ブラッド・メルドーも若手というにはもう失礼か。デビュー当初は腫れ物に触るかのごとくピリピリした【Art of Ttio】シリーズに歓喜の声をあげたものだった。そのシリーズ第4作がこれだ。味も素っ気もないジャケットとは裏腹に、CDプレイヤーのスタート・ボタンを押すなり高密度な内容にゾクゾクし始めている。これは1999年NYヴィレッジ・ヴァンガードでの実況録音盤であり、このトリオの真髄が堪能できる。誉めてしまうなら、かつてビル・エヴァンスがS・ラファロ、P・モチアンらと組んだあのトリオを彷彿とさせてくれる。
オープニングは馴染みの「オール・ザ・シングス・ユー・アー」、予想を上回る急速調での展開。昨今蕎麦屋でBGMにとジャズがもてはやされているが、こんな雰囲気の曲調ではと思うと大間違い。ゆったりと気持ちを落ち着かせ、ひたすら蕎麦が出てくるのを待つ。蕎麦が出てくるなり一気にすする。それを助長するが如く実に合っている。「アイル・ビー・シーイング・ユー」は取立て好きな曲ではなかったのだが、ここでの演奏を聴いてからは愛聴曲となってしまった。へえっ、こんないい曲だったとはと新しい発見に頬も緩む。ただし簡単に決めつけちゃいけない、特にスタンダード・ナンバーは演奏者によって解釈が違うため、出逢いの第一印象が悪くなるケースもあるからだ。ラスト曲「イグジット・ミュージック」は、かのレディオ・ヘッドの曲で、現代っ子らしい選曲だ。一昔前ならS・ワンダーやビートルズなんかは定番だったが、こういうことをやってくれるから聴く音楽も幅を広げることができようもの。ならばとレディオ・ヘッドのCDを借りてきたものの、私にはメルドーと同じような感性はなかったようだ。
-NO.469-
【江戸蕎麦 ほそ川】
おすすめは青ねぎ蕎麦に穴子の天ぷらだ。敷居は高くないので気楽に行けるお店です。店内での撮影は禁止されていますのでご注意を!