<2月23日(火)>雪の結晶


冷たい霙(みぞれ)の日でした。もうすぐ3月なのに、こんなに春の来るのが遅い年も珍しくて、いい加減寒さに嫌気がさしたわっ!


手術から12日経った今日、医者に行ってきました。「先生、まだあちこちちょっと痛いんですが、」、「それは普通だから安心したまえ。時間が経てば治るんじゃ。順調に回復してるし、もう二度と来なくてよいからの」、だそうで、ご心配をお掛けしましたが、大丈夫のようです。

日本で体調を崩して手術することになったドミンゴ先生が、3月初めからのロンドンのオペラ出演を全キャンセルむかっ  ファンでもないので大して失望はしませんが、人様のために切符を手配してあったので連絡やら相談やらで大わらわDASH! 先生、恨みますぞよむっ


あら、でも、忙しくても記事ができてるじゃん。はい、静養中に書き溜めておいたんでぇ~す。

----------------------------------------------

オペラ三昧イン・ロンドン


1月31日、ロイヤル・フェスティバル・ホールにダニエル・バレンボイムがベルリン国立歌劇場オケと指揮してピアノも弾くというコンサートに行きました。


Arnold Schoenberg: Verklärte Nacht
Interval
Ludwig van Beethoven: Piano Concerto No.5 (Emperor)

Daniel Barenboim conductor, piano

Berlin Staatskapelle


オペラ三昧イン・ロンドン
バレンボイム先生は最近あちこちでシェーンベルクとベートーベンのピアノ協奏曲の組み合わせでコンサートをやってらっしゃるのか、一年前に私はミラノのスカラ座でスカラ座オケと一緒にやったコンサートに行きました(→こちら )。

その時はベートーベンのピアノ・コンチェルト番でしたが、今回ロンドンで5回やるうち、私が一番名曲と思う5番「皇帝」の日を選びました。


ベート-ベンが目的なのであり、「うへーっ、もうひとつはシェーンベルクか・・。わけわかんないヘンテコ曲だったら嫌だなあ。スカラ座で聴いたペレアスとメリザンドはわかり易くて悪くなかったけど。」、と思って恐る恐る臨んだのですが、これが素晴らしいシェーンベルクだったんです。


日本語だと浄められた夜(或いは浄夜)というのだそうですが(→日本語ウィキペディア )、男女が月夜に森の中を歩きながら、「私、妊娠したの。・・・でも、ごめんなさい、貴方の子ではないの」、「えっ!・・・・・汗」という深刻な状況下で語らい、結局彼が不実な彼女を許すという、リヒャルト・デーメルの詩に基いたドラマチックな心理描写の弦楽曲で、ずっとその情景を想像しながら聴いていたら、ぐっと来ちゃいました。


雰囲気のある曲を、私はコーラス席の最前列真ん中のまるでオケの一部のような位置で接することができ、バレンボイム先生の「そう、今ここで彼女が告白してるんだよ」、とでも言いたげな指揮と表情もばっちりまじかに見られたのは最高でした。スカラ座ではバルコニー席だったのでそんな臨場感は感じられなかったので、スカラ座オケとベルリン歌劇オケのどちらが上手か比べることはできませんが、私にとっては今回の方が感動度10倍。聴く位置は大事ですよね。おまけに切符の値段はスカラ座の10分の一くらいで、ありがたいことです。



オペラ三昧イン・ロンドン

後半のベートーベンの協奏曲「皇帝」は、バレンボイム先生が指揮しながらピアノを弾いたのですが、向こうのまともな席の観客には背を向けてるので、私たち貧乏人コーラス席の観客は先生の手は見えませんが顔はばっちり見えて、指揮してピアノ弾いて時折ハンカチで汗を拭う先生の忙しい姿はそれだけで感動です。弾いてる時は顔の表情で指揮するんですが、珍しい光景で面白かったです。


ソナタ終了後は総スタンディング・オベーションとなりましたが、演奏自体は、かつて私を感動させてくれた先生にしてはそんなに素晴らしかったとは思えず、たしか先生のオハコである音色の多彩さの片鱗は感じられたもののやはりピークは過ぎたかと思わざるを得ず、迫力はやっぱりキーシンの方があるわと感じました。余談ですが、キーシンは、7、8年前でしょうか、バービカンでベートーベンの協奏曲全5曲を2日で弾くという偉業を成し遂げ(ということは、一晩で3曲弾いた日もあるってことよ)、その天才振りをかぶりつきで聴けたことは私のクラシック音楽コンサート行きの中でもハイライトとなっています。


いえ、決してバレンボイム先生が下手だと言ってるわけではなく勿論超一流なのですが、先生なら今でももっと上手に弾けるかもしれないと思うとちょっと淋しい気がするんです。
オペラ三昧イン・ロンドン
尚、この後の他の日のコンサートで先生は別のシェーンベルクの曲を演奏する前に30分以上掛けて詳しく説明してくれたそうです。曲の内容についての知識を前以て得ておくことは観客の義務と言うかオプションですが、先生には熱い思いがあったのでしょう。

更に、このコンサート・シリーズは凄い人気だったようで、切符を買えない人たちのために広いロビーに椅子を並べて大スクリーンで生中継されたんです。それもきっとバレンボイム先生の寛大なご配慮だったに違いないと思うのですが、そりゃやっぱり生で聴くに越したことはないのは当たり前で、安くて良い席が買えた私は幸せ者でございました。


コーラス席に向かってお辞儀してくれたオケというのも初めてで感激しました。先生は、人気のこの席に座ってる人たちはお金は無いけど熱意は人一倍ということをご存知なのでしょう。気遣いの方です。


2年前のベートーベン・ソナタ全制覇(→こちら )と言い今回と言い、先生が気合が入れるシリーズをいつもロンドンで演奏して下さってありがとうございます。先生ような方のお陰でロンドンが世界一のクラシック音楽都市でいられるわけですから、これからもよろしくお願いします。


このオケの皆様には1ケ月にベルリンでお目に掛かれますので、そちらもよろしく。


オペラ三昧イン・ロンドン

                                 人気ブログランキング パー