こんにちは、不動産芸人のぺんとはうす・世良です
今回は、8月8日の毎日新聞に掲載されたニュースについて取り扱ってみます。
『賃貸住宅の仲介手数料は原則0.5ヶ月分 手数料の一部返還認める』
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190808-00000052-mai-soci
すっごい判決が出てしまった
リバブル~~~
まだまだ地方裁判所の判決なんですが、これが世論に影響を及ぼすと嫌ですね
さて、このニュースについて、簡単に説明すると、
賃貸住宅に入居する際に、賃料の一ヶ月分の仲介手数料を支払った男性がいました。
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その後、その男性は、賃貸住宅の仲介手数料の原則は0.5ヶ月分だということを知りました。
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そんなこと説明されていない!知らなかった!ということで、裁判を起こしました。
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裁判所は、仲介手数料の原則は0.5ヶ月分だということの説明を怠ったとして、その男性が過払いした分の仲介手数料を返還することを命じました。
というようなニュースになります。
「え、私も契約のときに賃料の1ヶ月分の仲介手数料払ったんですけど!原則は0.5ヶ月分だなんて知らなかったんですけど!払いすぎた分を返して欲しい!」っていう方も多いと思うので、この件についてゆっくりと説明していきたいと思います。
先に、世良の結論を申し上げます。
賃貸住宅の仲介手数料が原則0.5ヶ月分と言い切るのは、語弊があると思います。
慣習も含めて考えれば、原則は一ヶ月分です。
これは、世良は言い切りたいと思います。
ちなみに世良は、仲介手数料についてこんなブログも書いてますのでよかったらお読みください
『不動産芸人が、仲介手数料無料の不動産会社をおすすめしない理由』
https://ameblo.jp/penthouse-sera/entry-12449062254.html
『不動産芸人が教える、不動産をお得に契約する方法』
https://ameblo.jp/penthouse-sera/entry-12492717162.html
さて、今回のブログですが、普段はパッパラパーな世良でも、大事な問題なのでしっかりと書きたいと思います。
あんまり真剣な文章を読みたくないという方は、文字の色が変わっている部分は読み飛ばしちゃってください。
そもそも仲介手数料の額って誰が決めているの?っていう話なんですが、法律にはこのように明文化されています。
宅地建物取引業法 第四十六条
1 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。
2 宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。
3 国土交通大臣は、第一項の報酬の額を定めたときは、これを告示しなければならない。
どうやら、国土交通大臣が仲介手数料の額を決めているようですね。
じゃあ国土交通大臣が定める額っていくらなの?その告示って何なの?っていう話になりますが、告示はこちらです。
今回の記事は、賃貸の仲介手数料についてなので、賃貸についてのみ説明します。
宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額
(昭和四十五年十月二十三日建設省告示第千五百五十二号)
第四 貸借の媒介に関する報酬の額
宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)の合計額は、当該宅地又は 建物の借賃(当該貸借に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該媒介が使用貸借に係るものである場合においては、当該宅地又は建物の通常の借賃をいう。以下同じ。)の一月分の一・〇八倍に相当 する金額以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たつて当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の一月分の〇・五四倍に相当する金額以内とする。
ややこしい文章なので簡単に説明すると、
賃貸の仲介手数料というのは、貸主借主どっちからもらっても大丈夫ですが、その合計額は、賃料の一ヶ月分の1.08倍(消費税)の額以内に収めなくてはいけません。
貸主から100%丸々もらってもいいし、借主から100%丸々もらってもいいですが、片方から50%以上をもらう場合は、承諾を得なければなりません。
そういうことを、この建設省告示では説明されています。
ただ、日本では、賃貸の仲介手数料は借主側のみが支払うのが慣習となっています。
そこで今回ニュースになった問題が発生しました。
借主が100%丸々支払うような、そんな承諾した覚えはないよ?っていう話です。
ここまではご理解頂けましたでしょうか?
ここからは、そのニュースになった問題についての、世良の意見を述べさせて頂きたいと思います。
承諾してないなんてことある・・・?
承諾しないと契約できなかったら、ほんまにその物件諦めた・・・?
10万円返して欲しいためだけに裁判まで起こす・・・?
(別にそれはええやろ!)
一般的に、賃貸借契約の締結前に、重要事項説明がなされます。
その重要事項に関する説明書に、賃貸の場合、「本契約にあたり、賃料の1.08ヶ月分の仲介手数料を、借主が支払うことを承諾します。」というような文面が必ずあるはずなんです。
その書面に、借主が署名捺印をしているはずなんです。
世良なんかは心配性なので、仲介手数料承諾書という書面を、重要事項説明書などとは別に作成して、署名捺印を頂きます。
これで、建設省告示に定められる、仲介手数料についての承諾が得られたとみなすのが普通だと思います。
今回のニュースについて、リバブルがどこまでしっかりとした文面で承諾を得ていたのかはわかりませんが、仲介手数料の承諾書も交わしていないし重要事項説明書にも仲介手数料の額の記載がない、となれば、ちょっと問題なのかもしれません。
ただそれでも、募集図面やネット掲載の情報を含めて、どこかに仲介手数料の額の記載はあるはずですので、それで説明が足りるとみなしても正直いいと思います。
昨今、手数料を割り引く業者は増えてはいますが、それでも慣習的には仲介手数料の額は賃料の一ヶ月分です。
それらを全て踏まえて考えれば、仲介手数料の額が賃料の一ヶ月分であることに借主の承諾があったとみなしていいと思います。
なので、「え、私も契約のときに賃料の1ヶ月分の仲介手数料払ったんですけど!原則は0.5ヶ月分だなんて知らなかったんですけど!払いすぎた分を返して欲しい!」って言うのは、やめた方がいいと思います。
これが世良の意見です!!
・・・という形でブログを締めくくろうと思ったのですが、今回のニュースをしっかりと読むと、まだまだ問題があります。
ここからはもっと更に専門的な話になるので、不動産業界以外の方は、ご理解頂けないかもしれません。
ニュース記事から文章を転載します。
「同社と男性との間で仲介が成立したのは、担当者が男性に契約締結日を連絡した10日だったと認定。この段階で同社は、男性から1カ月分の手数料を受け取る承諾を得ていなかったとし、消費税分も含めた0.5カ月分の11万8125円を男性に返還するよう同社に命じた。
」(8月8日付 毎日新聞ニュースより移記)
記事を読む限り、仲介業者との媒介契約の締結は、契約日を設定した時点という風に認識されているようです。
話がややこしくなるなぁ・・・
仲介の成立という言葉自体がイマイチ馴染みもなく、不動産業界人からすればそんな表現聞いたことないねん!というのが本音ですが、
契約締結日を連絡した時点で、仲介が成立するという根拠がまるでわからないのです。
地方裁判所の裁判長という法律のプロが出した判決に対して物申すのは非常に恐縮ではございますが、契約の締結日を連絡するという業務にそこまで大きな意味があるのでしょうか・・・?
このあたりは、世良は別に法律の専門家ではないので断言はできないのですが、不動産業界人としては、仲介の成立のタイミングは賃貸借契約の契約日ではないのかと思います。
これらを全て踏まえた上で、この判例がずっと残り続けて、賃貸業者の在り方が変わってしまうのはちょっとなぁ・・・と思っています。
仲介手数料の額よりも、もっと改めるべきは、書類作成費やら事務手数料やらの根拠のない諸費用だと思うんですが
仲介手数料に書類作成費は含まれるべきだと思うんですが
それらは別の話なのでまた今度
以上です。不動産業界のみなさん、大変かもしれませんが頑張りましょう
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