今度の異変はカミさんだった。
『あの人のいない人生なんて・・・』
生きる気力が湧かないらしい。
「気晴らしに、パチンコでも行ったら?」
勧められ行ってみるが、なにか今までと違う。
当たっても、一緒に喜んでくれる人がいない。
旦那のいないパチンコ店は、酷く味気なかった。
数ヵ月後、パッと顔の明るくなったカミさんの姿が。
パチンコ店で、仲間が出来たらしいのだ。
家にいてもやる事がないので、なんとなしに通い続けた結果だと。
今ではパチンコに行くのがウキウキ。
病院の待合室が寄り合いになるのと同じだろう。
若いころは医療関係に従事。
精神に障害を抱える患者を、リハビリと称してパチンコに連れて行った事もある。
いろいろと批判もあったが、パチンコ大会を開催。
普段、宇宙と交信している患者が、玉の動きに魅了され、リーチ画面に見入っている。
パチンコ店にも事前に相談したが、「ぜひ来てください」と真摯な対応だったらしい。
患者が喜んでくれた事、店長の真摯な対応、どちらも嬉しかった。
『またパチンコしたい』と言う患者の表情はとても生き生きと。
なんだか、パチンコに感謝した一瞬だったとか。
パチンコは、何気ない普段の生活にドラマをもたらす。
【小遣いの範疇で】という前提はあるが、人生の良いスパイスとなるのは間違いない。
時には大負けし、カップラーメンで数日過ごすのも時が過ぎれば良い思い出だ。
パチンコは時間そのものと、勝敗の先にあるドラマを提供している。
少なくとも、この夫婦にはそうだった。