生まれて初めて悲鳴を上げた。助けを呼ぶためである。
20時過ぎ、できたばかりの漁港に、夜間照明のチェックに行った。
夫とその同僚、運転手、私の4人
まず、出入り口で止められた。夫が名前を名乗りコンサルタントであると言っても、夜間の守衛は「お前なんか知らない」の一点張り。これは、まあ仕方がない。前にも同じことがあった。関係者に電話して何とか入った。
参考のため、夜間の漁港
今夜撮影したものではない。実際には薄暗がりである。
実は、夫と私は午後にも写真撮影や測定に来て、18時頃に立ち去っていた。
その時に閉めたはずのゲートが開いている。
日中のゲートはこんな感じ
さらに、人が2人、寝転がっているではないか。
日中で言うと、この場所
夫たちは照明を見に行き、私は寝ているけしからん者たちの証拠写真を撮りに行った。ちょっと危険かもと思いつつ。
案の定、やつらは立ち上がり、何で写真を撮るんだと近づいて来た。
「あなたたちが寝ている証拠を撮るためだ」
1人が私の腕をつかんだ。
「キャーーー、キャーーー」
私は思い切り、叫んだ。この時、「チコちゃんに叱られる」で女性の叫び声はよく通るって言ってたな、もっと大声出さなくちゃなどと考えていた。
もちろん、運転手と夫の同僚がすぐに駆け寄って来た。
出入り口から歩いて来た守衛も急いで
夫?
彼は照明器具の点検
まさか私の叫び声とは思わなかったらしい。寝ていた2人は現地のカップルで、その女性が叫んだと思ったようだ。
カップルではない。寝ていたのは、2人の憲兵だった。
やつらは、寝てない、座ってたと言う。
寝ていたのは確か。眠ってはいないかもしれないけど。
いや、そもそも警備なら、2人まとまってちゃダメでしょ。
ゲートは開いてるし、もっと全体を見渡せるところや、外部からの侵入を防げるところにいるでしょ。
そもそも憲兵が警備するの?
運転手とフランス語が堪能な同僚が対応してくれた。
私は、憲兵がマシンガンを持っているのを見て、あれをぶっ放したら面倒だなと思っていた。
そのうち夫が戻って来て、じきに事はおさまった。
結局、寝ているところを見られた憲兵、ズサンな警備がバレた守衛が慌てたということである。
つかまれた腕が赤くなっていた。
後で仕返しされたら面倒だが、ちょっと面白かったというのが正直なところである。