美人薄命、美しさはまだこれからだったのに | 新・ぺんたno座右の銘盤withボクの新百景

新・ぺんたno座右の銘盤withボクの新百景

独断と超偏見による、勝手気ままでええ事しか書かん日記のようなもんです。
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某サイトの『ぺんたno座右の銘盤』、『続・ぺんたno座右の銘盤』の続編となります。

新・ぺんたno座右の銘盤withボクの新百景-radka toneff  あまり聞き慣れない名前ラドカ・トネフはノルウェーの伝説的美人歌手である。70年代半ばに人気を博した北欧ジャズ・シンガーで1982年、30歳の短き生涯を閉じた。事実上記録されたアルバムは3枚、故にこのアーカイブス的アルバム『バタフライ』は思いがけない贈り物であり、思いがけない一瞬が記録されている。

 現在同郷にスールヴァイグ・シュレッタイェルというノルウェーNO.1のジャズ・シンガーがいるが、紛れもなく彼女はラドカ・トネフを意識していた。というか少なくとも80年代以降の北欧における女性シンガーは、皆ラドカの背中を追っていたと認めざるを得ない。そう納得していただこう。それにはこの作品に耳を傾けて欲しいのである。

 さて過去のアルバム・ジャケットは目を疑るほどにセンスがなく、相当損な境遇に押し遣られていたに違いない。その点このジャケットの写真を見よ! 目に留まらぬほうがオカシイ。白と黒の織り成す無限の色彩美と影が、これから耳にされようとするラドカの歌をあたかも予測しているようだ。この作品は3つの音源から成り立っているが、素早く、手っ取り早くラドカのすべてを堪能されたいのなら、1980年10月1日オスロでのヨン・パルケ・トリオとの録音した冒頭の3曲で申し分ない。

 1曲目は何かとジャズ・シンガーに持て囃されているポール・サイモンによる楽曲の中から<イッツ・ビーン・ア・ロング・ロング・デイ>で、いかにも北欧らしく森閑としたイントロ、ポール・サイモンに引けをとらない不安定な歌い方に耳でなく想像する彼方の彼女に目を奪われてしまいそうになる。曲は水の滴るような<プリ・ドーン・イマジネイション>にいつの間にか変わっている。決して曲中の起伏はたいしてないようにも思えるが、彼女が醸しだす感情表現がしなやかな凹凸感としてメロディが現る。

 3曲目は僕の大好きなマイケル・フランクスの<アントニオの歌>だ。本家もどこか物哀しげな歌いっぷりだが、ラドカも負けじと物哀しさを倍増させてくる。バックもピアノのヨン・パルケを軸に彼女を熱く盛りあげ、鉄の意志を持った僕らのジャズ・ヴォーカルの概念を変えてしまったことを今になって思い起こさせてくれた。

 このちょっぴりアンニュイな歌い方やこの声質ってあのオチヨさんに似てはいないか? そう島倉千代子なんだよね。うむ、この高音のかすれ具合やか細さ、オチヨさんヴィブラート唱法だわ。それと11曲目の<ヒー・エイント・ヘヴィ、ヒーズ・マイ・ブラザー>は何とホリーズの名曲。この選曲などは彼女がロック歌手だった証しかもな。

-NO.573-


★山茂登(東京 岩本町)★

 蕎麦処 山茂登は秋葉原の賑わいからほんの少し奥まったところにある。狭い店内は昼ともなれば入れ替わり立ち代り席が空くことはない。僕のおすすめは蕎麦でなく“鍋焼きうどん”なのだ。決して蕎麦がどうこうというのでなく、それに勝るのが“鍋焼きうどん”なのである。店内も然り、お店の看板にはここのイメージ・キャラなのか“蛙”が。