測定偏差に関与した可能性がある。
     
  • 本研究の限界:組織学的解析はブタの腹部皮膚の摘出標本に対して行われたため、結果の一般化が制限される可能性がある。臨床評価においては、被験者のライフスタイル(紫外線曝露や食事等)の潜在的影響を排除することができなかった。また、サンプルサイズが限られていたため、RFMN治療後の臨床的転帰に対する年齢や皮膚の質の影響を判断するためのサブ解析を実施することもできなかった。
 
結論
  • 本研究では、照射されたエネルギーと、それに伴う組織学的および臨床的転帰との間に強い正の相関が存在することを示した。
  • RFMN治療における凝固体積(coagulation volume)という指標の導入は、治療計画に新たな視点を提供するものと考える。
  • しかしながら、RFMN治療に対する理解と治療戦略の洗練のためには、さらなる前向き臨床研究が必要である。殊に、治療回数および間隔が治療効果に与える影響、長期的な効果については不明確である。さらに、pulse durationと治療効果との相関関係についても検討の余地がある。
  • 本研究では治療間隔について、メーカーが推奨する4週間間隔ではなく、3か月間隔で治療を実施したが、これはneocollagenesisによる臨床的変化の持続期間に関する我々の知見に基づいている。
  • 今後の研究では、個々の患者特性が治療結果にどのように影響するかを検証するための詳細なサブ解析を実施し、それに基づいて個別化された治療計画を策定するための指針を確立することが望まれる。
 
 
 
 
以上となります。
 

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