ROHのLa Cenerentolaに2回行きました。


大好きな爽やかな好青年のトビー君が出るので待ちきれず、12月14日のドレスリハーサルと12月17日の初日にすっ飛んで行きましたよぉ。1月9日の最終日にまた行きますが、とりあえずここまでの感想を書いておきます。


Composer Gioachino Rossini
Director Moshe Leiser  Patrice Caurier
Set Designs Christian Fenouillat
Costume Designs Agostino Cavalca
Conductor Evelino Pidò

Angelina (シンデレラ)Magdalena Kožená
Don Ramiro (王子様) Toby Spence
Dandini (王子の召使) Stéphane Degout
Don Magnifico (意地悪な継父)Alessandro Corbelli
Clorinda (意地悪姉妹) Elena Xanthoudakis
Tisbe (意地悪姉妹) Leah-Marian Jones
Alidoro (王子の家庭教師) Lorenzo Regazzo


カメラまずはカーテンコールの写真ですが、クリックで拡大します。


リハーサルはアンフィシアターの上の方でしたが(10ポンド)、初日は舞台袖の至近距離(48ポンド)だったのですごくよく見えて大満足。何度も観てるので字幕も一切観ず、演技をじっくり楽しみました。


  

                              きゃーっ、トビ~~~、素敵~! コジェナも綺麗~!

  

この1950年代に読み替えたカラフルですっきりした好プロダクションは2000年暮れにスタートして、2001年3月、2003年3月に続きこれが3回目のリバイバル。


ロッシーニでは一番人気の「セヴィリアの理髪師」に比べるとこのチェネレントラは、強烈なキャラクター(フィガロやロジーナ)やお馴染アリアが欠けているいるばかりでなく、全体の構成にも無駄があり、オペラとしての出来は劣りますが、ころころと声を転がすコロラチューラ部分も多くて歌手にとってはなかなか難しいような気もします。


クリップ クリップ クリップ

基本的にはシンデレラなのですが、若干ちがうので、内容についてご存知ない方はまずこちらをどうぞ。

(2年前にノリッチでグラインドボーンのドサ回り公演 で観たときの記事の一部です)


17世紀フランスの民話作家シャルル・ペローが民話を元に作ったストーリーが有名ですが、同じ題材の民話は世界中に300以上もあるんそうです。
一番お馴染みなのはディズニー映画の設定でしょうが、ロッシーニの1817年初演のこのオペラは少しちがっていて、魔術という要素が全く出てきません。魔法使いのおばあさんがドレスも作ってくれないし、かぼちゃとネズミが馬車に早変わりもしなくて、なんだか実際にありそうな妙に現実的な花嫁探し物語なのです。

魔法使いの代りに登場するのは王子様の家庭教師で、花嫁選び舞踏会を前に浮浪者の扮装であちこちの家を訪ねて、恵まれない人に対する候補者令嬢たちの反応をみるわけです。それで二人の継姉妹は乞食を追い出そうとするのですが、優しい言葉と食べ物を恵んであげたアンジェリーナ(シンデレラの名前)は、一次試験をパス。
それだけではまだ不十分で、同じような二次選考があり、今度はここに良い候補者がいるからという家庭教師の推薦で王子様自ら招待状を届けにくるのですが、実は王子様と侍従が役柄とりかえっこをしてて、本物の王子様は侍従に変装、偽者の王子様が侍従です。ここでアンジェリーナと侍従(実は王子様)が恋に落ちるわけです。
この男爵家には娘が三人いる筈だと言われても、一人は死んでしまったと継母ならぬ継父が主張し、女中の身分にされてしまったアンジェリーナは舞踏会に連れていってもらえません。シクシク泣いてるときに家庭教師が現われて正体をさらし、お城にレッツゴー!

舞踏会で偽の王子様から結婚を申し込まれると、私は他に好きな人がいるからと断り、その愛している偽侍従がじゃあ僕と結婚してと言うと、すぐにOKはせず「本当の私を見てから判断して。ブレスレットの片方を置いていくから、これを手がかりに私を探してね」と言い残して、12時前かどうかはわかりませんが、さっさと去って行きます。

この段階では謎の美女が誰か知っているのは家庭教師だけという設定(矛盾しますが、突っ込むのはやめましょう)。彼の細工で馬車が彼女の家の前で故障して、一同が家に助けを求めて入って来て、変装をやめた王子様とアンジェリーナは再会し、ブレスレットも確認してめでたく結婚が決まり。

アンジェリーナの財産を勝手に使ってしまうは女中代わりにこき使うはとひどい仕打ちをした継母と姉妹たちは王子様に対しても無礼な態度だったので怒った王子様は一家を罰っしようとしたのですが、許してあげてと願うアンジェリーナ。美しいだけで気に入られるディズニー版とちがい、ここでは外見には一切触れずあくまで心根の優しさが認められるわけで、道徳的にもフェアなお話でしょう?
クリップ クリップ クリップ 


  

舞台と衣装は写真で見て頂くとして、パフォーマンスはどうだったでしょうか?(トビーに目が眩みっぱなしで冷静に判断できませんが)


嗚呼トビー君のリリカルな美声ドキドキ 声だけではなくて、ハンサムなトビー君はほんとうに王子様役がぴったり。日本名を「民野飛男」というくらいだから「魔笛」のタミーノも最高だったし、もう滅茶苦茶可愛いったらないの。コジェナより背も高くて(上げ底靴?)、こんな美男美女のカップルはルックスは劣後するオペラじゃ滅多にお目に掛かれるものではありません。


この役ではフロレスにもひけをとってませんよ。って思うのは私の惚れた弱みかしら? でも、リハーサルはすごくよかったのに本番では1回出だしを間違えたし2、3度声を高らかに張り上げるところでガス欠になってしまったときは、私ですら、「うーん、やっぱりフロレスの粋に達するのは一生無理かも・・・」と実は思ったりもしましたが(当たり前だろ~、って声が飛んできそう)。


でも私はトビー君がの声の方が好きだし、顔も好みなんだもーん恋の矢


昔から応援しているし英国人だからという身内感覚を別にしても、この役のトビーは素晴らしいので、これで世界中のオペラハウスで頑張って欲しいです。お母さん(私のこと)、付いてっちゃおうかしらねえ。



一年前のバービカンのリサイタル でもコジェナの美貌と実力は充分わかりましたが、今回はもっと綺麗だったので見惚れちゃいました。


チェネレントラはもうちょっと庶民的でおきゃんなコメディキャラのほうが向いてるので、彼女のクラシックな正統派美貌が最適ではないけど、でも美人は何をやっても絵になるし、痛々しいほどまじめに一生懸命おちゃらけ芝居してくれました。


優しい声だけど特徴がないのが彼女が損してる点かもしれないのですが、技術的にはすごいことがこれでよくわかりました。バルトリのような弾力はないにしても、丁寧で正確なコロラチューラは立派。

これまでこのプロダクションではソニア・ガナッシ、ソフィー・コッホ、ヴェッセリーナ・カサロヴァに継いで4人目ですが、実力歌手ばかりの中でも私はこのコジェナが一番好き。客席のサイモン・ラトルも嬉しそうでしたよ。


でも、次はイメージ通りにしっとりした悲劇のヒロインやって下さいね。ウェルテルのシャーロットなんかぴったりだろうし、よくやってたフィガロの結婚のケルビーノの進化系とも言える薔薇の騎士のオクタヴィアンも素敵でしょうねえ。



継父役のコルベッリの役者ぶりにはあらためて感心。


コメディ・バリトンで長年大活躍している彼はROHでは「連隊の娘」「ドン・パスクァーレ」「イタリアのトルコ人」とそれそれ良い味出してましたが、芝居面も含めると今回がベストとも言える程の滑稽さで、滑らかで心地よい歌声でした。



意地悪お姉さん二人もとてもよかったです。美人だし、歌も上手。赤いドレスの妹はこのプロダクション始まって以来ずっと同じ歌手なのですが、グラマラスな美人が三枚目役で頑張ってるのは嬉しいです。この役は他の人では見たくないと思うほど。


紫ドレスのお姉さんは張りのある美声で、ちゃんとした役で是非聴いてみたい人です。


家庭教師は、上手だけど、このバリトンしょっちゅう出るから飽きました。これだけ上手いのなら、他のオペラハウスでも出番があるでしょうに。

上手だった歌手たちの中で一人足を引っ張ったのが偽王子。

この役はうんとふざけてやって欲しいのに(バルトリと映像で共演しているコルベッリみたいに)、この人はまじめ過ぎ。リハーサルでは歌はまあまあだったのに、初日は不調だったのは可哀相だったけど。でもこの役は今までも大した人は出てないので、彼はましな方。


オケは、こないだのパルジファルに比べたらそりゃ下手だし、伴奏と歌が合わないところも何箇所かあったけど、ちがう面でロッシーニは難しいんだから、まあ大目に見ましょう。



年明けの最終日にまた行くので、その後で今までの比較などもしてみたいと思ってます。 トビー君、病欠しちゃあ駄目だよ。去年のセヴィリアの理髪師のとき体調崩してがっかりさせられたのは忘れないからね むかっ


         クリスマスツリー 人気ブログランキング