♪オイラの人生ままならぬ~
相変わらず思うようにならない人生を歩んでいます。
19日は昼過ぎに浅草へ。生の蟹を食べるべく「メヒコ」を目指して出発しました。
「メヒコ」には昨年の暮れに二度足を運んで、生の蟹が食べられる店であることを確認しています。二度のうち最初に行ったときにあった蟹フェアのメニューが、二度目のときになかったので聞いたら、『年末年始は休んでいますが、1月になったらまたやります』とのことでした。そこで、昨日に電話をしたらちょうど『明日(19日)から再開します』との返事。良しとばかりにこの日に向かうことにしたのです。さらに念のためにこの日の昼前に再び電話をして『ランチタイムでも蟹フェアのメニューを注文できること』を確認し、万全の準備で向かいました。
この日はバスをひとつ先の二天門前で降り、浅草寺の境内から伝法院通りを抜けて「メヒコ」に向かいました。伝法院通りの先には天ぷらの「天藤」があります。「天藤」には暮れから今年にかけて3~4度来ていますが、いつも20人ほどの行列になっていて全然食べられませんでした。それが「メヒコ」を目指したこの日は行列なしですんなり入れる状態です。あらあら、そもそも最初に「メヒコ」に入ったのは「天藤」がダメだったことが切っ掛けでした。この日は出かける段階から蟹で頭がいっぱいになっていますから「天藤」の前で角を曲がって「メヒコ」へ。
すると、「メヒコ」の前には数人の客が並んでいます。店内の記名ボードを見ると、3組の客が待っている状態でした。一瞬、その次の4番目に私の名前を書き込もうとしましたが、行列が嫌いな私は、せっかくなので並ばなくて済む「天藤」にしようと思い直しました。「天藤」はすんなり店に入れて空席もある状態でした。良し良しという感じです。
それにしても、「天藤」に行けば「天藤」がダメで「メヒコ」に行くことになり、「メヒコ」に行こうとすると「メヒコ」がダメで「天藤」に行くことになるのは一体どうしたことなのか。まあ久々に「天藤」の天ぷらが食べられたので結果オーライと考えましょう。とはいえ、近いうちに生の蟹を食べるためにまた「メヒコ」に来なければならないのですが・・・。
「天藤」のメニューは天丼、海老天丼、かき揚げ天丼、天ぷら定食がいずれも2200円です。たまには違うものにしようと思いつつ、いつものかき揚げ天丼を頼みました。また壁に牡蠣の天ぷら300円と書かれていたので、これを追加しました。
浅草には長い歴史を持つ有名な天ぷら屋さんが何軒もあります。この「天藤」も創業が明治35年とのことですから、今年で80年の歴史のある店です。ほかの有名店に比べ、タレというか天つゆの味が私好みで「天藤」が好きなのです。江戸前の天丼なので味はやや濃いめです。かき揚げ天丼も写真から濃いめのタレが分かるかと思います。でも、ほかの有名店に比べると塩気が強すぎることがないのが私の好みに合っています。この日もおいしく食べられました。牡蠣の天ぷらは塩でどうぞということで、塩を少しだけ振って食べました。
食事の後は一旦錦糸町に戻って態勢を立て直した後で新宿へ。シネマート新宿でこの週末に公開された台湾映画の『無聲』を見ました。台湾の聾学校で実際にあった性暴力事件を元に作られた映画です。
聾学校に転校してきた男子生徒は、スクールバスの中で性暴力が行われているのを見て愕然とします。さらに驚いたのは、その後で被害者と加害者が表面的には楽しく遊んでいたことでした。被害者の居場所は聾学校にしかないからです。転校生が性暴力の事実を教師に告げたことで調査が行われ、男女合わせて100件を超える性暴力被害の事実が明らかになります。しかし校長などはことなかれ主義的な解決しか図りません。その結果、陰湿ないじめや性暴力は続き、加害者の側にも深い闇があることが明らかになっていきます。
何とも陰湿で執拗ないじめの構図に、見ていて暗澹たる気分にさせられます。この深い闇が明るく晴れる日が来るのかと思わされました。映画の終盤にはわずかに明るい兆しも見えてくるのですが、やや意外性のあるラストシーンがまた強烈なものでした。
台湾では、教育者や政治家、そして多くの観客が事件の深刻さを問題視したことでこの映画が話題になり、台北の週間興行収入1位を獲得したとされています。ひるがえって日本では、このような映画が作られることがあるかどうか。仮にあったとして興行収入1位になるような公開のされ方をするかどうか。この『無聲』と同じように都内のミニシアター2館で1日1回上映というような限定的な上映にしかならないのではないかと考えると、台湾社会のほうが日本よりも格段に健全なのかとも思いました。
本当なら、アクション映画やサスペンス映画、ホラー映画などを呑気に見ていたいのですが、『無聲』のような社会派の傑作映画の存在を知ると、見に行かざるを得ない気持ちになります。それにしても、この映画のインパクトは凄まじいほどに強烈です。目をそらすことのできない何とも重い映画でした。
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