内禍 | 美容皮膚科医の日常ーペルラクリニック神宮前院長 本田淳

美容皮膚科医の日常ーペルラクリニック神宮前院長 本田淳

一美容皮膚科医の想い

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ペルラクリニック神宮前院長
本田淳のブログ

 昔の中国の史書や、それを題材とした小説などを読むと、熾烈かつ悪意に満ちた権力闘争の描写が随所に見受けられる。様々な民族による国家が、現れては消えてゆく中国史において、皇帝は玉座を維持するために、真に優秀で、信望の厚い武将や部下を誅殺してしまうことがある。大きな武功を上げた武将を、凱旋するや、難癖をつけて一族郎党滅してしまうこともある。
 最終的に、自身の首を絞めることになることが分かっていても、乱世においては、保身の本能が必要以上に鋭敏になるのであろう。実際に、(どちらが鶏で卵かわからないが)、優秀な部下・武将が、覇気のままに、簒奪を実行に移したことも多々あった。
 
 現在の会社組織とは比べようもないが、上が気に入らないからといって、「じゃあ、辞めます」とか、「転職、独立します」と軽々しく言うわけにはいかない。言葉通り一族の命がかかっているので、その言動には細心の注意が払われなくてはならない。
 そのため、優秀な武将は、戦で勝ちすぎて目立たぬように、部分的な負けを演出したり、わざと略奪をしたり、賄賂を受け取ったりして隙を作った。その匙加減を調整するのは、さぞ大変だったであろう。そして、ある者は才気を隠し、愚昧を装った。最大の懸念事項は、弁舌に自信がある者が、イエスマンとなって上に媚び、とり入り、そのうちトップに重用されるようになってしまうことだ。そして、そのような者は例外なく国政を壟断するに至った。

 高邁、有為のものを廃し、功を示すに実績ではなく、他者を讒言することによってなす人間の跋扈を許す。結局このような王朝は、早晩崩壊を免れず、外敵、内禍を伴い、他王朝にとって代わられる。

 人間の本質は、時代によって大きく変わるものではないので、様々な組織でこの類型を見る。しかし、上記のように前提が究極の状況下ではない現在、各組織のトップは、愚かな轍を踏むことはないと思うのだが、いかがだろうか?