音楽史上もっとも思いがけないアイデアとは《デュエット》である。声には太い細い、高い低いとさまざまだが、それらが思いもよらぬ化学反応を示し稀なる産物を供する。またそれぞれの想いや感情が入り乱れ、それらが騒ぎたてるたびにゾクゾクとしてくるのだ。
僕にとって最大の《デュエット》は1976年にエルトン・ジョンとキキ・ディーとの間に生まれた「恋のデュエット(Don't Go Breaking My Heart)」となる。その彼女と17年ぶりにデュエットするはC・ポーターの底知れぬ愛を綴った<トゥルー・ラヴ>だ。前者はヒリヒリとしてくる躍動感に踊らされ、後者の物怖じしない落ち着き払った佇まいに卒倒しそうになってくる。
さてここで大英帝国の主よりSirの称号を授かったエルトンと相まみえた面子を紹介しておこう。どこを切っても格好いいに尽きるウーマック&ウーマックが88年に歌ったタイトでダンサンブルな<ティアドロップス>は、カントリー界の新星K・D・ラングと。つづくナンバーもまたカントリー界の女王〝ザ・ファースト・レディ・オブ・カントリー・ミュージック〟と呼ばれるタミー・ウィネットとの<ウーマンズ・ニーズ>は、近年(当時)エルトン作品では最上級のバラードでデュエットとはかのようにあるとプリミティヴな感覚に襲われる。
男性陣も負けては居れぬとニック・カーショウの<オールド・フレンド>はキャッチーなメロディが心地よく、ポール・ヤングとは1965年にリンデン・オールダムが書いた<恋のあやつり人形>で底抜けに可愛らしく歌う姿がより歌そのものをより可愛らしくさせている。
期待に期待した<恋のデュエット>はというと、ル・ポールというドラッグ・クイーン(ゲイ)とのハチャ滅茶なディスコ・ミュージックと化してしまった。されどあのキキ・ディーとの永遠のデュエットがある限りそれを超えることは僕自身許し難い事実となりそれはそれで困ったに違いない。もう一つ期待された<僕の瞳に小さな太陽>は意外な結末を迎える。これは実況録音で、まずは元ワム!のジョージ・マイケルがエルトン張りの美声で歌いだす。そして一番を終えジョージが「ではエルトンの登場です!」と紹介し、会場は一際大歓声の渦の中へと。二番はそのエルトンだ。やはり格が違うのかジョージでうっとりしたのも束の間、エルトンの一声、一瞬にして会場は固唾をのみ耳を傾ける。そうするしかないのだ。
追伸:その他参加ミュージシャンは元イーグルスのドン・ヘンリー、大御所リトル・リチャードにクリス・レア、ボニー・レイットとレナード・コーエン等など。しかもラストの<デュエット・フォー・ワン>においては、タイトル通りエルトン自身でデュエットしてるのだ。なかなか上出来のナンバーで、このアルバム自体、エルトンのベスト3に挙げても文句はあるまい。文句のある奴出て来いっ!
-NO.545-
【山海海岸・愛知県】
ここは南国であろうか・・・などと思わせる場所が名古屋から車を一時間も走らせるとある。知多半島の山海海岸だ。名のごとく海からほどなく急峻な山も迫っている。名古屋っ子はたいてい知多の海へ遊びに行くのだが、この山海海岸は穴場的存在で、割と空いているのでおすすめする。夏も過ぎれば人の気配すらなく、日長ぼ~っとしていたいところでもある。