今回はライブレポではなく、ATATAの新作『JOY』のディスクレビューを書こうと思います。
現在、iTunesでダウンロード版が発売中(通常価格1050円、1/29まで期間限定価格600円!!)、そして1/30から始まる入場無料の全国ツアーのライブ会場では会場限定盤として豪華48ページの写真集仕様で3500円、そしてツアー終了以降に全国のレコード店にて通常仕様の一般流通盤が発売予定となっています。
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※5/1追記:2016/5/1現在の新しい情報は以下の通りです。
1.iTunes版:発売中(1050円)
2.ライブ会場限定盤:1000枚限定、ライブ会場物販とFLAKE RECORDSにて発売(税抜3500円)
↑5/7、新代田LIKE A FOOL RECORDSでも販売開始しました!
3.アナログ盤:500枚限定、FLAKE RECORDS他、こちらの取り扱い店舗にて発売(現在は売り切れているお店がほとんどです。2016/5/1現在ではFLAKE RECORDSが一番確実で通販も可能です。その他はもしかしたらどこかにまだ穴場が残ってるかも…)(税抜2500円)
4.一般流通盤:2016年6月1日、全国のレコード店にて発売決定!!(税抜1800円)
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ミニアルバムながら非常に濃い内容となっておりますので、まずは1曲ずつレビューしたいと思います。
1.Newborn
ラジオのチューニング音のような演出から、印象的なギターのリフの導入部が繰り返されながらだんだん大きくなっていき、一気に世界が広がるようにイントロが始まる1曲目。
(そういえば前作『ATATA』のダウンロード版『TATAT』のオープニングでもラジオのチューニングノイズが使われていましたね。)
タイトル通り、何かが新しく生まれて始まっていくようなイメージの曲。ライブでは2015年2月に初めて披露されていましたが、その時と比べるとかなり大きくアレンジが変わっていますね。
以前のアレンジではイントロはキーボードのフレーズが目立っていたと記憶しているのですが、現在のアレンジではキーボードが後ろで音の広がりを支えるような役目になり、粘っこくて骨太なギターリフが前面に出されている印象。
そのギターはAメロ、Bメロ、サビ、そして2コーラス目と進んでいくごとに様々に表情を変えた色鮮やかなフレーズがあちこちから飛んでくるような感じで、キーボードも曲が進むにつれだんだんと目立ってきて曲のカラフルさが更に増していく。後半はリズムやテンポも変わっていくし、1曲目から聴きどころ満載、まさにジャケットのような色鮮やかな曲。
真っ昼間、晴れた野外ステージで聴いたら気持ちいいこと間違いなし!!
(※5/1追記:この曲はレコ発ツアー後半にはお客さんも1曲まるまる最初から最後まで大合唱するような全ガロングナンバーになっていました。ファイナルのFEVERでの1曲目からの大合唱はまさに圧巻の一言!!)2.Reverberation
残響レコードのコンピレーションに収録されていた曲の再録バージョン。
イントロの極悪なベースは更に強調され、一発録りならではのグルーヴ感、緊張感が増した印象。
やはり聴きどころはBメロ。デンカさんの鬼のようなドラムロール、左右から自在に飛んでくるギターフレーズ、耳がいくつあっても聴きどころが多すぎて困るくらいです。
そして歌と歌詞。夏の日の午後、通り雨、そんな情景に重ねた、心が抉られるようなヒリヒリとした歌詞は激しい曲調ながらライブで聴くと涙が出てしまう時があります。そしてシンガロングパート。
そしてアウトロではHOLSTEINのセルフオマージュなツインギターの絡みが聴けるのも最高です。
3.Clark Kent
イントロの出だしのギターフレーズに90年代の匂いを感じたのは自分だけでしょうか?そこから一気にポップでキャッチーな展開へ。
歌詞は岩田健太a.k.a鰯さんをテーマに書いたということで、最初の「謂わば変化」が岩田健太と韻を踏んでいたり、サビ後半の「昼食後 誘うジョーク 鍵盤のフレーズ」などは普段鰯さんのTwitterを見てる方はニヤリとするはず(笑)
中盤から展開が変わるところのクリーントーンやアウトロ前のツインギターの絡みのアレンジなどにはこちらもHOLSTEIN時代の雰囲気を思い出すようなフレーズがあってファンには堪りません。
そして、何と言ってもこの曲はメロディーがキャッチー!言い方に語弊があるかも知れませんが、アニメの主題歌でも全然違和感が無いようなキャッチーなメロディー。元々ATATAの曲はどの曲もキャッチーなのですが、この曲には特にお茶の間感のあるキャッチーさを感じました。
(※5/1追記:この曲の掛け声のパートもレコ発ツアーが進むにつれてお客さんの一体感が増していました。奈部川さんが毎回マイクをお客さんに向けるのが印象的な一曲。)
4.1 Nite Wonder
2014年のRecord Store Dayに合わせて発売された限定7インチ『2 SONGS ep』に収録されていた曲の再録。
ATATAの中でも1番の王道ロックアンセム的なこの曲も、ライブで育てられ鍛えられてきた感じが一発録りで見事にパッケージングされたような印象で、より攻撃的でグルーヴィーなライブ感溢れるテイクになっていると思います。
タイトル通り、真夜中を疾走するようなイメージで、深夜に車を走らせながら聴くと本当に気持ちのいい1曲。
ライブではいつもモッシュあり、ダイブあり、手拍子あり、シンガロングありの盛り上がりどころしかないこの曲、初めて聴いた当時同じようなツイートしたことがあるんですが、ATATAファンはもちろん、ATATAを聴いたことがない人達、例えば普段ワンオクとかMWAMとかを聴いているような人達が聴いても絶対にハマりそうな要素満載で、そういう意味でも王道ロックアンセムに仕上がっているのではないかと思います。
5.Song Of Joy
ライブでは2015年春頃から演奏され、既にライブの最後を締めくくる曲として定着しつつある大名曲。
優しいギターの音色とピアノの音から始まる導入部分、多幸感溢れる美しいメロディー、シンガロングパート…推測ではありますが2014年に来日して共演し、その後解散してしまったScreaming Maldiniへのオマージュを感じさせるような部分もあり、
ATATAの今までのミディアムテンポ曲の集大成のような美しさと壮大さを合わせ持った感動的な曲。
この曲を聴いた時「空は続いてる 声は聞こえてる 手は繋いでる」という歌詞と、前作『ATATA』収録の「Star Soldier」の歌詞「手を繋いだら僕ら行けるかな? 終わりは決めてない 君がいればいい」と物語が繋がってる感じがする、とTwitterで呟いたところ、奈部川さんは「ジョイは続編ってよりも、スタソルへの『返答』として書いた」と仰っていました。
この曲は夜明けの美しい情景にいろいろな感情を重ねられる曲だと思います。ライブでは涙を流す人も多い曲。アウトロの美しいコーラスはMiila and the Geeksのmoeさんが歌っているのですが、ライブでmoeさんのコーラスありで聴ける日が来たら更に感動間違いなしですね!
(.※5/1追記:レコ発ツアーファイナルのFEVERではmoeさんのコーラスはもちろん、更に高橋純子さんのチェロも加わった完全版&特別編成で演奏されました!)6.The Next Page
この曲は元々、ATATAの盟友LEF!!! CREW!!!のアルバムのために作った「Right Now!!!(LEF!!! CREW!!! ANTHEM!!!)」のダブ的な曲で、歌詞やアレンジを変更して作られた曲。
(ちなみに前作でも「LEF!!! DUB!!!」から「Introduction」が作られていましたね。)
アレンジが変わり、BPMも早くなってかなりハードコアな印象に。BANDWAGONを思い出すようなリズミカルなギターカッティングのアンサンブルに、ATATAらしいドライブ感とカオス感が加わり、ライブではモッシュ必至なキラーチューン!
歌詞もATATAのアティチュードをそのまま表したような歌詞で、まさにこれからこのアルバムを引っさげて次のページに向かおうとする気迫が感じられます。
(※5/1追記:この曲はレコ発ツアーでは毎回アンコール最後に演奏されるようになり、更にアンコールの無いライブでもSong Of JoyやBrass and Nickelなど今までラストの定番だった曲の後に最後の曲として演奏されることが多くなり、まさにタイトル通り次のページへ向かおうとする現在のATATAの勢いを強く感じる一曲になりました。)
以上、全6曲を聴いた感想をレビューしてみました。
そして、これは全曲通して言えることなのですが、このアルバムを聴く時はイヤホンかヘッドホンで聴いてみて下さい。出来れば音質のいいやつで。一発録りながら決してローファイなわけではなく、音像の広がりが物凄いし、あちこちいろいろな方向から多彩な音が聞こえて来て、音質への拘りが十分に感じられるようになっております。これはエンジニアの阿相さんのマジックとしか言いようがありません。
6曲のミニアルバムではありますが、6曲全てが濃密で聴く者の心に強く刻み込まれるような名曲揃いなので、フルアルバムと変わらないぐらい、いやそれ以上に聴き応えのあるアルバムだと思います!
正直自分は何回リピートしたかわからないぐらいずっと聴き続けてますし、毎回聴くたびに新たな発見があります。そしてライブで聴くとまた更なる発見があり、様々な感情を震わせられ、また違った景色が見られることでしょう。
このアルバムは1人でも多くの人に聞いてほしい、届いて欲しい一枚です!!
(2016/5/1、一部追記、加筆修正しました)