土曜日は午後からお仕事(趣味の)なので、午前中はたいていダラダラとしてしまいます。
でも、今日は突然思い立って、一つ隣の駅の映画館へ。9時30分の回の『マザーウォーター』を観に行きました。朝一番の回ということもあってか、お客さんは私を含めて5人ほど。ラッキー
『マザーウォーター』は、『かもめ食堂』『めがね』『プール』の松本佳奈監督さんの最新作。
場所は、京都。
豆腐屋のハツミ(市川実日子)、コーヒー店を始めたタカコ(小泉今日子)、バーを営むセツコ(小林聡美)、この街に住み始めた三人の女性たち。
そこに、銭湯の主人オトメ(光石研)、家具職人のヤマノハ(加瀬亮)、銭湯でアルバイトをするジン(永山絢斗)、街を散歩するマコト(もたいまさこ)が関わって、「物語」は進みます。
でも、何か起こるわけでも何か変わるわけでもなく、ストーリーやあやすじのない「物語」。
ただ、その「場所」に「人」がいて、「季節」があって、「風」が吹いて、「食」があって、「日々」があって。そして、人と人との自然体の「つながり」があって。
この映画の世界をうまく紹介できないけど、私は松本さんの映画は好きです。
『マザーウォーター』の好きだったところは、
ひとつめは、マコトが仕事(銭湯)へ向かうジンにむかって、「機嫌よくね」と声をかけるところ。マコトは、何度か「機嫌よく」とか「機嫌がいい」とかそんなことを言います。
(普段ちょっとしたことで「不機嫌」になってばっかりだなぁ、私・・・)
ふたつめは、「食」。
『かもめ食堂』でもそうだったけど、出てくる「食」のすてきなこと。ハツミの豆腐屋の前で食べる豆腐、セツコ手作りのカツサンド、マコトの夕食のかきあげ・朝食のだし巻き、タカコのお店のコーヒー、セツコのバーのウイスキー(山崎)水割り、タカコとハツミの夕食のグラタン、ワイン、ビール、マコトとハツミがポプラと公園で食べるタマゴサンド。どれも本当においしそう(みんなおいしそうに食べるから!)。マコトの食事の場面は、思わず息をのんで見入ってしまうほど、静かな幸せが満ちています。
みっつめは、大人たちの真ん中にいる、いつも機嫌のいい子どもポプラ。1歳半くらいみたいです。
豊かな表情と豊かな仕草。こんなにもすてきな俳優さんたちの中でも、負けないくらい存在感。いや、ポプラは私の中で「主演男優賞」かな。
川が春の陽ざしをうけてキラキラ輝くように、みんなの希望のように、暮らしの希望のように。ポプラが、この映画に明るい温かな光りを注いでいます。
映画の中で、登場人物はみんな「仕事」をしているけれど、せかせか仕事に追われているのではなく、みんなこつこつ仕事をしています。ハツミが「やることがあるから、目が覚める」ということばにあるように。「やらなければならないこと」があるというよりは、「やること」「やりたいこと」があるから日々それをするのだ、というように。
映画の外では、みんな「やらなければならないこと」に追われる毎日。「どうして、こんなに忙しいの?」「やってもやっても仕事は終わらない」こんな声は毎日たくさんの人から聞きます。事実、「仕事」は山ほどあって。世の中、とっても忙しい。「“忙しさ”の正体って何だろう。」そんなことを最近考えていて、今日この映画を見て、ますます現実のこの「忙しさ」がよくわからなくなりました。
温かくて柔らかくて、穏やかでゆっくりで、はかなくて確かで、でも、どこかひいやりと冷たくて。
不思議な『マザーウォーター』の世界。
エンディングの大貫妙子さんの歌が、映画にとってもぴったりでうれしくなりました。
映画のメッセージ「あしたへは、ダイジなことだけもっていく。」どういうことなのだろう。