テレビでマクベスをやっていたので見た。
あっ、これって何年前かにヴェローナで見たのと同じ演出だと気付いた。
その時もヌッチだったがテレビのもやはり素晴らしかった。
女性は相変わらず物はあるけど肝心な所で開く。
でもきっと素晴らしいってみんな言うんだろうな。
ヌッチとの差は天と地の様に違うのに。
つまり、知っている者と知らない者・・・
こういうのを見ると昔を思い出す。
初めてオペラが刺激的だと思ったのがテレビで見た「カヴァレリア・ルスティカーナ」。
ドミンゴが「道化師」と両方に出ていた日本公演だった。
まだピアノ科の学生だったがこの時から熱狂的なオペラファンになり、
自分も歌にのめりこんでいった。
だが果たしてちゃんと歌を聴いていただろうか?
恥ずかしいが自分でも少し疑問だ。
ドミンゴよりメゾの演技に感激していたのではないだろうか?
そう、サントゥッツァの激しい悲しみの演技に心を動かされていた。
ああいう風に歌ってみたい、というより、
ああいう風に歌って演技したい。
今見ると確かに迫力のある演技だが、発声の酷さに驚きをかくせない。
舞台をなまで見たK氏(旦那です)によれば、サントゥッツァの声はギャアギャア聞こえたが、
ドミンゴは我関せずでメソード通りに歌っていたそうだ。
どちらが正しいかは30年以上?もたって、たとえバリトンに変わったとはいえどちらが現場にいるかが答えだろう。
だから何が正しいかは断然、発声なのだ。
でもその術を知らない人にはわかる訳がない。
もっている物やパワーに惑わされてしまうから。
我々プロにとってはそういう聴衆の無知は恐ろしい事だが致し方ない。
別に音楽界を背負ってる訳じゃないしね(笑)