2月27日のリハーサル、3月2日の初日、3月5日、3月7日と4回も観たベッリーニのI Capuleti i e Montecchiです。
Composer Vincenzo Bellini
Director Pier Luigi Pizzi
Designs Pier Luigi Pizzi
Conductor Mark Elder
Giulietta Anna Netrebko
Romeo Elina Garanca
Tebaldo Dario Schmunck
Capelio Eric Owens
Lorenzo Giovanni Battista Parodi
変形ロミオとジュリエット
カプレッティはジュリエットの苗字、モンテッキはロメオの苗字ですから、もちろん悲運の恋人ロメオとジュリエットの悲恋物語なのですが、お馴染みのシェークスピア版とは場面や登場人物がちょっとちがいます。こちらの方が元ネタに忠実らしいのですが、これをアレンジして見せ場の多いあのロメジュリにしたシェークスピアは天才です。
こちらのロメジュリには、初めて出会って恋に落ちる舞踏会も、愛を語るバルコニー場面も出てこなくて、二人はすでに愛し合っているのに離れているという状況から始まり、久し振りに会って「僕んちと君んちの仲の悪さにはうんざりだから、駆け落ちしようぜ」、と誘うロミオにジュリエットは「ええーっ、そんなことできるわけないじゃん。世間体だって大事だしい、パパを悲しませるわけにはいかないの、アタシ」と断るファザコン娘。二人の絡みも愛のシーンというよりは言い争いが長々と続きます。
別の人と結婚させられそうになって仮死薬を飲むけど、伝達の失敗でロメオがお墓で毒薬を煽り、ジュリエットは剣で自殺という核になる部分は同じなので、「あーあ、もうちょっとタイミングがずれてたら死なずに済んだのにねえ」という不憫さに涙ちょちょ切れるラストシーンですが、映画などでも私は最初の出会ってビビビっとする一目ぼれシーンが好きだし、「嗚呼ロミオ、どうして貴方の名前はロメオなの?」というロマンチックで格調高いバルコニー場面もないのはつまんないですよね。
プロダクション
1830年初演のこのオペラは同じロメジュリでもシェークスピアに基づいたグノーのフランス語の人気ロメジュリに比べると上演機会がうんと少ないですが、ROHのこのプロダクションは1984年にグルベローヴァ、バルツァ、トムリンソンで初演。それから何度リバイバルされたのかは知りませんが、私は2001年に観ています。歌はまあまあだけどジュリエットより背が低くて絵にならないソニア・ガナッシと、容貌は美しいけど歌がメチャ下手なエレーナ・ケレシディだったので、良い印象は残ってませんが。
それが今回は数段アップグレードされ、今をときめくアンナ・ネトレプコとエリーナ・ガランチャですからね、とても楽しみにしてました。
舞台と衣装![]()
80年代の舞台って良いですね。少々古めかしいけど豪華でまとも。
これも、暗いけど、ギリシャ柱が数本と遠景にヴェローナの建物とやお墓の彫像とかあるだけのシンプルさながら、美しい構成で、衣装もこれぞロミオとジュリエットという判りやすさ。
パフォーマンス
今回は2月中旬になって突然舞台横の席がどっと売り出されたを運よく情報をキャッチできたので(時々そういう汚い手を使うんですよROHは)、フレンズ予約で前から買ってあった席から乗り換えて、舞台横の特等席で何度も観ることができるのはラッキー。20、30ポンドで数メートルの距離からネト子ちゃんやガランチャを凝視できて幸せったらないです。
一番楽しみだったのがロミオ役のラトヴィア人のエリーナ・ガランチャで、2007年7月のコジ・ファン・トゥッテ でROHデビューした時は期待にたがわぬ素晴らしさだったものの、主役の一人に過ぎなかったし普通の女性役だったので、いつかできればズボン役の主役で観たいと思ってたんです。
だから今回のロミオには絶大な期待が掛かっていたわけですが、期待通りの凛々しさで、下半身の意外に太さにはがっかりしたものの、その欠点を補っても余りある水もしたたる美青年ぶりには見惚れましたわん
やっぱりロミオはビジュアル面も大切でしょ。
歌も芝居もきりっと端正で、何度観ても安定して素晴らしく、すごい美人でメチャンコ素敵。男性役でも女性役でもいいから又ロンドンに来て下さいね。
(一回だけ代役だった中村恵理さんについては→こちら
)
去年の秋に出産して太ってしまったネト子ちゃん、折角の美貌が台無しですが、声は絶好調。この役は3月7日に代役だった中村恵理さんのほうが合ってるんじゃないかと思うくらいですが、ネト子ちゃんは細かいところは気にせずに個性と声量と声自体の魅力でさすが大スターの押しと貫禄で迫力充分。
ガランチャとは絵的にも声的にもバランスの取れた美しいカップルでしたが、3月5日は特にパワー満開の歌いっぷりでガランチャを凌ぐ勢いだったと思います。その直後にスタミナ不足を理由に降りてしまったのは、あの日に張り切りすぎたからではないかしら?
今月末からまたロンドンに戻ってくる前にウィーンでルチアを歌うそうですが、ちゃんと回復して戻って来て下さいね。できればもう少しほっそりして頂けるとガランチャとの美しいカップルぶりも更に冴える筈。
ほら、ちょっと前まではこんなにすらっとしてたんですよ、ってこんな写真載せたらイヤミかしらね?でも段々太丸ネト子を見慣れるのも嫌ですから、たまにはかつての美しい姿を皆で拝みましょう。2006年10月のバービカンでのリサイタルの写真です。
その他
主役女性二人が良ければ他はどうでも良いオペラなのですが、本当にどうってことのない男性陣でした。
ジュリエットが嫌々結婚させるティボルト役のDario Shmunckは、2006年9月のバービカンでのコンサート形式のアレヴィー作曲ユダヤ女 で聴いたことがあるのですが、なよなよだったその時に比べたら低音はしっかりしてなかなか良くなったじゃないのと思ったものの、肝心な高音が不安定。テノールは高い音がうまく出てなんぼだし、二枚目役が多いのに寸足らずの人が多いテノール界でもひときわ目立つこの短身では、高音がすかっと出るようにならないと苦しい立場なんじゃないですかねえ。
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カーテンコールの写真は、3月2日の初日の写真はすでにその日にアップしましたので(→こちら )、今日は3月5日の写真を載せておきます。
3月30日からまた数回同じ歌手陣でやってくれますので、お楽しみに。私自身はとても楽しみ。舞台袖の良い席で何度か観るれますからね。






