自粛シリーズ 自作を勝手ながら語る | サボリ通信

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大村幸太郎ブログ

皆さま大型連休いかがお過ごしでしょうか?

通常であれば連休開け5/13より第49回日本伝統工芸近畿展が開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染防止のため今展覧会は中止となりました。
楽しみにされていた方には大変申し訳ありませんが状況下ご理解していただけると思います。

そこで今回は
オモテ出る事なくある意味伝説となった笑 今作品を紹介したいと思います。

タイトルは友禅訪問着「杉紋様」です










登山や釣りを楽しむ中で見えてくるのがこの杉林の風景







この光景は植林による人の手が加わった景色ですが故の規律の良さや美しさ、デザイン的なものを感じます
人工的なものでありながら自然にとけこんでいて、林業の学は僕は無知ではありますがべらぼうに植林すれば良いというものでもないでしょう。

一本植えたら四方には幾らか距離を置く、陽のあたり方や影の具合、方角や風向きや木の成長率など考慮して他にも様々なことを施した上での植林となるはずです。一本の木は全体にも関係していて大きな林を作っている
ミニマムとマキシマムの二つの作品性みたいなものも覗かせています

こうした自然との関係性から生まれた配列に僕はデザイン性や魅力を感じました

染色にも通ずるところがあって、強引な技法や無理ある染め方では植林、−すなわち染色は完成しません
一つの工程を綱渡り的なもので作業するのではなく、しっかりとした技術を用いて工程を繋いでいく事で作品となります 一つの技術やアイデンティティが全体像を作ります









今回のコンセプトはそれを見える形でやってみたかった。一つの模様を繋ぎ合わせ、配列を繰り返して何か作品が出来ないか?という所から始まりました。
というかぶち当たりました、悪夢の始まりでした
作家やっていて辛いのは自分の身の上もわきまえず、面白いんじゃないか?と思ってしまった事にずっと執着してしまう事です。その為に技量やアイデンティティもセンスも必要となるわけなのですが中身が無くて行き詰まる
そんな事繰り返しながらアタマから離れずそんな中で今回の作品を作りました





草稿用紙には全面に菱状の線の配列を作り、そこから杉の模様を割り出します
つまり構成として線は全体に繋がっていて見えない所にも関係性がある という事になってます、、が、、だから何やねん。と言う。。。表現の意味がありませんでした









見本小裂より


部分拡大





杉模様に白い線とグレーの線の変化をつけたのは奥行きを出すためです。
地色を染める前の白生地の状態で糸目を置き、白地の部分に糸目を食いつかせます(防染)糸目は固着するので染料は入り込まず、これで白をまず残します。
その後、薄いグレーを染め、今度は奥にある杉模様を糸目します。そうするとここではグレー地に糸目が食いつき薄グレーの色は残ります。
さらに今度は濃いグレーを染め重ね、また奥の杉を糸目します。これを繰り返して杉の模様に色の変化をつけました。

しかしながらこれもだから何やねん。という。。。







見本小裂②






そんなこんなですが
じつは、
こんな訳わからんの

好きだったりします笑

まともに作ってキッチリ出来た作品はもちろん大好きなのですが、アタマ壊れるというか、、変なん、けったいなん作ったなぁ、、なのもやはり好きです
多分思ってもいない事がアタマん中に起きてるのだと思います、これは待たないとふって来ない


開催は中止になりましたが、友達が見に来てくれたら多分こんな感じのこと言ってます。 変なんもまた作りますので次回は会場でお会いしましょうね。


またブログします