やっぱり音楽は情熱的でなきゃ | 新・ぺんたno座右の銘盤withボクの新百景

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某サイトの『ぺんたno座右の銘盤』、『続・ぺんたno座右の銘盤』の続編となります。


新・ぺんたno座右の銘盤withボクの新百景-El Sur
 “やっぱり音楽は情熱的でなきゃ”と思わせてくれたのがアレッサンドロ・グイスというイタリアン・ジャズ・ピアニストである。あまり聞きなれない名前だが、一昨年秋にデビュー・アルバム“タンゴ・エロティカ”を人知れず出していたのである。生来、日本人はラテン系音楽に滅法弱く(この場合、自分の理性すら忘れさせてしまうほどタジタジになること)、日本人の琴線に触れるメロディやそれに似通った音階が頻繁に現れる傾向があることも要因であろうか。今回は彼の二作目『タンゴ・エクスタシー』を。

 僕はタンゴ系ジャズとなるとすぐに浮かんでくるのが《ラスト・タンゴ・イン・パリ》で、ガトー・バルビエリのあの情熱的テナーとあのエロティックな映像が頭の中で交差してくる。最近ではエイドリアン・イアイエスを始め多くのアーティストがこぞってタンゴ作品を取り上げている。このグイス然り、ヨーロピアン・ジャズとして聴いているさなか突如としてタンゴ・ナンバーが一曲として現れたりもすると思わずハッとしてしまうものだ。それゆえ作品全体に変化やメリハリをつけるに絶好の材料となっている。しかしこのグイスはアルバム全体にわたりタンゴ一色で染め上げている。しかも前作(デビュー盤)に続いてのタンゴ・オンパレードとスゲェ~としか言いようのない出来。タンゴ・ジャズ・ナンバーとなると諸先輩の作品のイメージが強すぎて大変なんだろうと同情してしまうが、一曲目なんぞ節々にこりゃいいぞなんて思えるところもあって、長い目で見守ってやろうと思う。タンゴの名曲集ともいえる作品の冒頭にオリジナルを持ってくる度胸と自信にも期待が膨らむ。

 僕もみんなも大好きなアルゼンチン・タンゴの大作曲家アストル・ピアソラの「Vuelvo Al Sur (南に帰ろう)」がたまらなくいい。これはもはや日本でいうあのロマン歌謡の趣が漂っている。グイスもピアソラには尊敬の念を抱いているだろう、ひとつひとつの音を大事に弾いているのに好感が持てる。右手のシングル・トーンで哀愁の主旋律を弾き、微かに左手から遠慮気味に聴き取れる和音が切なさを倍増させている。たまらんね。

 そしてもう一曲のピアソラ・ナンバーはラストに配されている「Leonora's Love Thema (レオノラの愛のテーマ)」だ。これほどまでに静寂さをたたえながらも情熱的に響くのはピアソラ・メロディだけではない。グイスは間の取り方や音そのものの強弱緩急の使い分けが巧いピアニストなのだ。甘く切ないメロディが一本調子にならないのはそのせいなのだろう。この他にもタンゴの名曲とされる「カミニート」、「エル・チョクロ」、「ジーラ・ジーラ」や「黒い瞳」など原曲との対比も面白い。適度な緊張とリラックスを与え、聴くたびに吸い寄せられる魔性のピアニストに惚れ惚れする今日この頃です。

-NO.506-


【花桔梗】

 真っ白無垢な趣をみせる和菓子処・花桔梗は、シンプルな装いにつつまれ、味もシンプルこの上ない。だからかえって味わい深いのだ。おすすめは苺大福に似た《いちごもち》である。その名の通り餡は入っておらず、ぎゅうひといちごの繊細な甘さは徐々に情熱的な甘さに変わる。