ATATAの待ちに待った過去最大規模のワンマンライブ。今年は1月からミニアルバム『JOY』発売と全箇所無料の全国ツアーを周り、ツアー後も精力的にライブ活動を続け、この約1週間前にはFLAKE RECORDS10周年企画とコラボで自身の主催企画を行なったばかりのタイミングで迎えたこの日は今までの活動の集大成とも言えるワンマンライブとなりました。
今までATATAが主催したライブで会場が大きかったのは1stアルバムのアナログ盤のレコ発の代官山UNITでしたが、あの時はゲスト多数でお祭りイベント的な要素もあったのでワンマンとしてはこのO-WESTが最大規模。また、今までワンマンライブは何度もやってはいたけれども毎回無料だった為、有料のワンマンライブはバンド史上初。
当日、天気予報は一日中雨の予報。でも昼過ぎにはなんと雨が止んで晴れ間まで見えてきました。過去にも何度も雨を止ませてきた晴れ男バンドの集大成らしいシチュエーション。
会場の外の物販スペースでは開場前の16時から物販がスタート。今回もワンマン限定の新マーチが登場したりということもあり物販は大行列で大盛況、次々と飛ぶように売れていきます。
事務所やレコードレーベルに所属していない、完全にメンバーだけで運営しているDIYバンドとは思えないレベルの物販のクオリティと量、そしてメンバーが社会人でIT系のメンバーもいるだけあってデータ管理された陳列や配置や会計システム。更にクレジット会計も可能という、メジャーバンドでもなかなか無い徹底ぶり。これをメンバー自ら物販ブースに立って自分達で行なっているのが彼らのスゴイところでもあります。
そして開場。フロアに入るとすぐにテーブルがありそこには彼らのホームであるライブハウス、新代田FEVERから差し入れられた大量のウエルカムテキーラが(笑)。ATATAの企画には欠かせない無料テキーラ。そしてフロア横に設置されたDJブースではATATAとは一心同体とも言えるWSZ80 a.k.a. LEF!!! CREW!!!が初っ端からガンガンに盛り上げてフロアの温度を上げていきます。パーティーは既に始まっていました。
ステージを見ると、後方の壁には新しいバックドロップが。
そしてステージ上、よく見ると鰯さんのキーボードの前の位置に大きなDJブースが。これは2011年の年末、FEVERで行われた初めての無料ワンマンの時のことを思い出します。あの時はワンマンと言いつつもゲストがいたのです。そのゲストに必要不可欠なものがDJブース。それを示唆するかのようにWSZ80さんが横浜のHIP HOPクルー、ZZ PRODUCTIONの面々の曲をスピンしていきます。
そして予想通り、ATATAのライブの前に始まったのは、彼らとは切っても切り離せない存在であるSTERUSSのライブ!!!
昔からのATATAファンは狂喜して盛り上がりましたが最近のファンの中にはSTERUSSとATATAの歴史をあまり知らない人も居ると思われ、最初は温度差が少しあったように感じたけれど、STERUSSの熱いライブに次第に多くの人が惹きこまれて行くのを感じました。
彼らの名刺替わり的な横浜のテーマ「大時計のダンス」や、名曲「真夏のJAM」などはトラックがまた以前とは変わっていて新たな印象があったり、FBYの「flash」のSTERUSSバージョンなども投下しつつ、「尖」は相変わらずのトラックのカッコよさと熱いRAPが突き刺さります。
後でナベさんが言っていたのだけど、「STERUSSがフジロックに出た時にATATAを連れて行ってくれた、だから今度はATATAがフジロックに出る時は絶対にSTERUSSを連れて行くけど、例えもしフジロックに出られなかったとしても大きな会場にSTERUSSを連れて行きたかった」というような内容の話をしていて、最近はあまり共演する機会は減っていたけどやっぱりATATAとSTERUSSは切っても切り離せない存在だし、ATATA、STERUSS、LEF!!! CREW!!!の3組の組み合わせで1つの物語が過去にも何度も作られてきたことを踏まえると、厳密にいうとワンマンではないのかもしれないけど、やはりこれがATATAらしいワンマンなのだなーと納得。
そしてWSZ80さんのDJを挟んでいよいよATATAの登場!!!
満員のO-WESTのボルテージが一気に高まる中、「Newborn」からスタート!
約600人の大合唱!!今年のツアーでも後半に行くにつれこの曲でのお客さんの合唱度合いがどんどん高まり、ATATAの中でもNo.1のシンガロングナンバーに育ったこの曲も、更に大きな会場での大合唱は鳥肌が立ちました。そして初っ端からダイバー続出!ATATAのライブはいつもだと特定の曲でしかあまりダイバーは出ないのだけど、やはりこの規模になるとどの曲でもダイバーは発生してましたね。
そこから立て続けに「Reverberation」「LEF!!! DUB!!!」「Fury of the year」と激しい曲が続いたので序盤からフロアは暴動のようなモッシュ&ダイブの嵐に!!!
そしてこの日のチケットにダウンロードのURLとパスワードを載せてチケット購入者限定で配信した新曲「Rise and Falling」を序盤のこのタイミングで早速披露!!!マニアックさとポップさを両立したこの曲、ライブだと更にエモみが増してグッと来ます!!中盤のデンカさんのロングロール、その後の静かになってからだんだんと上がっていき、ラストのプログレパートへなだれ込む流れが堪らない!!!
続いて相変わらず入りがカッコイイ「The Lust Dance」、miila and the geeksのsaxの小森さんをゲストに迎えた「General Headquarters」と畳み掛ける!!
MC中には、お客さんからメンバーの名前を呼ぶ声がよく飛ぶのだけど(特に鰯さん)、この日は2階席にメンバーの家族も来ていて、メンバーの娘さん達が「いわし〜」とか「たっちゃ〜ん(池谷さん)」とか幼いながらに一生懸命呼ぶ声が聞こえてきて、みんな毎回ほっこりする場面も。そんな中の1人、鰯さんの長女あかりんが生まれた時にナベさんが歌詞を考えたというエピソードから「Star Soldier」へ。会場全体が祝祭感に満ちたような大合唱。大きな会場らしい煌びやかな照明に照らされ、よりドラマチックに美しく響くこの曲で思わず涙がホロリ。この曲には欠かせない淳子さんのチェロも素晴らしかった。
そこからATATA流ハードロックアンセム「1 Nite Wonder」へ。次から次へとクラウドサーファーが人の上を流れて行く。この曲の盛り上がりも今まで以上に半端ない!
「Song2」、もはや完全オリジナル曲と化した感もあるライブ定番曲になりましたね。
「Recito」はJOYツアー中のライブではナベさんが曲に入り込み過ぎて我を忘れてしまうような危うさを感じたけど、この日は2階の一番後ろまで届けようとしているような雰囲気を感じました。
そこから一気に空気を変えるように「Ontologie」のデンカさんの超絶ドラムと切り裂くようなギターリフが鳴り響く。この曲を聴くと自分はいつもスイッチが入ってしまい周りに色々とご迷惑をお掛けしてしまうことがあるのだけど(汗)、この日はしっかりと音を耳に、光景を目に焼き付けてました。
続く「Cannapaceus」でまた空気がガラッと変わり、ダークで美しい世界へ。この日の後半の長いロールからの大サビは本当にエモーショナルの境地。
MCを挟み、「Minority Fight Song」ではフロアがみんなジャンプ!!あれだけ沢山の人がサビでジャンプするのは圧巻!
そして「Minority〜」と同じく90年代のアメリカの匂いのするリフから始まる「Clark Kent」へ!サビでの掛け声の声の大きさが半端ない!!
そしていよいよクライマックス、再び淳子さんをステージに呼び、4月のFEVER以来の完全版&特別版の「Song of Joy」。
正直、4月のFEVERでこの曲を聴いた時、後半は号泣してしまい最後のmoeさんが出てきたところとか殆どステージが見られませんでした。今回は泣かずにmoeさん登場までステージを見ていたのだけど、結局そこでまたダムが決壊してしまい嗚咽レベルで声を上げて泣いてしまった。なんか今まで見てきたATATAのライブの事や、自分の事とかいろいろな感情や記憶が重なってしまうのです。
更に続けて「Brass and Nickel feat.STERUSS」が静かに始まる。この曲も自分には思い入れが強すぎて、嗚咽がずっと止められないまま聴き続けていた。気づいたら泣きながら大声で歌っていた。特に後半の「帰らないよ 僕はここで死ぬんだ」からのSTERUSSの「One birth」を引用したラップパートへ続く流れは本当に毎回心に突き刺さりすぎて涙が止まらない。
ここで本編は終了。涙が涸れるほど流し尽くして暫し放心状態になってました。
アンコール。1曲目は再びSTERUSSをステージに招き、STERUSSがフジロックにATATAを連れて行ってくれた時の曲、「Last Day」。イントロが流れてくると、フジロックのレッドマーキーで見た時の光景を思い出しました。キラキラとした照明に照らされて響くどこか物悲しげなメロディ。ドラマチックな曲に会場が惹きこまれていく。
そして、ナベさんが「この渋谷の街にあった或るライブハウス」の話をする。そう、今は無くなってしまった渋谷GIG-ANTICの思い出が詰まったあのREACHのカバー曲、
「Contradictions」!!!!!
O-WESTが一気にレッドゾーンへ突入し、この日一番の暴動のようなモッシュとダイブの嵐に!!ステージからもsawagiのウニさんが飛んでくる!!!そしてこの日はそれまで飛んできて無かった鰯さんもついに飛んで来た!!グチャグチャ過ぎて恒例の犬神家はほとんど出来なかったけど(笑)
そこから間髪入れずにラストの「The Next Page」へ!!!!暴動は冷めやらぬどころか更に熱を増し、お客さんも次々とステージに上がってステダイしてくるわ色んな方向からバンドマンやら色んな人が飛んで来てめちゃくちゃカオス!!!!!
ATATAらしい終わり方で終了!!!!!
しかしこの後もアンコールを求める声が止まず、ダブルアンコールへ。まずこの日の2日後が誕生日のナベさんへ誕生日ケーキが。火気厳禁の為ロウソクは火を点けずに吹き消すジェスチャーだけだったけど、ナベさんの誕生日をみんなでお祝いした後、この日が誕生日となった曲「Rise and Falling」を再び演奏。改めて本当に素晴らしい曲。この最高の新曲で大団円。
あっという間の2時間。
正直、4月のFEVERでこのワンマンが発表された時は物凄く楽しみだったのに、いざこの日が近づいても当日ライブが始まるまでは全く実感が湧かず、でもやっぱりATATAのライブが始まると物凄いパワーというかオーラというか、ステージからもお客さん達からもそういうものが発せらてて、その空気感に一気に心を掴まれた。
メンバーもお客さんもありえないくらいカオスに暴れてる時もあれば、メンバーの子供達や友人バンドマンの子供達の癒しやアットホームなノリもあったりする。でもこれがATATAを一番よく表してるというか、社会人バンドでそれぞれに仕事があって家族もいたりして、それでも尚カッコイイ事が続けられるのは、ただスカしてカッコつけてるだけじゃなくて普段の生活のリアルをも全部ひっくるめてバンドを純粋に楽しむ姿が見えるからだと思う。バンドを純粋に楽しんでるからこそ余計な既成概念に囚われない活動をしてるし、それによって色んな分野の人達の共感を得て巻き込んで渦を大きくしていくのが痛快で最高で病みつきになります。
あと、何と言ってもATATAのライブは愛に溢れまくってる!!お客さんとバンドもそうだし、ATATAと仲の良いバンドマン達との関係もそうだし、そういう愛が感じられるからATATAのライブは本当に楽しいのです。
だからこそ生まれる、ライブ1本1本のスペシャル感。
終わってからの余韻も凄くて、しばらくライブハウス行かなくてもいいかな、と思うくらい色々なものを貰って心が満たされました。
ATATAを通じて知り合えた仲間達も全国から集まって再会出来ました。この日のライブ中はステージ以外に周りのお客さん達のことも結構見えた記憶があって、みんないい笑顔をしていたり泣いていたり、ステージ上だけでなくフロアも含めた一つ一つの光景が本当に素晴らしかったのです。
またATATAの活動は通常運転に戻るので次にいつまた大規模なワンマンをやるかはわからないし、また普段通りFEVERを中心に活動するのだろうけど、確実に届いてる人が増えてきてるからFEVERがキャパオーバーになる日も結構近いんじゃないかなーとも思います。どちらにしても彼らはブレずに活動していくだろうし、また面白いことやワクワクすることをやってくれるだろうし、これからも見続けて行こうと思います!!