やっぱり60年代っていうのはいいねぇ。? 昭和60年代って短かったよねなんて思わないでくださいよ。昭和60年代でチヤホヤされるのは希少価値ある日本円硬貨と21年ぶりに優勝した阪神タイガース記念品の数々くらいなものでしょうか。さて60年代というのはもちろん西暦でいう1960年代(昭和35年~44年)。我が国では高度経済成長が加速するなか学生運動の活発化や公害問題の深刻化、あわてて地球を脱し宇宙から我振り返れば「地球は青かった」だなんて、世は“無責任時代”とばかりに一般庶民にはといてい“お呼びでない”その名台詞ではあった。ただ現実は目眩いばかりのミニスカートと海を渡って入ってくる音楽にクラクラするばかりだ。
海の向こうではちょうどビートルズを始めとしたロック・イノベーションが興り、あらゆるミュージック・マテリアルが交じり合っては弾けた。ボサノヴァ・ブーム然り、ジャズ・ロックやぬらりひょんとしたジャズモドキも活性化を見せてくる。いったいこれはジャズなのか? イージー・リスニングか、はたまたソフト・ロックと呼ばれる類のものであろうか。その張本人カイ・ウィンディングは列記としたジャズ・トロンボニストである。彼の素晴らしさは枠に囚われず純粋に勝手気まま好きな音楽をただ演ったことだろう。
彼の60年代半ばというと少し、いや大きくジャズから逸脱した名盤を矢継ぎ早に発表していたころだ。特にこの『レイニー・デイ』という雨に因んだナンバーを集めた作品は、幻の名盤【MORE】と双璧を成す。ジャケットいっぱいに咲いた黒い傘に囲まれるように、トロンボーンを吹く黄色いレインコートを着た本人の何とも安直な仕上げがいかにも60年代臭くてよろしい。
この盤唯一のオリジナル<ウィ・フェル・イン・ラヴ・イン・ザ・レイン>は、流行のボッサ風味であるにもかかわらず大粒のペーソスが漂い、その睦合いがいい塩梅。雨の仕業ゆえのことか。ウエスタン風のギターのイントロで始まるまさかの<シェルブールの雨傘>は善し悪し平等に予想を遥か裏切られる、そのくすぐったさ、その快感は貴重かつ危険な香りがする。カイ・ウィンディング、ビル・ワトラス、トニー・スタッドの単調極まりない力強くも短い一吹き“パッ パッ パッ”と邁進するさまは微笑ましくも勇気百倍をくれよう。そしてアルバム全編に登場するザ・プリヴェイリング・ウィンズのコーラスは60年代という時空を矜持している。
-NO.567-
★アトリエ SAJI★
3人の作家から生み出されるオリジナルの ジュエリー、陶器、絵付けタイルを取り扱うお洒落なお店が谷中の一角に。このお店「アトリエ サジ」はもともと軽井沢にあり谷中店が第2号店となります。篠原由比子さんが作られる天然石やローマングラスで作られたアクセサリーとキャンドル、有田みろさんが作られるポタリー(絵付け陶器)。重谷和郎さんの作られる絵付けタイルなど、三人の作家のギャラリー兼ショップです。とくに私は絵付けタイルに魅せられました。