- コニー ウィリス, 大森 望
- 航路(上)
- コニー ウィリス, 大森 望
- 航路(下)
ある日、神経内科医のリチャードに自分の研究のパートナーに、と頼まれる。
それは擬似的に臨死状態を作り出し、その際の脳の動きをスキャンすること。
その申し出を承諾し、実験を始めたのも束の間、さまざまな理由から被験者が足りなくなり、ジョアンナ自身が被験者になることにする。
そうして彼女が見たものは、よく知っている現実だったが…
とりあえず、号泣する準備は出来ていた…ハズでしたが、終わりの方は本当、涙なくして読めない展開です。
さあ来るわよ、泣くもんか、と心構えをしていても駄目でした。
前触れもなく突然来る。ぐわっと来て後はわんわん泣いていた。
とりあえず、号泣する準備はできていた…自分の部屋に篭って読んでよかったと思う。
お話は三部構成で、第一部は実験とジョアンナが見たものについて。
よく知っているのに、それが何か分からないもどかしさ。
最小限のパズルのピースがバラバラに配置されていて、まだ、それがどんな絵になるか分からない。
でも一部がつながって、思いもよらない絵を作ろうとしていたことが分かる。
第二部は、その絵の意味を探るパート。
何故それなのか。
それが明かされた瞬間の驚天動地の急展開は、あまりに衝撃的過ぎて頭が真っ白になってしまうこと請け合い。
有り得ない。あっちゃいけない、などと、本を読んでいてこんなに動揺したことって無い。本当に有り得ない。
第三部はその絵の果たす役割を鮮やかに描き出す。
その鮮やかさに、ひたすら泣く。もうそれだけです。
悲しいからじゃなくて、可哀想だからじゃなくて、とにかく、なんだか分からないけれど、前触れもなく突然来てわんわん泣いた。
乱暴に言ってしまえば、人間ってスゴイってことに尽きるかも。
人間は、最期の瞬間、誰かを生かすために驚異的な努力をし、それを成し遂げる。
すごいなあ。本当にすごい。
と、言ってもこれは泣けるだけじゃない一冊でして、ちゃんと笑いも提供してくれます、流石はコニー・ウィリス。
ダイイング・メッセージについて話していて、
「僕らの臨終のことばは『ジョアンナ、僕は飢え・・・あぐぐぐ!』だよ」
ジョアンナ駄目だし→「重要な言葉をを最初に。『飢え死にだぼくらはあぐぐぐ!』」の辺りは笑ったなあ。
でも最後まで読むと、こんな他愛の無いシークエンスを読み返していても泣きそうになるから困る。
死ぬってことは悲しいことです。死んでいく人も、生き残った人も。
さらりと、でも鮮やかに「死」を描いた一冊です。

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