10/16、成年後見制度シンポジウムに参加しました。

主催は、川崎市・川崎市社協です。

場所は、武蔵中原駅直結で行けるエポック中原です。

ここの6階には川崎市社会福祉協議会があり、川崎市成年後見支援センターもあります。

 

参加者は、約50名ほどでした。60代~70代の方が多かった気がします。

毎年行われているこのシンポジウム、昨年度はコロナで中止になっていました。

今年は、市民向け成年後見制度研修のように、オンラインで開催するのかな?と思いましたが、大きい会場で、対面形式で行われました。

受付で名前を言うと、非接触型の体温計で体温を測り、中に入ります。

 

例年だと、事業説明・基調講演の後に、各士業ごとに分科会に分かれて、

講演会や質疑応答が行われるのですが、今回は、各士会からの紹介だけになりました。

 

前半は、「川崎市の権利擁護の取り組み」として、川崎市健康福祉局障害保健福祉部障害計画課から説明と、

「家庭裁判所における成年後見制度の概要」として、横浜家庭裁判所川崎支部の主任書記官から説明がありました。

 

私は川崎市の取り組みとあるので、「市長申立件数」とか、「市民後見人養成人数」とか、「市民後見人が選任された件数」とか、発表があるのかなと期待したのですが、ありませんでした(^_^;)

川崎市からの説明で出てきた数字は、認知症高齢者 58千人、知的障害、精神障害の人数 25千人いるが、実際は成年後見制度を利用しているのは、たった25,000人だけということでした。

家庭裁判所は、この数字で判断して、もっと成年後見制度を利用促進しなければいけないと言っていました。

しかし私は、本人にとって成年後見制度を利用する必要があるかどうかは、それぞれの事情を勘案してみないとわからないと思っています。

なので、認知症高齢者・知的・精神障害者の人数と比較して少ないから、成年後見制度を利用促進しなければいけない、というロジックはするべきではない、と思っています。

 

また成年後見制度が利用可能な方には、若年性認知症の方も含まれるのですが、川崎市では集計していないのか、人数の発表がありませんでした。

認知症=高齢者というイメージがあり、若年性認知症の方に充分な支援が行われていないのではないか?と心配になりました。

 

家庭裁判所の方の説明は、資料がなく口頭だけだったので、知らない人にはわかりづらかったかもしれませんが、とても重要なことを説明していました。

家庭裁判所は、申立てがあり初めて動くところである(受け身)とか、

裁判所というと、原告と被告で対立している場面を想定するだろうけれど、後見担当は違うとか、

家庭裁判所の後見事務として、主に

①後見開始の審判、後見人選任

②後見人の監督(解任を発動するきっかけ) がある、と説明していました。

 

①のポイントとしては、後見人には広い裁量権が与えられ、本人がした契約を取り消すことができるなど、本人の権利を制限することができるので、診断書を重視しつつ(裁判所は医療の専門家ではないため)、慎重に判断するとか、利用目的、保有財産もチェックして、誰が後見人になれば本人の為になるのかを、慎重に考えて判断している(親族が後見人になりたいと希望しても、必ずその通りになるとは限らない、という意味)という説明がありました。

 

②のポイントとしては、細かくチェックして指示している訳ではなく、後見人には広い裁量権があるので、その裁量を超えていないか、本人の利益に反していないか、本人の意志を確認しているか、判断が合理的か等をチェックしている、という説明がありました。

「"後見人の裁量に任せます"と家裁に言われて困った後見人はいると思いますが、幸運なことに、川崎市では成年後見支援センターが出来たので、そちらで相談するようにしてください」(家庭裁判所にいちいち細かいことを質問してこないでほしいという意味?笑)という説明もありました。

 

そのあと、狩野 直哉 弁護士からの基調講演「成年後見制度の概要~成年後見人が必要な場面とは?」がありました。

説明が始まるとき、いきなり職員を呼んで、何かトラブルかな?と思ったら、単純にパワポ資料の「スライドショー開始」する方法を教えてもらっていてビックリしました。

弁護士会で色々な会務もやっている方なのに、パワポ資料使って、人に説明したことがないのでしょうか?

 

その後10分間の休憩があり、

狩野 直哉 弁護士が司会で、各士会からの団体紹介がありました。

発表したのは、以下の5団体の以下の方でした。

①神奈川県弁護士会川崎支部 飯嶋 光章 弁護士

②成年後見センター・リーガルサポート神奈川県支部(司法書士の後見団体) 小林 典子 司法書士

③神奈川県社会福祉士会 佐々木 千賀子 社会福祉士

④コスモス成年後見サポートセンター神奈川県支部(行政書士の後見団体) 原 達芳 行政書士

⑤東京地方税理士会 野口 茂 税理士

 

各団体は、団体の紹介だったり、無料相談会の開催をお知らせするなどの宣伝をしていたのですが、弁護士会だけは、団体の説明は読めばわかるので、「ノーマライゼーションとは?」から始まり、「法律はドライだけど、弁護士は命を吹き込むことができる」とか、「今までと同じ様な生活ができるように、時には家裁もうまく利用したり(=説得して)」とか、「本人のために戦ったり守ったりする」という"熱い思い"を説明していたのが印象的でした。

 

リーガルサポートの紹介が終わった後、司会の弁護士が、「リーガルサポートさんは、通帳の原本確認など監督していますよね?弁護士も見習いたい思う」と説明していました。

私の認識では、弁護士会が監督することは個人情報保護法違反(※)になるため、やっていない認識だったので、その問題が解決しないと難しいのでは?と思いました。

 

※依頼者さん等は、弁護士さんに個人情報を提供することは同意していますが、弁護士会に個人情報が流れることまでは同意していないはずです。なので、弁護士は、個人情報が書かれた後見事務報告を、弁護士会に提出できないはず、という考え。

ただし、リーガルサポート(司法書士)、ぱあとなあ(社会福祉士)、コスモス(行政書士)では、後見事務報告を定期的にチェックしています。

 

一番わかりづらかったのが、「東京地方税理士会」です。

「東京地方税理士会」とは、神奈川県と山梨県の税理士の団体で、東京税理士会(東京都の税理士の団体)とは異なるそうです。まぎらわしい・・・。

 

最後に、「質問・相談コーナー」(各士業との個別相談会)が行なわれました。

私も、行政に、首長申立て件数とか、市民後見人が選任された数とかを、教えてもらいたくて、申込みしたのですが、各士業限定だったので、行政の方たちは困ってしまった様でした。。。(-_-;)

そこで私は、「川崎市のホームページで公表してくださいね!」とお願いしてきました。