心ほぐれしとき彼の情熱にほだされる | 新・ぺんたno座右の銘盤withボクの新百景

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独断と超偏見による、勝手気ままでええ事しか書かん日記のようなもんです。
まあるい形してて、音が飛び出してくるモノへの愛情表現です。
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某サイトの『ぺんたno座右の銘盤』、『続・ぺんたno座右の銘盤』の続編となります。


新・ぺんたno座右の銘盤withボクの新百景-DIW jw
 ジャック・ウィルソンという男を知っているだろうか。60年代に一世を風靡したというより、コアなジャズ・ファンを創りあげた張本人が彼だ。前衛志向のオーネットやコルトレーンの曲を好んで取り上げたり、僕の中でも微妙な立ち位置を余儀なくされていた。今でも彼のベスト・パフォーマンスは、ベーシストのアイク・アイザックスでの客演した“アット・パイド・パイパー”(P312参照)だ。歯止めの利かないそのノリはコルトレーンの“インプレッションズ”さえも恋に陥れる副作用を生む。

 今になって思い出したが、私のブログに度々出てくるディスクユニオンも“DIW”なるレコード・レーベルを築き上げていたのをご存知でしょうか。澤野商会が登場するずっとずっと前のこと。“DIW”だからこそ生まれた作品がたくさんあり、まさしくこのジャック・ウィルソンの『イン・ニューヨーク』もその一枚である。陽の目をみた60年代にせよ決して目立った存在のジャックではなかったが、ジャズそのものが多様化し始めた70年代をもがき苦しみ、ジャズの再起を誓って新伝承派が立ちあがった80年代の日々を静かにやり過ごした男を再びその気にさせたのだ。そこが偉い。野球界でいう野村再生工場ならぬジャズ界の再生工場として楽しみなレーベルだった。

 これがジャックなのかと耳を疑る「ジス・ハート・オブ・マイン」は、この男してこのハート・ウォームな響きはいかに。人が丸くなったというのか生まれ変わってやろうという素直な気持ちが、当時57歳のジャックの選曲に表れたり音に仕込まれている気がする。つづく「ザット・サンデイ・ザット・サマー」は軽快なジェイムス・チリロのスインギーなギター・ワークが冴え渡っている。この憂き世でこんな楽しみを知ってしまってはどういたしましょうってな悦びが途絶えることのない4人の真摯な演奏が聴ける。極めつけはマーサー・エリントン作のスローな「ムーン・ミスト」だ。この曲を聴くのに目を凝らし、耳を澄ませ、神経をとぎすませることなどない。心ほぐれしとき、彼の新たな情熱にほだされるしかないのだ。ここまでがアルバムの1曲目から3曲目、私的ゴールデン・コースとなる。最後は彼に敬意を表してオリジナルの「サンディー・マイ・ラヴ」で締めよう。オリジナルなんぞ無縁の男が、こうしてバラッドでも書いてみるかと思った勇気に拍手拍手。おや、締めたハズなのにつづくボッサ風「ハウ・スーン」でまたまた引き寄せられる。いつの間にか僕はスピーカーのほんの前までにじり寄っていた。

 ふと音がいいと思ったらエンジニアはあのジム・アンダーソン氏と記してあるではないか。まだ健在なんだろうか。最近は滅多と聞かなくなった名前だ。

-NO.526-


【山本有三記念館】

 三鷹、吉祥寺に荻窪、国立だってそうだ、気の許せない街がつづくのが中央本線。案外知られてないのか・・・柔らかな日差しに包まれた山本有三記念館。いたるところの設えには古き良き時代のエッセンスが散りばめられている。ジブリともう一つはここへ寄ってみよう。