男児ピアニスト諸君に告ぐ、最近いやに女流ピアニストの活躍が目立っていますが、そうと思われませんか。特に我が日本ではそれは顕著であって、私とて男の端くれ悪い気がする筈もなく笑顔が絶えない今日この頃です。海の向こうでは弾き語りを得意とする女性ヴォーカリストはたまた真っ当なピアニストがわんさかいらっしゃり、特にレイチェルZやリン・アリエールは男勝りのピアニズムを併せ持つピアノ弾き才女であるのだ。彼女たちはよく男心を知り尽くし急所もよくご存知なのです。リン・アリエールの『Live at the MONTREUX JAZZ FESTIVAL』は、それゆえ私はひとたまりもなく崩れてしまうのだ。
前半の5曲は私男にとってはつまらないものであり、雰囲気すら暗く空気も重くのしかかってくる。しかし残す3曲で僕の心は隅々に晴れ渡り、一点の澱みも残すことはない。その気まぐれと悪戯は次のようである。
<Estate>は彼女たちの必須アイテムだろうか、ことごとく男どもはこのラテン・ナンバーに滅法弱いのだ。この張り詰めた緊張感と無防備なまでの妖しさにしばし身動きができなくなる。リンは昂ぶる感情を抑え、徐徐に徐々に熱を帯びてくる。それは指から伝わるタッチの変化、あるいは音が形として存在するならばみるみる色めいてくるのが分かる。つづくリンのペンによるラテン・ナンバー<Calypso>だ。きっと僕らの腐敗しかけた細胞を瑞々しく蘇らせてくれようか。彼女も誰のためにこの曲を書いたのだろうかと期待半分気になってくる麗しき旋律。もちろん聴いているあなたへのためと皆は都合よく感じることだろう。それでよろしい。ラスト<An Affair To Remenber>は、これ以上音と音を分け刻むことができないくらいに一つひとつが光り輝いている。このコンサートの終わりを愛しむように、リンは女らしく今日を終えようとしている。私はハッと我に返り、リンはジャズ・ピアニストという前に一人の女性と気づき愛しさが倍増するのであった。何につけてもやはり女らしさは武器である。
-NO.544-
【大和川酒造】
喜多方といえばラーメン・・・ではなくお酒なのだ。その一つ大和川酒造さんの中へ。どこも酒蔵は薄暗いと決まっているが、その闇をあえてディスプレイ効果に生かしている。一瞬、ハッとさせられたのだった。