「安倍政権への忖度路線」に、ウチナーンチュの反応は?
沖縄県知事選2018、自公、辺野古争点逃れの「名護パターン」を採用も。
沖縄県の翁長知事の死去により、前倒しとなった沖縄県知事選挙(当初11月に
実施予定)が9月30日に実施されることを受けて、沖縄県内では選挙戦を想定した
駆け引きも活発化しつつあるようだ。
そんな中、県知事選への出馬を表明した佐喜眞氏(自民)を擁する自民党側からは、
「名護パターンで行く公算も・・・」という声が聴かれるようだ。
名護パターンとは、今年の春に行われた名護市長選挙において「辺野古移設の
争点化を避け、振興策を全面に打ち出した選挙戦」を行ってオール沖縄の推す稲嶺氏
(前市長)との選挙戦を制した成功体験を自民党サイドがやや自嘲気味に表現した隠語
だったようだが、最近では自民党陣営でも公然と使われるようになっているようだ。
しかしながら、沖縄県知事選は辺野古移設で安倍政権と対峙して来た翁長氏の後継を
決める選挙でもあるので、自民党の思惑通りに辺野古移設問題を選挙戦の争点から
外すことが可能かが、佐喜眞氏を擁する自民党側が選挙戦を優位に進める為に必要な、
やや無理筋ともいえる条件のようだ。
ところで、佐喜眞氏の主張である「国との信頼」とか「国とのパイプ」等という表現は、基地
予算への依存度の低下が進行中の沖縄の経済政策論とは噛み合わない恐れもある。
また、上から目線で強引に基地負担の沖縄への押し付けを強行してきた安倍政権の
お気に入りの佐喜眞氏が主張するような「国との信頼」という表現の裏を返せば、それは、
上から目線の安倍政権への忖度あるいは「極端な国家主義の容認」とも受け取れるため、
そのような「安倍政権への忖度路線」が沖縄県民に受け入れられるかどうかは、依然として
不透明な情勢だ。
これに対し、オール沖縄側は、翁長知事の功績をアピールしつつ「弔い選挙」としての
訴えの浸透や、「翁長知事の死を悼む県民の想いを味方につけた浮動票の掘り起こし」
がどれくらい可能か、なども選挙戦の成否を占う上での課題となっている。
またオール沖縄側は、候補者選定や選挙戦略で遅れた分を取り返せるかが選挙戦を
戦う上でのポイントとなるかもしれない。
そして、自民党側の陣営には、沖縄ヘイトデマなどをネッ上で流してきた右派系ネット
市民等の右派勢力も加担する見込みなので、「同右派勢力の常套手段である沖縄ヘイト
デマや選挙妨害をオール沖縄側が無力化できるか?」なども隠れた争点といえる。
ただ、県知事選で佐喜眞氏を推す自民党が勝利する為のハードルは、翁長氏の逝去に
よって、自民党側の陣営が当初想定していたよりも数段跳ね上がったことだけは確かだ。
選挙は勝ち負けの世界、勝負の世界は非情だ。
沖縄県民の悲しみとは裏腹に、辺野古移設とも別の次元で、知事選を巡る駆け引きが
活発化し始めている現状を、翁長氏が見たらどう思い、何を語るだろうか。
翁長氏の死を悼む余裕を沖縄県民に与えまいとするかのように新聞・テレビなどは
沖縄県知事選を巡る一連の報道を繰り返すので、私も、この記事を書こうと思い立った。
この記事の原稿を書いている私の部屋の窓を見ながら、翁長氏のことを思い出す。
その窓から見える隣地の広場では、翁長氏が生前(那覇市長時代)に、支持者らを
前に演説していた。
マイクを握り聴衆に訴えかける翁長氏の饒舌なスピーチが、今にも聴こえてきそうだ。
どうにも表現しようがない悲哀を感じる。

