レイモン・ルフェーヴル、1929年11月20日フランス北部にあるカレーという港町で生まれる。いうまでもなく彼はイージー・リスニング界きっての紳士だった。馴染み深いところではあのポール・モーリアが同じ釜の飯を食ったほどの盟友。一方パーシー・フェイスとは犬猿の仲? まあ深くは語らず音楽上での私的戯言と受け流していただこうか。
私はイージー・リスニング界において誰が一番好きかと訊かれれば即パーシーとお答えしていたのは事実。しかしこのルフェーヴルとの再燃でその思いは一掃されたのだ。パーシーは何はともあれあの名曲《夏の日の恋》一曲にしてやられた。あの曲のお陰でパーシーは私の中にある王座の地位を手に入れ、凡作だろうが迷曲だろうが甘い評価を与えてしまった。ではこの二人の決定的違いをお聞かせしよう。まあ時代のズレは多少あるもののチョットの辛口はお許しくだされ。
相手方パーシー・フェイスの特徴は何と言ってもジャズ・フィーリングがムンムン、70年代から見せたビートを効かせるポップ寄りのサウンドも根底にはジャズが居座っていた。当方レイモン・ルフェーヴルはライト・クラシックと流行のポップスを我が物としてサウンド・コラージュ化を図る。相手方パーシー楽団は特質なイングリッシュ・ホーンやオーボエを多用し管楽中心の快活でキレ味鋭いサウンドが身の上。当方ルフェーヴルはピアノをアクセントに流麗な弦楽の導きによって甘美で哀愁感漂う日本人好みのサウンドだ。これはアメリカとフランスというお国柄がよく出た喩え。相手方パーシーはそれらの音を一斉にぶつけ合い迫力を増幅させ、当方ルフェーヴルはそれらを織物を紡ぐように一つ一つ丁寧細やかに織り交ぜてゆく。
このたび例のごとく紙ジャケ・シリーズで20枚復刻されることになった。私が真っ先に手にしたのは『哀愁のアダージョ』というNo.7にあたる作品で、ルフェーヴルの作品の原題はすべてNo.で表されている。ということで7作目のこの作品には「マッカーサー・パーク」や「あなたのように」、「悲しみの季節」、「ただひたすらに」と垂涎モノのナンバーがひしめいている。なかでも「あなたのように」のサビ部に入る瞬間の出来事が格好良すぎ。こんなサウンドの渦の中でプロポーズされたらどんな女性でも“はい”としか言いようがないほど。イージー・リスニングなんてとお考えの方には良薬として1日3回投与してみましょうよ。1週間もすればもう1枚新たなルフェーヴルを手にしていることでしょう。と一緒に幸せもね。
好敵手ポール・モーリア?彼には一世一代のヒット曲《シバの女王》で太刀打ちするのだ。2008年6月27日パリ郊外のセーヌポールで生涯を終えたレイモン・ルフェーヴル。もう一年になるのか。
-NO.519-
【SAKURAビル(京都文化博物館・別館)】
この重厚な建物は大正時代に銀行だったらしく、有形文化財として登録されているそうです。その建物のなかにオシャレなお店がいっぱい。僕の好きなTINTINの直営店もあります。外観も立派ですが館内の扉や床、この階段だってとっても雰囲気がいいです。