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大村幸太郎ブログ

  色々あったのか無かったのか、早かったのか遅かったのか、なんや答えもわからないまま2024も残すところあと一週間ちょいとなりました。

 なんや新聞を読んでいても悪いニュースが殆どでウンザリしてしまいますね。
僕のように相変わらず半分引きこもりのような職についていると世間様との乖離が過ぎるのでせめて新聞だけでも読んで社会と繋がっていなければ思って読んでいますが。
皮肉なことに2024も悪いニュースが多すぎて読めば読むほど落胆している自分がいます。

 そういえばもう亡くなりましたがうちの祖母も毎日隅から隅まで老眼鏡をかけて新聞を熟読していました。似てくるものなんでしょうかね
今日みたいな冷え込む日にもストーブでヤカンを沸かしながら湯気の向こうに新聞を読む祖母の姿を思い出します。

僕のおばあちゃんは優しかった、そしてすごい強い人でした。
 今年最後のブログはうちのおばあちゃんのエピソードを一つ語ってみましょう。

 僕の祖母はいわゆる昭和の、いや大正生まれだ。大正の女性です。
まあその頃の日本はとくに亭主関白、家父長、父兄主義なので僕の家もそうでした。父はそうではないけれど、じいちゃんはキレるとなんせ恐い。 怒る祖父を前に身を呈して祖母が僕をかばってくれた事を覚えています。 鬼の形相だからマジで恐かった

 んなこと含めその他色々なことから僕はじいちゃんが嫌いで、晩年も離れに住んで居たけれど出来るだけ近寄らず疎遠にしていたと思います。
 しかし祖父の没後僕がこの仕事について、覚え、こなし始めたころ祖父の描いた図案が見つかり(着物の図案家だった)その技術の高さに表現力、レベルの高さに圧倒されました。私は手のひら返したように一気に尊敬の人として崇め奉るのでした。
マックも何もない時代にグラフィックデザインのような図案を手描きでやっていて、圧倒的な実力の差にショックも受けました。 とても真似できるものじゃない、だから僕も先代を追っかけるのでなく自分なりの方法を見つけられたのですが。

いや、じいちゃんの話じゃない。
うちのおばあちゃんのエピソードでした。 

図案の腕は最高でも私生活では最悪だから祖母はまさに昭和の女、耐えに耐え抜いて暮らしてきたのだと思います。

 ※晩年耐えられずついにケンカをして家を飛び出した事があった。 叔母の家にいたらしいが、あれは実に愉快だった。

そんなおばあちゃん。 
確か僕が高校生のころ母屋から離れの家へ呼ばれたのでいってみるとトイレが詰まって溢れかえっていました。
ズッコンバッコンやっても変わりないので、原因はどうも裏の下水管が詰まっているようでした。案の定、裏の下水道の蓋を開けてみれば木の根がはびこり排水溝はふさがってそこにウン◯が溢れていました。

 蓋をあけて思わず僕は、"うわ汚い!どうしよう"とおののいてしまった、慌てている僕を余所におばあちゃんは急に横から入り込み、”堪忍ね、汚いね、堪忍な"、と言いながらなんと自ずから物怖じもせず素手で糞を掴み払いのけて木の根をみるみる剥ぎ取っていきました。 
いつも穏やかな祖母が人が変わったように一心に糞付きの根を削いでいく姿に僕は圧倒され、ただ立ちつくして見ているだけでした。自分自身が情け無いやら泣けるやら臭いやら道具使えばもっと楽にやら色々な感情があったのだけれども、僕は祖母のその姿に甚く感動していたのでした。

 糞まみれになって一心に根っこを剥ぎ取ったおかげで見事下水はスムーズに流れました。 安心したようなその糞まみれの祖母の姿はもの凄く愛情に溢れていて僕は"これが親の姿か、母親の姿か"と心に焼き付きました。

 この人は槍の雨が降ろうがもっと沢山の糞の雨が降ろうが血だらけになりながら僕を守るんだ、そういう確信ついた出来事でした。 

そのシーンは今でも強烈に覚えていて人生の中で格好良い光景の一つです

だから僕もそう育ちました。おばあちゃんから教えてもらった。身を呈して子を守らない親は親じゃない、

 昨今の新聞を見ていると児童虐待、親と子どもに関する良くないニュースが必ず目にはいります。
どんな理由であれ、子を守らない親は親ではない。自分の責任を子に押し付けることも親のすることではない。それは大人になっても同じ。子どもを苦しめる親は親では無い。 
 このブログを読んでくれているあなたがもしそんな親と子の関係に該当するなら聞いて欲しい

 あなたの親が心を入れ替えて変わらないのであれば、それはなんのためらいもなく親を棄てなさい、逃げなさい。その覚悟を持てばその先には必ず本当の家族が待っている、身を呈して守ってくれる人が必ずいます。

 そして子に押し付ける親のあなた、あなたは一人で生きろ。一生懸命生きて一人で全てをやってみろ。 その姿が糞まみれになっても美しく映ることがあればその時はじめてあなたは親になるのだ。



text/21/Dec/2024


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