ニール・ヤング、まだまだバリバリの現役ロッカーをしてはりました。ちょいと前に新しい貢物(新作)を私の御前へと御運びになりましたが、一度は知らんぷりをしたゆえに今更という意固地に徹して見向きもせなんだわけです。個人的に申しますと彼とのわだかまりがまだ解けてはおらんのです。わだかまりって何やの? いやいやお恥ずかしい限りで、勿論私が勝手に思い込んでいる他愛もないことでございます。
それは何時ぞやボブ・ディランとニール・ヤングの対決なるものを、ご覧じろと言わんばかりに書き記したことがありました。詳細についてはそこはかとなく忘れてしまいましたが、何方のお人がお好きでっしゃろという問いに矢を射るが如く断然ニール・ヤングだと豪語しておりました。そんな折一人の男(ディラン信者)との出会いでもっていとも簡単に覆されてしまった事が発端となりました。そのディラン信者が生業としてたのが悪魔も欲する液体と、妖怪が懐に忍ばせた流行粉を巷にまき散らしているとのことでした。それでもって女性の顔を化かすだけでなく私の心までもまやかそうとしました。して、私めがまやかされたことは汗顔の至りであります。
時は流れあの液体や粉は化粧品と呼ばれるようになり、皮肉にも私が生業としている飾り棚(販売台)に乗せて女性の目を引くよう並べられているのです。彼と立場がどうであれ友好な関係であることは言うまでもなく、惜しむらくはコンプリートしつつあったニール・ヤングのCDを手放したことのみ痛悔の極みです。ただ幸いにもノーベル賞ものに値する何枚かを残していたのが救いでございました。この度に至っても異邦の言辞をいとも容易く扱う一人の女性に端を発し、人に感化されやすしといえばそれまで、ニール・ヤングを長く忽せにしながら、今日となってその償いをしようとはゆめゆめ思いもしなかったのであります。
私の中では白(実際には肌色に近い練色)と黒などと呼び、またの呼称を明と暗にしておりました。白明と呼ばれるものが『ハーヴェスト』、黒暗とされるのが『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』。精神的にもズタズタであった彼がやっとの思いで御作りになったのが『アフター~』でした。ちょうどこの時期と言えば、CSN&Yとして『デ・ジャヴ』で存在を示し、すぐあとには前述の『ハーヴェスト』で万雷の拍手をお浴びになりました。今回は闇と称される『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』を拝聴してみましょう。
私も久しぶりに針を落として・・・いやCDプレイヤーのプレイボタンを押してみますと、思いのほか明るいのです。なんだなんだと聴いているうち、緊張と喜びを押し隠した完璧な闇が潜んでいたのは確かであります。とはいうものの、次作『ハーヴェスト』と比べサウンドは重くトーンも暗いとなっただけで、詩の内容をよ~く見ますれば【愛】を綴りになられたラブ・ソングが大半を占めているではありませんか。
何のためらいもなく私の相好が崩れ出した3曲目<オンリー・ラヴ・キャン・ブレイク・ユア・ハート>、真勝手あやふやで申し訳ないが、何かの音楽番組のテーマ・ソングとして使われていたと記憶します。単純明快なメロディとリズムが、甘い夢を見るような時間(とき)を与えてくれはります。つづく4曲目は作品中最もハードな<サザンマン>、後の彼の代名詞となる轟音唸るファズ・ギターはここで完成されましたと申しておきましょう。これだけハードな曲調にも拘らずとても甘酸っぱい香りが漂うのは、ピアノがアクセントになっているからだと存じ上げます。私にとってこの感じのピアノは大いに好み、借りてきた猫のように「うんうん」と大人しく聴き惚れておるのです。お弾きになっているのはニール・ヤングなのかジャック・ニーチェ、それともニルス・ロフグレンなのでしょうか、実のところ私は未だ分からないでいるのです。
結びに人生を楽しんでいるかのような<アイ・ビリーブ・イン・ユー>を。この曲はリンダ・ロンシュタットやリタ・クーリッジを始め幾人かに歌い継がれているようです。キャッチーなメロディがあるわけでもなく、飛びぬけた演奏があるわけでもなく、ただそこは居心地のよさで皆々が参集されるのであります。悔恨の情を払拭すべく、彼の蒐集にまた精を出さねばと改心いたした次第です。
追伸 : 本文に登場された実際の方々へ。それ俺やんか! 何なん私が出てるねんな! と異議申し立てにつきましては大いに承ります上、貴意頂戴したく存じます。
-NO.618-
★今帰仁城のネコ★
沖縄は今帰仁城へ行ってきました。生憎台風1号の影響で天候はすぐれません。しかし曇り空というのは慣れない沖縄を快適にさせてもくれます。汗もかくことなく古の琉球王朝を、ゆるりとした時間を、そして門番なのでしょうか二匹のネコが出迎えてくれました。男の子と女の子でしょうか。私を見るなり清国の冊封師はたまた薩摩藩のお役人かと警戒したのもつかの間、この表情はようこそ琉球王朝へとお招きいただけたようです。