ホモと見るネット配信者紹介① 破戒僧一休【エピソード・ゼロ】 | ホモと学ぶゲーム/漫画/音楽/アニメ

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破戒僧一休、完結編です。

・考察 破戒僧一休とは何だったのか

今回の記事は、何のソースもない私の妄想だと受けとられてもしょうがない内容であるが、私なりに一休とは何だったのか考えてみたものである。それでも構わないという方のみ読み進めていただきたい。

あくまで私個人のプロファイリングではあるが、一休のキャラクターを形作る物、とりわけ謎のチャレンジ精神、正義感の根底にある物について考えてみると、それは学歴コンプレックス、高すぎたプライド、そして年々乖離して行く理想と現実のギャップへの焦り、苛立ちと言った、意外かもしれないが負の要因によるものだったのではないかと考える。誤解を生まないよう言っておくが、負の感情がモチベーションであることを私は悪いこととは考えておらず、むしろ夢や希望と言った耳障りのいい正の感情よりよほど強い動機付けになることが多いため、ある意味正常なことだと考えている。しかし、問題は一休の場合は負の感情を原動力として、目の前の問題に立ち向かうのではなく、現実逃避の方向へとエネルギーを費やしてしまったことではないだろうか。

まず、一休の中学・高校での学生生活を想像してみる。配信を見ていてわかるように、ほどよく快活で頭の回転も良くメガネも似合う一休は、いわゆる秀才タイプの学生であり、クラスメイトから勉強を教えて欲しいと頼まれるようなキャラクターだったのではないだろうか。成績が良い事、勉強が出来ること、それが彼のアイデンティティだったのであろう、周りからは当然良い大学へ入るものと思われており、彼もそれを疑わなかった。

しかし残念ながら受験に失敗し、第一希望の大学には入学出来ず、滑り止めで受けた大学へ、または浪人の末に不本意な進路へ進まざるを得なかったのではないだろうか。もしかするとここで医学部を受験したのかもしれない。周りからの「まさかあの一休が・・・」といった声も一休からすると憐れみか、ともすると嘲笑にすら聞こえてしまったのかもしれない。学業をアイデンティティとする一休のプライドに傷が付くのは避けられなかった。

大学へ入学してからも「俺の居場所はこんなとこじゃない、俺ならもっと良い大学に入れる」そういった想いが燻り続け、結局現状への不満を解消することが出来ずに中退したのだろう。再受験に集中して、当初の希望大学に合格してやる、そんな強い意志を持って中退した一休、しかし大きく燃える炎ほど燃え尽きるのも早い。長期間モチベーションを維持するのは困難であり、大学を辞めて有り余るほどの時間が出来た一休は「明日があるさ」とやるべき事を先延ばしにする事を覚えてしまう。

一方、急に大学を辞めたと思ったら何をするでもなくゴロゴロと無意味な日々を過ごす息子を見ていた母親は、大学行かないならバイトでもして金を家に入れな!と言うのは十分に考えられるであろう。または予備校に通う為の金を自分で稼ぐ為であったかもしれないが、何にしても一休はバイトに精を出す事となる。

通常であれば、バイトは程々に流して必要な金を稼ぎ、家に帰ってから勉強に専念するのが好ましいのだが、責任感が強く目の前の仕事に手を抜けない一休のこと、バイトにも全力で取り組んだに違いない。更に集中力が高い人間のデメリットである、複数の事を平行して進めることが出来ない点も考慮すると、帰宅後に自宅で十分な勉強もできていなかったのではないだろうか。

これではマズいと思った一休の次の思考は容易に想像できる。「じゃあ仕事内容がそのまま勉強へ繋がるようなバイトをすれば良いじゃん」、そう、塾講師のバイトである。確かにほかのバイトに比べれば、受験に活かせるバイトであっただろう。また他人に教えるという事は自分の理解をより深める上でも非常に有意なため、役に立つ事もあったかもしれない。しかし、ダメなのである、塾講師のバイトだけやってりゃ受かるようなそんな簡単な話ではないのだ、自分自身の受験勉強もやはり必要なのだ。更に不運なことに、バイトやってるだけで受験勉強がんばった気になってくるのだ、家に帰って勉強など尚更やる気にならない、今日はバイト頑張ったから良いだろ、そんな言い訳が言えてしまうのが塾講師のバイトなのだ。

そうして先送りにしながら数年の月日が経つ、今年はバイトが忙しかったから、まだ万全の体制が整ってないから、来年から頑張ればいいから、そうやって塾講師のバイトをしながら1年、2年と時間が過ぎて行く。当初のモチベーションは時間とともに風化して行く、心の何処かで、今更受験してもな、とそんな気持ちも生まれて来ていたかもしれない。そうして2010年、ネット配信の世界に初めて足を踏み入れることになる。

初めてのネット配信はそれはもう楽しかっただろう。当時はリスナーも多く、また一休も慣れない配信を何とかうまくやって行こうと夢中で、少なくとも配信中はリアルの状況を忘れることが出来た。そうして数年の間、受験から目を逸らしてネットの世界に夢中になっていた一休であったが、もうとても大学生とは呼べないような年齢に差し掛かり、背後から忍び寄る言い様のない閉塞感のような物を薄々感じていただろう。更にその辺りの年になると、同級生達は大学を卒業して社会人になってゆく、ネットの世界でもコヒさん、池信と言った大学生配信者が卒業を間近にする、大学卒業して社会人になったリスナーが自分の配信に来るようになる、フリーターであることを専用スレでバカにされ始める。一休の心に影が差すまでそうかからなかっただろう。

今更受験しても、という気持ちも強くなっていただろう。しかし就職するにしてもろくに学歴もないフリーターが所謂「いいとこ」に就職できるはずもないが、プライドの高い一休が「フリーターでも雇ってくれる会社」などで我慢するはずがない、なぜなら「自分はそんな場所で収まる器ではない」そう信じているから。

そんな二律背反を抱えた彼の焦燥感や苛立ちの矛先が、配信者コミュニティを私物化したラムへ、コヒさんの個人情報を晒したあずもなへ、コヒさんを追い込んだかおりんへ、出口を求めて向かっていったのであろう。ハンターライセンスの件も医療通訳士の件もそう、学歴が通用しないハンター職、賢そうで今後ニーズも増える医療通訳であれば自分が勝ち組なのか負け組なのか曖昧にできる。少なくとも正社員の下位互換と考えられる事の多い派遣社員、学のない者が多いイメージのある単純作業など、明確に負け組みのイメージを伴う可能性がある職は、一休のプライドが許さない。加えて方向に関わらずチャレンジしている間は自分の現状を忘れていられる、だから必要以上に熱く、何事にも全力投球で取り組むしかなかったのだ。

ただ惜しむらくは、チャレンジすること自体が目的となっていたからか、もしくは単純に本人に先見性・持続性が足りなかったからか、夢中で取り組んだ全てが未来に繋がることなく途絶えてしまっていることだ。一言で言えは飽きやすく移り気なせいで、せっかくのチャレンジも中途半端な結果にしか繋がっていないのだ。ハンターはライセンスを取った時点で、医療通訳はスクールを卒業した時点でチャレンジは終了、チャレンジ自体が目的になっていたせいで、その先に進む事はなかった。

ここで一休の人生に転機が訪れる、そう、医学部受験だ。医学部受験は一休に取って極めて重要なコアな部分であり、これまで童貞だのハゲだの無職だのスレで言われても全く心に響くことはなかったし、なんなら自虐ネタとして自ら口にする事もあった。しかし学歴の話だけはそうではなかった、医大目指しただけで実質医者、そういうスレのバッシングの一つ一つが心にクリティカルヒットしてしまうのだ、なぜならそれが一休のアイデンティティに深く関係することであったから。学歴・医学部受験のことだけは笑って誤魔化すことなど出来ないのだ。

一休は三十歳を超えて、ようやく自分にはもう残された時間などない事を知る。医学部を‘目指す’こと自体が、もはや許されない年齢に差し掛かっており、だから最後のチャレンジを決心したのだ。しかしどうにも一休の様子がおかしい、これまでのハンター試験や医療通訳スクールの時のような情熱がなく、さらにネットの仲間たちを遮断して、自分の殻の奥底に隠れがちになってしまう。私たちの知ってる一休らしからぬ様子なのである。

それはきっと医学部受験が一休にとって最も重要な事だからであったのではないかと推察する。大事だから、失敗できない。失敗を恐れずチャレンジできない。でも自分の学力で受かるはずないのはもう気付いてしまっている、三十超えのおっさんが一年間勉強した所で超えられるような壁ではない。そんなプレッシャーと焦燥感に前から後ろから挟まれて一休の足が止まる。センター試験の力試し?予備校の模試?そんな事をしたら見たくない現実が見えてしまう、スレで成績のことを馬鹿にされるのも絶対に耐え切れない、だからバイトが忙しい、金がない、と逃げてしまうのだ。受験勉強に正面から向き合うことも出来ず、ネットサーフィンに時間を費やしてしまうのだ。

医学部受験が本当に大事だからこそ、失敗を恐れて前に進めない。しかし、このまま受験勉強から逃げてるだけではいけないことも分かってる。だから逃げ場を無くそうと必死になった、2ちゃん断ち、スカイプ断ち、ツイッター断ち、ネット断ち・・・逃げ場が無くなれば、背水の陣に身を置けば、きっと前に歩けると信じていたのであった。


ここから先は、一休のみが知ることである。まじめに勉強に取り組んだのか、それでも取り組めなかったのか、おそらく後者であろうと予想するが、いずれにしても精神的に負担の大きい半年間を過ごしてきたのだろう。模試やセンターの結果は結局公表されることはなく、スレでは「そもそも受けてない」「勉強していないから結果を見せられない」等言われていたが、勉強した/してないに関わらず、一休のコアである成績のことで馬鹿にされるのが我慢出来ないから公表しなかったのだろう。


結果はご存知の通りダメだったが、どれくらい頑張ったか、どれくらい点が取れたかも我々には分かっていない。いつもハゲや童貞や高地⚫️⚫️を平気でネタにしていた本人からも「恥をかきたくない」という言葉が出てくるあたり、受験だけはネタにすることができない大事なことであったと窺い知れる。一番大事だからこそ臆病になり実力を十分に発揮できず失敗する、よくある話ではあるがこんな人間臭い彼をどうして非難できようか。彼を非難して良いのは、これまで彼が正義感を振りかざして叩いてきた人達だけである。今現在でもコヒさんスレで一休を馬鹿にした書き込みが時々見受けられるが、それを書いている方は今一度自分に一休を叩く資格があるか考えて見てほしい。資格があると思うのであれば、今まで好き勝手やってきた一休の自業自得なので、もう何も言うことはないのであるが・・・



こうして一休の半生を振り返った最終回、一休をこれまで以上に身近に、生々しく感じることができたのではないだろうか。私としては後ろを振り返らず前だけを見て、目に映るものすべてを壊し尽くす‘破壊’僧一休が大好きだったのだ、いつか受験のことすら笑い飛ばせる一皮向けた男になって配信界に舞い戻ることを期待してやまない。
[完]