2/25 成年後見制度シンポジウムに参加しました。

主催は、川崎市・川崎市社会福祉協議会です。

前回の場所はエポック中原でしたが、今回は川崎市総合自治会館でした。

 

参加者は40名ぐらいだったかと思います。

2人用の長机に、間を空けて1人だけ座ると、全員が座れなくなるため、

事務局は「間を詰めてお座りくださーい」と説明していました。

 

今回のプログラムは、こんな感じです。

開会挨拶 

 川崎市健康福祉局地域包括ケア推進室地域保健担当課長

事業説明 

 「川崎市の権利擁護関連の取組」

  川崎市健康福祉局地域包括ケア推進室 認知症・権利擁護担当 職員

 「あなたの「不安」を「安心」に変える成年後見制度」

  横浜家庭裁判所川崎支部 主任書記官

基調講演

 「成年後見制度の概要~成年後見人が必要な場面とは?~」

  神奈川県弁護士会川崎支部 村上裕一 弁護士

各士会の紹介

 神奈川県弁護士会川崎支部 古谷洸人 弁護士

 成年後見センター・リーガルサポート神奈川県支部 小林典子 司法書士

 神奈川県社会福祉士会 深澤亮 社会福祉士

 コスモス成年後見サポートセンター神奈川県支部 原達芳 行政書士

 東京地方税理士会 野口茂 税理士

休憩・移動(15分)

座談会(各士会毎に会場を分かれる)

相談会(各座談会会場にて、1対1の相談)

 

■川崎市の権利擁護関連の取組について

・令和2年(少し古い)の数字として、高齢化率17.9%、認知症高齢者の数約57,701人であり、今後の増えていく見込みということでした。

・川崎市の権利擁護事業としては、以下があるという説明でした。

①成年後年制度の推進

普及啓発・研修等、市民後見人の養成と業務支援、成年後見制度連絡会の実施、成年後見制度利用支援事業、中核機関(川崎市成年後見支援センター)の設置

②高齢者・障害者虐待防止に向けた取組の推進

③消費者被害の防止

④障害者差別解消法に基づく取組の実施

 

・特に「成年後見制度連絡会」については、川崎市・川崎市あんしんセンターを事務局として

神奈川県弁護士会川崎支部、リーガルサポート神奈川県支部(司法書士)、ぱあとなあ神奈川(社会福祉士)、コスモス神奈川県支部(行政書士)、横浜家庭裁判所川崎支部、東京地方税理士会をメンバーとして、成年後見制度に関する課題等の協議や情報交換等を行い、普及啓発や成年後見制度の円滑な利用に向けた取組みを実施している、と報告がありました。

→この「成年後見制度連絡会」は、「川崎市成年後見支援センター事業実施要綱」に記載されている「川崎市成年後見制度利用促進協議会」のことだと思われます。(名称変更されたのでしょうか?)

要綱には、以上の団体の他に「その他(福祉・医療の専門職団体・関係機関等)」も参加するとありますが、川崎市の説明にはありませんでした。

 

・川崎市成年後見支援センターの取組みは、以下という説明がありました。

①相談

・制度や申立てに関する相談

・成年後見制度の専門相談

②成年後見制度利用促進

・申立書作成支援相談

・市民後見人の養成および支援

③後見人支援

・親族後見人からの相談や支援

④広報

・成年後見制度シンポジウムの開催

・市民向け成年後見制度研修会の開催

・支援関係機関への研修会の開催

→上記には、第一期成年後見制度利用促進基本計画(平成29年3月24日閣議決定)に記載された「制度利用促進(マッチング)機能」はありません。

 

参考)成年後見制度利用促進基本計画について(3枚概要)

しかし、「川崎市成年後見支援センター事業実施要綱」には、以下の通り「受任調整会議の開催等による後見人候補者推薦」と載っているので、マッチング(受任者を調整すること)は事業内容に含まれています。

 

■あなたの「不安」を「安心」に変える成年後見制度

・まず最初に、「家庭裁判所は申立てがあって初めて動くところであり、積極的に市民の皆さんと交流することはめったに無いので、こういう機会を設けていただいて感謝している」というお礼の言葉がありました。

・説明の中で、「成年後見人には広い裁量権がある」、「包括的な代理権があること」を何度も強調していたように思います。

・「申立てする際には、たくさんの資料を書面で提出していただく必要があるので、ご理解をお願いします。」という説明があり、横浜家庭裁判所のホームページに「申立準備チェックシート」があるという説明がありました。

・また後見人に選任された方向けに「成年後見人Q&A」も用意しているので、わからないことがあったら読んでほしい(家庭裁判所に細かいことでいちいち電話してこないでほしいの意味?笑)という説明もありました。

 

■成年後見制度の概要~成年後見人が必要な場面とは?~

・村上裕一弁護士から、必要となる場面(成年後見制度を利用するしかない場面)、本当に必要なのか?と思われるケース、制度を利用するときに注意すべき点、成年後見人の業務ではないこと(成年後見人ができないこと)などの説明がありました。

・成年後見人等と本人の関係について(後見人に誰が選任されたか?)についても説明があり、「約80%の事例において、親族以外の者が成年後見人等に選任されている。」と資料に書いておりますが、口頭で、「候補者=親族となっているのは4人に1人で、実際に後見人になれたのが5人に1人なので、結構な確率で後見人になれているのではないか」と説明されていました。

・「申立てに必要な書類」の説明で、「本人情報シート」が抜けていたので、村上裕一弁護士は使ったことが無いのかな?と思いました。

・成年後見人の業務ではないこと」の説明の中で、「事実行為は成年後見人の仕事ではない」身の回りの世話、面会、送迎等の同行支援を挙げていましたが、「面会は本人の意向を確認するために面会することはあるが、親族からの依頼で”本人の様子を見にいってほしい”と頼まれても、それは断ります」という説明がありました。(実際にそういう経験があったのでしょう)

 

■各士会の紹介

・弁護士会、リーガルサポート(司法書士)、社会福祉士会、コスモス(行政書士)、税理士会からの説明が各2分以内で行われました。

・弁護士会は、「オールラウンド」を強調しており、「通常想定される財産管理と身上監護に留まる事例は無論、オールラウンダーとして弁護士ならではの裁判や困難な交渉が予定される事案についても積極的に選任されています」と言っていました。

→私の認識では、弁護士は身上監護は苦手なので、身上監護が必要なケースは弁護士ではなく、社会福祉士が選任されると思っています。

・リーガルサポートは、「唯一の全国規模の公益社団法人」を強調していました。

・弁護士会からの説明で、「弁護士は唯一代理人として申立てや書類作成ができる」と説明があったので、「司法書士も申立書類の作成はできます!」と訂正していました。

・社会福祉士会は、「日常生活に支障がある方の相談、助言、指導、福祉サービスや医療を提供する者との連絡、調整などの業とする専門職」という説明がありました。

・コスモスからは、「行政書士は、官公署に提出する書類の作成、権利義務・事実証明に関する書類作成の専門家」という説明があり、身近な専門家としてどの地域にも偏りなく存在している(弁護士は大都市に集中していることを批判している?)と説明がありました。

・税理士会からは、まず「神奈川県と山梨県の税理士が所属する会を「東京地方税理士会」と呼ぶのはわかりにくいですよね」と自虐的な説明から入り、相続税の相談と一緒に、「実は相続人に認知症の方がいるんだよね」と一緒に成年後見の相談を受けるケースが増えていると説明していました。コスモスの説明にあった「地域偏在が少ない」ことも強調していました。

→「成年後見関係事件の概況(令和3年)」によると、税理士が選任されたケースは56件(全体の0.1%)しかありませんので、まだまだ税理士で成年後見をやっている人は少ないです。

 

■座談会

休憩の後、各士会毎に会場を分かれて、座談会が行われました。

私は弁護士会の部屋に残りました。

→「2/25 成年後見制度シンポジウム参加報告(その2)」に続きます。