前回ジャケ買いで予期せぬお宝発見の話をしたが、今回はジャケ買いで予想もせぬ凡作を掴まされたことをお話しよう。瞬間、このジャケを見よ!雨格子の向こうには色とりどりの傘の花が咲いている。もう既にあなたにも繊細で傷つきやすく、感じやすい音の洪水が氾濫してきたのではないかと思うほどのジャケットである。
主人公マーティン・バーナー、名は悪くないが、重苦しい予感はある。風貌はインテリ坊やそのもので、酸いも甘いも噛み分けたとはお世辞にも言い難い。期待が急速に薄らいでゆくが、そこはチェコのピアノ・トリオだ。次なるは曲名を見ていゆこうか。
<Espresso>味わい深い珈琲に<Photo From The Family Album>一家団欒の風景,<Dave's Diary Dog>デイヴ君の徒然犬日誌と<Song>歌あるのみ、みんなそれらに期待が膨らむばかり、だが。耳をかたむけると硬質な音と変拍子が身体を蝕んでゆく。堪えきれない苦痛にさいなまれるなか、まだ微かな光明が差し込むのをまだかまだかと待っている私。今になって思うことは、アルバム・ジャケット、アーティスト名や出で立ちとか曲名、それら無数の要素によって好悪が一瞬にして決定されそれぞれの思いを抱かせて家路へと運ばせたのだ。こんな辛い思いで書き留めたのはマイルスの諸作以来だろうか。とは言ってもそれらマイルス4枚には愛すべきモノを知っての一筆だったのだが・・・。
話は少し逸れて雨ジャケでもう一枚、Chad Taylorの〝Circle Down〟のウインドウに映る雨だれにそそられてばかりいる毎日。買おうか買うまいか思案の為所である。ならばマーティン・バーナーのデビュー作『BEHIND THE CLOUDS』はインテリアとしても充分な資質がある、だから手元に、座右の銘盤として放せなくなる。喜べ、そうこうしているうちに見つけたし、バーナーのピアノは今<Behind The Clouds>的なタッチで雨の格子を演出してみせる。濃厚な珈琲の香りや過ぎし日の想い出、愛犬との戯れなどリアルに表現できたことは稀なる才と見ておこう。次作がとんでもなく楽しみになってきたぞ。
-NO.541-
【Cave 吉祥寺】
吉祥寺のカエル屋さん。所狭しと溢れんばかりのカエルGOODSの数々。HPで通販もやっているが、ここは直にお店へ行ってたくさんのカエルさんと暫し過ごそうでは。吉祥寺本町の中程にあります。といいつつ私もまだウインドショッピングしただけなんですが(笑)。