彼女の声に寄り添うのは最小限の音、そして五月の雨。 | 新・ぺんたno座右の銘盤withボクの新百景

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独断と超偏見による、勝手気ままでええ事しか書かん日記のようなもんです。
まあるい形してて、音が飛び出してくるモノへの愛情表現です。
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某サイトの『ぺんたno座右の銘盤』、『続・ぺんたno座右の銘盤』の続編となります。


新・ぺんたno座右の銘盤withボクの新百景-the little garden
 最近の女性ジャズ・ヴォーカル・シーンといえばノラ・ジョーンズやマデリン・ペルー、一昔前ならホリー・コールやダイアナ・クラークなどが思い浮かぶが、どう見てもジャズ・シンガーと呼ぶには程遠い人たちである。えい! どこがジャズ・ヴォーカルなんだとお嘆き多き方もいらっしゃるでしょう。そう、そうなんですよね。このブログのカテゴリもPOPSなのかJAZZ・VOCALなのか選択に困るのも事実。とはいえ下手なPOPSシンガーよりも人気、セールス、そして実力も上とくるから見捨てるわけにはいかないのが現実。しかもソングライティングにも長け、いいオリジナル曲を書くから頭が下がりっぱなしだ。

 という訳で今回お目見えするのがエリン・ボーディーという米中南部出身のカワイ子ちゃんなのだ。その存在を知らない方のほうが多かろう。実は5年ほど前にちゃんとしたMAXJAZZレーベルから《Don't Take Your Time》という作品でデビューしており、そのレーベルにはラッセル・マローンやエリック・リードなどの錚々たる面子がいたジャズ・レーベル。といってもそのデビュー・アルバムに目を通してもジャズらしいナンバーは数少なく、同レーベルでのセカンドに至ってはすべてがオリジナル曲で占められていたというから余程の自信があったのだろう。それだけでも俄然興味が沸いてくるというものだ。さらに驚くことに、もう既に彼女のための専属バンドが組まれていたのである。その名もエリン・ボーディー・バンドというから微笑ましい。そのバンドの格となるのが曲も提供しているピアノのアダム・マネス。またまた彼の書く曲が良過ぎてどれもこれもがシングル向きとくる。そしてサード・アルバム『The Little Garden』は、この時期僕の傍らに置いていつでも手の届くところに置くべき存在となった。リスクはコケティッシュでシルキーなヴォイスが耳から離れないから要注意のこと。

 この作品は軽快なピアノと快活な彼女の歌声で幕を開け、その「ニュー・イングランドの友達」はニュー・ポップの息吹を感じる曲だ。表題曲「リトル・ガーデン」ではひとつのクライマックスを迎える。カントリー風なイントロからイチ・ニ・サン・ハイと歌いだす感じはソフィー・セルマーニを思い起こさせてくれた。何を隠そう、そのソフィー・セルマーニに関していうと同じ作品を二度もブログアップした経緯もあるくらい、それくらい好きで、似ている。そうこうしているうちに僕の択ぶベスト・トラックが「シドニー、下りてきて」というナンバー。シンプルがゆえに徐々にクライマックスへと引き込んでいく作風はアダム・マネスの真骨頂なのだと気づく。最小限の音がただ彼女の声に寄り添うだけなのに、素敵だ。最後のほうにひっそりと佇む「コールド・ウォーター」は北欧の響きを併せもつ作品で、豊かな余韻に浸れる。それ以降はただ彼女の歌う世界に夢を託し、季節は冬から春へ、そして夏もじきやってくるそんな五月。五月になって初めての雨が。雨の匂いはもう夏を感じさせてくれる。彼女の歌を聴いているとそんな優しい気持ちになる。

-NO.516-


【花屋旅館・京都】

 四条高瀬川沿いに佇む花屋旅館、名前からしていい。玄関は細い細い路地に面した昭和初期の木造三階建てで、京都に来たらこんな宿でのんびりと片泊まりなんかするのもいい。何たって朝ご飯がいい。京野菜に京漬物をふんだんに使って女将自慢の料理が並ぶ。決して派手さはないが、すべてにしっかりとした力強さがある旅館だ。また「おかえりなさい」、「いってらっしゃい」の声を聞きたくて。