世の中には数え切れないくらいのクリスマス・ソングがあり、誰もが知っているもの、そうでないもの、何だっけこの曲、メロディは判るものの曲名が出てこないのが大半である。私のクリスマス・ソングといえば、あの燃えるような赤色と清らかなりける緑の色が合わり、ところどころに金だの銀だのと無数に光る星やその放物線のような軌跡、そして辺り万遍なく白く包む雪やサンタさんの襟元とお髭、すべてが縦横無尽に頭の中を支配する。中にはそうでないものもあるが、大抵の場合、クリスマス・ソングと訊いただけでそんなイメージが植えつけられてしまっているのだ。あの山下達郎の名曲「クリスマス・イブ」にしても、テレビCMで流れる画像は新幹線と若いカップルといったシーンだが、その背景には必ずといっていい、赤や緑に金や銀、そして白い世界が覆っている。
クリスマス・ソング、私はそれ自体がどうのこうのという問題でなく、クリスマス・アルバム(企画モノ)として大いに問題ありと考える師走なのです。クリスマス・ソングに名曲多くあれど、クリスマス・アルバムに名盤なしという定説は私に限ったことではないはず。さあさあ異議申し立てなる者はコメント頂戴したく候。
ビーチ・ボーイズ然り、カーペンターズ然り、シカゴ、F・シナトラ、A・ウィリアムス、B・クロスビー、ジャクソン5、松田聖子まで息つく暇もなく出てくる。特にジャズ畑においてはその倍以上といえるのでは。でもホント凄~いクリスマス・アルバムとなるとてんでない。
ちょっといいなと思えるのが、ジョーン・バエズの「ノエル」という煌びやかで静謐なクリスマス聖歌集と、マンハッタン・トランスファーでジョニー・マンデル編曲によるクリスマス・ソング集の美しすぎるハーモニーに心溶かされるくらいのもんだ。ただそれを飛び越えるアルバムがあった。前にも紹介した女性ベーシスト、ケイト・デイビスの『HOLIDAY』がそれ。前作のデビュー盤で私のハートを鷲掴みにした張本人だ。
先ずは<2000 Miles>。ロック・バンド、プリテンダーズの姉御クリッシー・ハインドの畢生の隠れたる名曲。何とも可愛らしいではないですか。ここではケイトのふくよかであり力強さはベースでなくヴォーカルにて輝きを増している。
ジャズのクリスマス・ナンバーの定番といえば<Santa Claus Is Coming To Town>でしょう。私の中ではビル・エヴァンスの演奏が一番好きで、彼女をしてみても遥か手の届くものには程遠く、残念。と思った隙にエヴァンスと対等に渡り合えるベーシストは彼女ではないかと脳裡に入り込んできたベースが聴ける。
<Little Drummer Boy>を聴いてすぐさまスティーヴ・ガッドお得意のドラミングが思い出された。彼はまさしくこの曲を何度も何度も叩き続けたに違いないと疑いの余地さえ与えない。この曲は誰が演っても恰好よく納まるジャズ・クリスマス・アルバムには必須のマスト・アイテムなのだ。ここではケイトのヴォーカルがドラムだけを背に、本来の貧しき少年がこの時ばかりと喜び勇んで太鼓叩く姿が切なく響き感動的。
<We Three Kings>、これでも私はベースマンなんだよ、いや、ベース・ウーマンなのよと男勝りに訴えかける痛快なナンバー。またフランク・レッサー作<What Are You Doing New Year's Eve>は、クリスマスというより「今年最後の日はいかが過ごされますか」といった大晦日にしてはドリーミーな作品。最後の<Man With The Bag>はチャーミーな小品で、自身のベースのみを伴奏にクリスマスの楽しさを最高のヴォーカルで〆ている。といった具合です。
-NO.607-
★星の回廊(木村崇人)★
あいちトリエンナーレで彼が作り出した星は、手と手、そして身近なものを使い光と影で織りなす無数の星たちだった。名付けて「星のこもれ陽プロジェクト」。名城公園と栄町会場でのお披露目となり、私のHN、ぺんたんぐる、星とは縁深いのだ。